2025.03.21[静岡BR]150キャップの大記録よりも「もう一度優勝したい」。チームのことだけを考える日野剛志

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2025年3月22日(土)14:30 IAIスタジアム日本平 (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs リコーブラックラムズ東京

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

日野剛志選手は出場すれば150キャップだが「プレーオフも見えてくるときに、記録やリザーブに回ったというような私情で乱れたくない」ときっぱり

前節、首位の埼玉パナソニックワイルドナイツに今季初黒星をつけた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。今季2度目の3連勝を懸けた今節のリコーブラックラムズ東京戦では、日野剛志が出場すれば公式戦150キャップを達成する。

同志社大学を経て2012年に加入(当時はヤマハ発動機ジュビロ)した日野は、今季、同じく150キャップを達成した大戸裕矢と同期。二人とも日本代表にも選出され、長く静岡BRを支えてきた。

「日野ちゃんがいたらスクラムを押せる、というような安心感がありますし、ラインアウトでも日野ちゃんと阿吽の呼吸みたいなものがあります。僕にとってもすごく支えになっています」と大戸は盟友の頼もしさを語る。

負傷欠場時以外、日野はスタメンの座を守り続けてきた。今節は先発の座を成長著しいルーキー、作田駿介に譲る形になったが、その作田の成長にも日野は大きな影響を与えている。作田は次のように語る。

「日野さんはスクラムでの引き出しがすごく多い。(練習で)相手として組み合っているときに、何か一つ抵抗できても、すぐその上を超えられてプレッシャーを受けるんです。日野さんは8人をまとめ上げてスクラムを組むところがすごく長けている方だと感じます。一つひとつを学びながら、自分のモノにできるように考えながらやっていますし、それがすごく楽しいです」

一方で日野のほうも、作田に良い刺激をもらっていると言う。

「スクラムは良いときも悪いときもあるものです。作田のスクラムを見たり一緒に組んだりすることによって、一つ見直すきっかけになっているというか、一緒に成長していけている感覚があります」

もちろん胸の内には先発を外れる悔しさもあるはずだが、35歳のチーム最年長選手はより価値があることに目を向けている。

「150キャップは、自分に与えられた役割、このチームでフッカーとして必要なことを一所懸命にやり続けてきた結果だと思いますし、大戸と一緒に試合を重ねてこられたのはすごくうれしいことです。ただ、いまはチームとして本当に大事な時期で、プレーオフ(トーナメント進出)も見えてくるときに、記録やリザーブに回ったというような私情で乱れたくないです。あと何年もやれるわけじゃないし、もう一度優勝したいという気持ちが強いので、いまはチームの勝利のために与えられた役割をしっかりと果たすことだけを考えています。いまのレヴズは誰が出てもやれる準備ができているし、その良い流れを生かしていくことが、最年長としても大事な役割だと思っています」

人格者としてもチーム内外から厚い信頼を得ている静岡BRの誇り。その強い覚悟は、今節も後輩たちを勝利へとけん引する強い原動力となるはずだ。

(前島芳雄)

2025.03.20[BR東京]新たなポジションでも自らの役割にコミット。屋台骨を支えるマイケル・ストーバーグ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2025年3月22日(土)14:30 IAIスタジアム日本平 (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

チームに欠かせない存在になっているマイケル・ストーバーグ選手。11節までのトライ数も5で、センターの池田悠希選手とならびチームトップだ

マイボールラインアウトにおけるボール獲得数は55。第11節終了時点でのラインアウト成功数でランキングトップに立つのは、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)のマイケル・ストーバーグだ。

本職はロックながら、第3節以降はフランカーを任されるようになったストーバーグ。

「2年前に2試合ぐらい、フランカーとして出場しました。その前は近鉄ライナーズ(当時)の2年目だったかな。すごく昔ですね」と笑った。

ロックとフランカーでは、ハードワークの種類が異なる。

BR東京におけるフランカーは、ディフェンス面において、フォワードとバックスのリンク役になる。アタック時にはワイドに構えスペースを見つけて伝える、コミュニケーション力を求められる。

「ランニングも増えるし、スプリントも圧倒的に増えます」と言うが、その違いはGPSで計測する数値でも一目瞭然。秒速5m以上で走る距離、そして総走行距離が、フランカーのほうが「はるかに高い数値」なのだという。

またここ数試合好調を維持するスクラムにおいても、フロントローの選手たちが「バックファイブの押しが良い」と答える場面が増えたが、ストーバーグはそのエナジーに言及する。

「バックファイブは今季、しっかりと最後まで押し切ることに注力しています。だからうまく組めなかったときに『なぜだろう』と考えるようになった。スクラムに対して責任を感じるようになりました」

新たなポジションで、新たな役割とともに、しかし従来の役割も全うする仕事人。ストーバーグの働きが、いま、チームの屋台骨だ。

今節の対戦相手は、第7節で対戦し8点差で敗れた静岡ブルーレヴズ。「前回は、危険なエリアからしっかりと脱出できなかったことで自分たちを苦しめてしまった」と振り返る。

今回意識するのは『セット・ザ・トーン』。相手がフィジカルなチームだと理解しているからこそ「キックオフの瞬間からドミネートし、そのベースを高いところに設定した上で、80分間戦い続けることが大事」だと説明した。

今節のキックオフは3月22日(土)14時30分。ビジターチームとしてIAIスタジアム日本平へ、リベンジに向かう。

(原田友莉子)

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