2025.04.24[埼玉WK]“負け知らず”の稲垣啓太は、この一瞬にすべてを懸けて、魂をぶつけていく

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月26日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs リコーブラックラムズ東京

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

埼玉パナソニックワイルドナイツの稲垣啓太選手。「簡単な試合は1試合もない。目の前のゲーム、目の前のプレーで、やるべきことを遂行するだけ」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の稲垣啓太がリーグワン第15節の三重ホンダヒート戦で、2月9日の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦以来、約2カ月ぶりにピッチに戻り、入団12年で初のゲームキャプテンとしてチームを勝利に導いた。そして今節、リコーブラックラムズ東京戦でもスタメンでピッチに立つ。

やはり、チームに不可欠な存在だ。コンディション不良によって第8節以降、欠場が続いていた中、チームは第11節の静岡ブルーレヴス戦、第12節のBL東京戦でまさかの連敗。一時、首位から陥落する状況になった。埼玉WKがリーグワンにおけるリーグ戦で敗れたのは2022-23シーズンの第15節以来、1年11カ月ぶり。ここ3シーズンでもわずか3敗しかしていないが、そのすべての試合は稲垣が欠場したゲームだった。

「自分が欠場した部分は別にして、敗れたゲームには必ず敗因がある。チームとして相手よりも得点する力が出せなかった。だから勝てなかった」

今季のリーグワンは、群雄割拠の大混戦となっている。4シーズン目に入り、リーグが成熟し、各チームの戦力が拮抗してきたという見方が強いが、日本を代表するプロップの考えは少し違う。「あくまで個人的な考え」と前置きした上で「以前もチーム力にそこまでの差はなかったと思う。ゲーム終盤に正しい判断をして、土壇場でクオリティーを発揮できるか。それが小さいか大きいかは別にして、その差が結果につながっていたと考えている」と説く。

実際に埼玉WKは過去2シーズンのリーグ戦で首位を独走しながらも、プレーオフトーナメント決勝で惜敗し、準優勝に終わっている。だからこそ、目の前の一戦に、どれだけ集中力を研ぎ澄ませられるかが問われている。

ゲームから離れた期間、稲垣はリハビリを兼ねてリザーブチームで調整を続けてきた。それも稲垣のキャリアで、初めてのことだったという。

「リサラ(・フィナウ)とか若い選手のハングリーさを肌で感じて、自分にとっても大きな学びがあった。この年齢(34歳)になると、若い選手が話し掛けてこないかと思ったが(笑)、積極的に聞きに来る選手が多かった。このチームは確実に底上げできていると感じた」

埼玉WKは首位を死守するが、主力数選手に負傷が続き、チームは依然としてスクランブル状態にある。レギュラーシーズン残り3戦は1位でのプレーオフトーナメント進出を懸けての熾烈な戦いになることが想定される。

「簡単な試合は1試合もない。目の前のゲーム、目の前のプレーで、やるべきことを遂行するだけ」。

先は見ない。やるべきことは、目の前の“壁”を突き破ることだけ。稲垣は、この一瞬にすべてを懸けて、魂をぶつけていく。

(伊藤寿学)

2025.04.24[BR東京]特別な古巣戦。会話を重ね、信頼を勝ち取り、「一番自信をもって」熊谷に乗り込む

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月26日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

リコーブラックラムズ東京のセミシ・トゥポウ選手。「いまのBR東京には、必要なメンバーに必要なシステムがそろっていると感じます」

現在12戦連続出場中。第7節からは先発を続けているリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)のセミシ・トゥポウは、昨季、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)から加入し、今季は4トライを挙げている。

「昨季はあまりゲームタイムを得られなかったのですが、今季はグラウンドに立つ時間が増えました。プレー時間が長くなればなるほど、感覚が戻ってゲームフィットネスは上がり、チームに貢献できるようになりました」

上り調子を支えているのが、9番・10番との連係だ。TJ・ペレナラらとのコミュニケーション量を増やすことで、どうやったら自分がチームに貢献できるのかという会話が生まれ、自身のパフォーマンスも上がる。

「大事なことは、TJと(中楠)一期からの信頼でした。『僕がボールをもらったら相手に勝てる、何かを起こせる』と思ってもらえることが大事でした。それを証明できてからは、信頼を得られてさらにボールをもらえるようになったと思います」

チームメートからの信頼を勝ち取れたことが、自信にもつながったと説明した。

シーズン序盤は、フルバックを務めることもあったトゥポウ。納得するパフォーマンスは発揮できなかったが「現実を確認することができた」時間になった。

「トレーニングではしっかりフィットネスメニューをやらなければいけないという意識を高めることができました。そのおかげで、自分がプレーしたい形を取り戻せました」

苦い経験を乗り越える力も同時に身につけた。

いよいよレギュラーシーズンも残り3戦。現在勝ち点27で8位に付けるBR東京だが、プレーオフトーナメント進出圏内の6位・東京サントリーサンゴリアスとの勝ち点差はわずか4。十分に射程圏内だ。その状況で、今節戦うのは、首位の埼玉WK。トゥポウにとっては、3年間プレーした古巣との対戦となる。

「いまのBR東京には、必要なメンバーに必要なシステムがそろっていると感じます。これは初めての感覚です。しっかりチャレンジできるという気持ちも強い。これまでで一番自信をもって熊谷に向かえます」

そして「どの試合ももちろん勝ちたい」と前置きした上で「でもこの試合は、僕にとって特別。その気持ちが僕のパフォーマンスを通じて、みなさんに伝わればいいなと思います」と穏やかに言った。

勝負のラスト3。その皮切りの一戦となる第16節は、4月26日(土)14時30分に熊谷スポーツ文化公園ラグビー場でキックオフを迎える。

(原田友莉子)

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