2025.04.04[埼玉WK]主力定着と日本代表を夢見て。未完の大器は母国の両親への思いを胸に奮闘を誓う

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月5日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs トヨタヴェルブリッツ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

埼玉パナソニックワイルドナイツのリサラ・フィナウ選手。ポジションは3番(右プロップ)、趣味はピアノ

埼玉パナソニックワイルドナイツのリサラ・フィナウがリーグワン第13節・浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦で初出場初先発を果たし、初キャップを獲得した。4月5日に開催される今節のトヨタヴェルブリッツ戦もスタメン出場が決定した。

今春に大東文化大学を卒業した未完の大器。強靭なフィジカルを生かしたパワフルなスクラムと、攻守のハードワークが特徴だ。

今年1月、早稲田大学の佐藤健次らとともにアーリーエントリーされた。佐藤が早々にデビューを果たす中、虎視眈々とチャンスを狙っていた。そして前節・浦安DR戦で夢だったリーグワンのフィールドに立った。

「アーリーエントリーの二人で一緒にチームを盛り上げたいと思いました。連敗の状況の中で、初キャップだったので緊張で頭がぐちゃぐちゃでした。自分の役割を果たすことだけを考えた結果、勝利をつかむことができてホッとしました」

トンガ出身で、青森山田高校に入学するため来日。東北の地で心技体を鍛え上げ、大東文化大学経由で熊谷へ。今週の熊谷は冬に戻ったかのような寒さとなったが、フィナウは「青森では雪の中で練習していたので、へっちゃらです」と袖をまくる。

ちなみに7年前の来日直後は雪を初めて見て感動したというが、冬練習で雪の冷たさを痛感。「あまりの冷たさに逃げ出したいと思ったこともありました」と笑顔で振り返るが、仲間とともに乗り越えたことで強くなれたという。

ラグビー以外の特技はピアノ。小さいころから音楽が身近にあり、ギターも得意だという。高校時代は学校行事でピアノの弾き語りを披露したこともあるそうだ。

「ピアノを弾くと、リラックスできます。クラブハウスにはピアノがないので(笑)、いまはなかなか弾けないのですが、ピアノを見ると弾きたくなります」。好きな曲はC&Kの『みかんハート』。みかんは「未完」の意味で、フィナウの“現在”と同じ。『みかんフィナウ』だ。

高校、大学を日本で過ごし、今春はプロキャリアのスタートとなる。異国の地でつらい日々もあったが、家族や恩師への感謝を忘れたことはない。初キャップを両親に報告したときは、電話口で二人とも泣いていたという。

「初キャップまで3、4年は掛かると覚悟していましたが、こんなに早くチャンスをもらえました。まだルーキーで課題ばかりですが、将来はチームの主力としてプレーして日本代表を目指していきたい」

情愛無限。フィナウは、さらなる喜びをトンガの両親に届けるために戦う。

(伊藤寿学)

2025.04.04[トヨタV] 苦しみながらたどり着いた100キャップ。元日本代表戦士はなお学び、アップデートする

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月5日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

100試合出場の節目を迎えるトヨタヴェルブリッツの茂野海人選手

前節、横浜キヤノンイーグルスに勝利し、順位を10位に上げたトヨタヴェルブリッツ。プレーオフトーナメントに進出できる6位との勝ち点差を6に縮めた。今節はさらに上位の埼玉パナソニックワイルドナイツに挑むビジターゲームだが、ここで勝ち点をどれだけ上積みできるかで、残り試合の展望が変わりそうだ。

この重要な一戦で通算100キャップを刻む予定の選手がいる。2019年のラグビーワールドカップ日本大会で日本代表に選出された経験を持つ茂野海人だ。1990年生まれの大ベテランで、2013年にNECグリーンロケッツ(当時)に入団。同年11月に初キャップを刻むと、2017年にトヨタ自動車ヴェルブリッツ(当時)に移籍した。

当時のルールで1年間公式戦に出場できない期間があったことや、けがや強力なライバルの登場があるなど、苦しい思いをしながらたどり着いた100キャップだが、「気が付けば100ですね」と茂野は一笑に付す。

「1年間出場できなかったのは残念でしたけど、出られない中で自分がどうやってチームに良い影響を与えるのか学べた1年でしたし、これまで苦しかったのはオフの走り込みとか練習だけで(笑)。過去のことは変えられないし、あまり先のことを気にせず、いまに集中したいと思っています」

苦しかったこともすべて自分にとってプラスのエネルギーに変換しているというベテランにとって、いま刺激になっているのはアーリーエントリーながら同じグラウンドに立つ小村真也の存在だ。

「小村はしっかりコールをしてくれるので、僕としてはボールに集中できますし、本当によく喋るようにしています。僕の方がかなり年上ですけど、小村がどう思っているのかしっかり聞いて、その新しい視点を取り入れることも大事なので」

キャリアを重ねると「自分はこうだから」と保守的になりがちだが、新しい情報を柔軟にアップデートできるところが、長く活躍できている秘訣なのかもしれない。

(斎藤孝一)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧