NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第1節
2024年12月21日(土)14:30 ベスト電器スタジアム (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
震災の街から震災の街へ。
ラグビーのポテンシャルを知る新・元気印
プレシーズンの好調をリーグに持ち込めるか。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の今季は12月21日、ベスト電器スタジアムで行われる九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)とのビジターゲームで開幕する。
釜石SWは6試合のプレシーズンマッチを戦い、D1の静岡ブルーレヴズに敗れたあと、5連勝。スコア、内容、結果がかみ合い、これまでにない順調な仕上がりを見せている。試合のピッチ内同様、トレーニングでも飛び抜けたポジティブマインドでチームにいいムードを持ち込んでいるのが新加入のアンガス・フレッチャーだ。
彼はなぜ常に明るく、チームにすべてを差し出そうとできるのか。
「それはもう“感謝”だけです。日本でプレーするのは夢でした。そこでプレーできるチャンスがあるのだから、できることをすべてするのは当たり前。(マインドや声かけは)スキルとは関係のないところで出せる部分でもあるし、プラスのエネルギーをチームにもたらしたいと常に考えています」
朝目が覚めた瞬間、夢に描いていた環境でラグビーができるという喜びが自然と湧いてくるというアンガス・フレッチャーが育った街は、ニュージーランドのクライストチャーチ。東日本大震災発生の17日前、巨大地震に見舞われた出身地を当時11歳だった彼は目の当たりにした。
「私自身、被災し、復興していくクライストチャーチを見てきました。釜石のクラブでプレーすることはどういうことか。(被災した)経験もあるので、その意義は理解しています」
この話題になると、それまでエネルギッシュで笑顔の絶えなかった表情は一変し、その重みをかみしめるように話す様子から、思いの深さの一端を垣間見ることができる。
「悲惨な天災で傷ついた人をラグビーは勇気づけてきました。私も地震後、街のクラブのラグビー選手が何度倒れても立ち上がり、食らいつく姿を見て、勇気と感動が湧いてきたことがいまでも忘れられません」
あの日、少年に勇気を与えたラガーマンの背中。あれから13年のときを経て、今度は自分が釜石のファンに向けて示すときがやってきた。
震災の街から震災の街へ。
ラグビーの持つポテンシャルを誰より知る男が、飛び切りの明るさとエナジーでチームの、そして釜石の元気印となる。
(髙橋拓磨)