2025.04.11[東京SG]「花園は原点であり、大切な場所」。好プレー連発の1番が、ミドルエリア制圧の立役者となる

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月13日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)

ミドルエリアでのフォワード陣の攻防がひとつのポイントか。そのカギを握るのが東京サントリーサンゴリアスの左プロップ、小林賢太選手

大阪春の陣、第2幕へ。前節、東大阪市花園ラグビー場でのホストゲームで「今季チーム最多トライ&最多得点」の快勝を見せた東京サントリーサンゴリアス。今週の第15節も舞台は花園。3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)に挑むビジターゲームとなる。前節獲得した勝ち点によって今季初めてプレーオフトーナメント進出圏の6位に到達しただけに、ここで連勝を飾って6位以内をしっかり確保したい。

「まだプレーオフトーナメント進出が決まったわけではないですし、6位という順位に『うれしい』という気持ちはないですけど、やっと『チームとして勝つ』という意識が順位に反映されてきた気がします。気を引き締めて、ここからさらに上がっていくしかないです」

こう語るのは、今季ここまで全試合出場を果たし、好プレーを連発するプロップの小林賢太だ。第13節の静岡ブルーレヴズでは右まぶた上が大きく腫れるほどの激しいセットピースで体を張り、殊勲の逆転トライも決める活躍でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出。その腫れもまだ引かない中で出場した前節も、セットピースはもちろん、得意のボールキャリーで存在感を放った。

「ここ数試合、ミドルエリア(グラウンド中央付近)のフォワードが前に出るべきシーンで、狙いどおりのプレーができています。その結果、自分たちのやりたい『アグレッシブ・アタッキング・ラグビー』のテンポを生み出せていると思います」

今節の相手、S東京ベイはディビジョン1屈指の重量フォワードを擁する。まさにミドルエリアでのフォワード陣の攻防が勝敗のカギを握ることになりそうだ。

「雨予報ですけど、『どんな状況でも自分たちのスキルを信じて戦っていこう』というチームの流れはできています。セットピースでも、スクラムでコンタクトすることになる3番のオペティ・ヘル選手はS東京ベイのモメンタムを生む選手だと思うので、僕がしっかりスクラムで対抗してシャットダウンできれば、チームにとっていい勢いが生まれるはず。自分にしっかりフォーカスを当ててプレーしたいです」

兵庫県出身の小林賢太にとって、花園でプレーできる感慨も大きい。

「5歳でラグビーを始めて、小・中学生のころはずっと『花園でプレーしたい』と思いながらラグビーをしてきました。自分の原点じゃないですけど、そういう大切な場所で先週に続いてプレーできるのは光栄なこと。その気持ちとともに試合に臨みたいです」

(オグマナオト)

2025.04.11[S東京ベイ]家族の笑顔を糧に恐怖を克服した1番が、地元の大阪で「勝たなきゃいけない試合」に臨む

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月13日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 東京サントリーサンゴリアス

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの海士広大選手。リザーブとして17番でメンバー入り

バーナー症候群。首や肩に強い衝撃が加わり、腕に向かう神経が一時的に圧迫・けん引されて生じる神経症状で、焼けるような痛みが走ることからそう呼ばれる。

安定したプレーで1番を背負うことも多い海士広大は2023年、入団7年目にしてプロ転向を果たす。だが、プレシーズン中にバーナー症候群を発症。プロとして最初のシーズンとなった昨季は苦悩の1年となった。

試合中、痛みは予告なく襲い掛かってきては、彼の動きを停止させた。その感覚は息を潜めて、常に待ち伏せしている。海士は戦い続けることに恐怖を感じた。

「僕の強みでもあるブレイクダウンの部分がうまくいかなくなり、タックルの成功率も下がってしまいました。それで、昨季のプレシーズンにストーミーに相談したんです」

ストーミーとは、昨季新たにクボタスピアーズ船橋・東京ベイに加わったスコット・マクラウド アシスタントコーチの愛称。「首を正確な位置に置いていないから、痛くなるんだ。それはテクニックで修正できる」というマクラウド アシスタントコーチの助言は、海士が抱える恐怖心の根源を少しずつほどいていった。

また、逃げずに立ち向かうべき理由もあった。昨年4月に第一子が誕生。守るべき家族の笑顔が、海士の背中を強く押した。

「もっと頑張らないといけないなって。ウチの子が大きくなって、僕がラグビーをやっていたことを覚えていてくれるくらいまでは続けたいです」

今季、戦いを重ねていく中で、待ち伏せしていた恐怖は消え失せた。次なる相手は東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。舞台は地元大阪の東大阪市花園ラグビー場でのホストゲームで迎え撃つ。

「花園での東京SG戦には、いいイメージがないんです」

21年5月、クボタスピアーズは花園で開催されたトップリーグのプレーオフトーナメント準決勝でサントリーサンゴリアスに敗戦。そもそも海士が入団した17年当時、クボタスピアーズはまだ発展途上の段階にあり、サントリーサンゴリアスは常にクボタスピアーズを上回る存在だった。

「だから、“レベルアップしたクボタスピアーズ”を見せられるのが(今節の)東京SG戦だと思っています。勝たなきゃいけない試合です」

2年前、東京SGとのプレーオフトーナメント準決勝。海士は試合開始早々にハイタックルを受け、1週間後の優勝決定戦を欠場するに至った。当時の心境を「悔しかったですが、優勝したうれしさのほうが大きかったです」と、苦痛を微塵も感じさせない笑顔で振り返る。だからこそ、今季は「優勝の瞬間、グラウンドに立っていたい」。自らの足で、花園の先にある頂点を目指す。

(藤本かずまさ)


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