2025.04.26[トヨタV]どん底から復活させてくれた仲間からのメッセージ。壁を乗り越えて、一世一代の大舞台に立つ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月27日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
トヨタヴェルブリッツ vs 東京サントリーサンゴリアス

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

トヨタヴェルブリッツの田村魁世選手。「プレッシャーもないですし、本当にあとはやるだけです」

ディビジョン1は残り3節。成績次第ではD1/D2入替戦に回る可能性があるトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)は、前回対戦で30対30という激闘の末に引き分けた東京サントリーサンゴリアスと、東大阪市花園ラグビー場で対戦する。

「残りの3週間で、シーズンを力強く締めくくりたい」と語るのは、イアン・フォスター共同コーチ。ここまでの成績にはとらわれず、今季最高のチームになってフィニッシュすることが選手に課せられたミッションである。

その中で、リーグワンファーストキャップを刻む選手がいる。背番号9で先発する田村魁世。同志社大学からトヨタVに加入して4シーズン目。高校日本代表やU20日本代表にも選出されたことがある若手のホープだ。2023年の夏にはチームの期待を背負い、ニュージーランドへラグビー留学のため派遣されている。

「いつチャンスが巡ってきてもいいようにと心掛けて準備はしてきました。やっとデビューできるということで、いまはすごく楽しみな気持ちです」と、表情を崩す。

ちょうど1年前、田村のメンタルはどん底にあった。それは極めて深刻で、ラグビーを辞めようとさえ考えていたという。ただ、高校の同期やトヨタVのチームメートからたくさんのメッセージをもらい、最悪の事態は避けることができた。「とりあえず目の前のことを全力でやるだけ」。田村は開き直って考えられるようになり、トレーニングに打ち込んだ結果、今季はフィットネスの面でも大きく向上。今節、アーロン・スミスや茂野海人といった実力者を抑え先発に指名された。

「休んでいた期間に支えてくれた人たち、心配してくれたチームメートの思いも背負って頑張りたい。姫野(和樹)さんからも『いつもどおりやれば大丈夫だ』と言われているし、仲間がサポートしてくれる。今までは試合に出場するのが目標でしたけど、いまはここからがスタートだと思っています。プレッシャーもないですし、本当にあとはやるだけです」

レベルの高いチーム内競争を続け、あきらめなかったことで巡ってきた千載一遇のチャンス。“西の聖地・花園”が田村にとって一世一代の大舞台になる。

(斎藤孝一)

2025.04.26[東京SG]仕事人が満を持しての先発出場。10番としてチームの空気を変える

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月27日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
トヨタヴェルブリッツ vs 東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)

先発としてのメンバー入りは1年4カ月ぶり。東京サントリーサンゴリアスの10番は森谷圭介選手

プレーオフトーナメント出場圏の6位につける東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。前節は手痛い黒星を喫してしまい、6位から9位までの勝ち点差がわずか5という大混戦が続く。4月27日の第16節、東大阪市花園ラグビー場でのトヨタヴェルブリッツ戦では、前節の黒星を引きずることなく、心機一転、勝利を目指したい。

その意味でも注目は、約1年4カ月ぶりのスタメン出場となる森谷圭介、31歳だ。帝京大学時代は主にフルバックとして活躍。東京SGでは『ユーティリティーバックス』として、試合状況によってセンター、ウイング、スタンドオフと、さまざまな役目を全うする仕事人だ。これまではリザーブとして、試合状況に応じて空気と戦術を変える役目を担ってきた男が、満を持してスタートからチームをけん引していくこととなる。ポジションはスタンドオフだ。

「ポジションがどこだから、というよりも、チームに求められるものを一つひとつのプレーで出せれば、と思ってやっています。スタンドオフとして先発する上で求められるのは、チームの“アタッキング・ラグビー”をしっかり遂行すること。チームプランの中で、ほかの14人の選手をコミットさせるように声で引っ張っていきたいです」

専門性の高いスタンドオフというポジションにもかかわらず、森谷が10番で本格的に試合に出るようになったのは、意外にも30歳を目前にしたタイミングだという。

「10番を本格的にやり始めたのは一昨季です。ゲームコントロールの部分はずっと試行錯誤ばかりでしたが、今季に入ってからは小野晃征ヘッドコーチと会話を重ね、いろいろな選手と話しながら、少しずつ分かってきたかな、という手ごたえはあります」

今節はリザーブから出場機会をうかがう立場だが、ハーフ団として連係を取ることになるスクラムハーフの福田健太も、森谷の多彩な能力に期待を寄せる。

「森谷さんはキックも強みですし、ランもできる。相手からすると一つに絞り込めないので、僕らの“アタッキング・ラグビー”も今までとは違うバリエーションが出せるはず。しっかり二人でスペースを共有しながら、森谷さんのコールを信じてボールを預けていきたいです」

レギュラーシーズンも今節を含めて残り3節。ラストスパートの勢いを生むためにも、異色のスタンドオフがチームの空気を変えてくれるはずだ。

(オグマナオト)

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