2025.03.27[相模原DB]32歳でも「16歳のころに戻った気分」。深く感じるチームと自身の変化

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2025年3月29日(土)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

三菱重工相模原ダイナボアーズのタウモハパイ ホネティ選手。「チームとして順位は意識していません」と話すが、2連勝で11位から7位に浮上。大事な13節を迎える

三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は、昨季まで“勝利の歌”がなかった。

新加入選手の指摘で今季から始まったチームソング。普段は試合後に歌われる。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)戦4日前の練習が終わったあと、晴天の下のグラウンドで選手たちはハドルを組み、手を叩きながら大きな声でチームソングを歌った。チームの士気は高まっている。

今季初の連勝で7位に上昇したが、選手たちにふわついた雰囲気は感じられない。

タウモハパイ ホネティは「チームとして順位は意識していません。自分たちの行動に集中することで結果が付いてくると考えています」と明かす。

トンガ出身の32歳、愛称は“ネティ”。以前はクボタスピアーズ(当時)でプレーし、相模原DBでのプレーは4シーズン目。ディビジョン1でも結果を残すようになったチームの成長をともに歩んできた。

「プロ意識、チーム環境、ラグビーに対する選手の知識という3つのポイントがレベルアップしたことで、いまのパフォーマンスにつながっていると思います」。チームの変化を概観した上で、自分自身の変化をこう口にした。

「(フィットネス強化などを担当するヘッドオブアスレティックパフォーマンスの)アンドレ・クインのおかげで16歳のころに戻った気分です。詳細な管理によってとても体調がいいです」

密集エリアからいつの間にかボールを持って抜け出すシーンもたびたび見せる。

「経験を積んだことで試合状況の理解度が高くなりました。ルーキーのころはみんなに言われたことをやるだけでしたが、いまはいろいろなことが見えるようになって、細かいところも気付けるようになりました」

次は古巣との対戦だ。S東京ベイが22連勝中、難攻不落のスピアーズえどりくフィールドへ出陣する。

「相手は僕たちと同じ人間です。タフさはダイナボアーズも同じようにもっているので、自分たちのゲームプランをしっかりと出せるように、目の前の仕事に集中するだけです、それによって結果も付いてくると思います」と闘志を見せる。

勝利の歌を響かせるのはどちらだ?

(宮本隆介)

2025.03.27[S東京ベイ]主語はいつも『私』にあらず。雄弁なプレーと、チーム第一主義の信条

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2025年3月29日(土)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのリカス・プレトリアス選手。「『13』番のジャージーを着ることは誇りです。だから、毎試合ベストを尽くしたい」

リカス・プレトリアスは、自身についてあまり多くを語らない。「今季絶好調の理由は?」、「敵陣を切り裂く鋭いランの源は?」。そうした質問を投げ掛けても、具体的な練習内容などを語るのではなく、「チームに貢献したいから」と、まるで他人が見た夢の話のようなふわっとした回答が返ってくる。

といっても、別に自身の個人的な感情や努力の源泉を明かすことを避けているわけでもなければ、あえて謙虚に振る舞っているわけでもない。実際のところは本人にしか分からないことではあるが、おそらくその深層に存在するのは『環境が自分を生かす』という心の軸だ。

南アフリカ出身の26歳。ポジションはセンター。名門・グレイカレッジ高校出身で、同じくクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)所属のピーター・ラピース・ラブスカフニは同校の先輩、メルヴェ・オリヴィエは後輩にあたる。憧れのプレーヤーは、2022-23シーズンまでS東京ベイに在籍していたライアン・クロッティだという。2022年入団のプレトリアスは、目標とする偉大なセンターと同じ時間を1年間共有している。

「彼はプロフェッショナルで、基本を徹底的にやり抜く選手です。私は基本を意識し、なぜクロッティが優れたプレーヤーであるのかを理解しようとし、実際に彼にいろいろな質問もしました。このチームは彼から学び、成長できる環境にありました」

そして今季、プレトリアスはかつてクロッティが背負っていた『13』のジャージーをまとい、ピッチに立つ。今季は開幕節から先発出場。前節の横浜キヤノンイーグルス戦までに6トライを挙げるなど、チームの重要な戦力となっている。

「『13』番のジャージーを着ることは誇りです。だから、毎試合ベストを尽くしたいと思っています。このチームで勝ち、そして優勝したい。これがいまの目標です」

そのベストを尽くせる要因を尋ねると「チームのプロセスがとても素晴らしいから」。やはりここでも、主語は「私」ではない。

「チームに貢献するために、自分の強みを見つけ、それを最大限に生かすように心掛けています。次の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦でも、コーチが求めていることを理解し、ボールタッチを増やし、チャンスを作りたいです」

その原動力は何なのか。そう問うと、「チームへの愛情です」と、ようやく具体性を帯びた言葉が返ってきた。グラウンドを疾風のように駆け抜けるプレーが、雄弁にその思いを物語る。

(藤本かずまさ)

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