2024.12.20[釜石SW]震災の街から震災の街へ。ラグビーのポテンシャルを知る新・元気印

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第1節
2024年12月21日(土)14:30 ベスト電器スタジアム (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

震災の街から震災の街へ。
ラグビーのポテンシャルを知る新・元気印

新加入のアンガス・フレッチャー選手。自身もニュージーランドのクライストチャーチ出身で、2011年の地震の被災者だ

プレシーズンの好調をリーグに持ち込めるか。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の今季は12月21日、ベスト電器スタジアムで行われる九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)とのビジターゲームで開幕する。

釜石SWは6試合のプレシーズンマッチを戦い、D1の静岡ブルーレヴズに敗れたあと、5連勝。スコア、内容、結果がかみ合い、これまでにない順調な仕上がりを見せている。試合のピッチ内同様、トレーニングでも飛び抜けたポジティブマインドでチームにいいムードを持ち込んでいるのが新加入のアンガス・フレッチャーだ。

彼はなぜ常に明るく、チームにすべてを差し出そうとできるのか。

「それはもう“感謝”だけです。日本でプレーするのは夢でした。そこでプレーできるチャンスがあるのだから、できることをすべてするのは当たり前。(マインドや声かけは)スキルとは関係のないところで出せる部分でもあるし、プラスのエネルギーをチームにもたらしたいと常に考えています」

朝目が覚めた瞬間、夢に描いていた環境でラグビーができるという喜びが自然と湧いてくるというアンガス・フレッチャーが育った街は、ニュージーランドのクライストチャーチ。東日本大震災発生の17日前、巨大地震に見舞われた出身地を当時11歳だった彼は目の当たりにした。

「私自身、被災し、復興していくクライストチャーチを見てきました。釜石のクラブでプレーすることはどういうことか。(被災した)経験もあるので、その意義は理解しています」

この話題になると、それまでエネルギッシュで笑顔の絶えなかった表情は一変し、その重みをかみしめるように話す様子から、思いの深さの一端を垣間見ることができる。

「悲惨な天災で傷ついた人をラグビーは勇気づけてきました。私も地震後、街のクラブのラグビー選手が何度倒れても立ち上がり、食らいつく姿を見て、勇気と感動が湧いてきたことがいまでも忘れられません」

あの日、少年に勇気を与えたラガーマンの背中。あれから13年のときを経て、今度は自分が釜石のファンに向けて示すときがやってきた。

震災の街から震災の街へ。

ラグビーの持つポテンシャルを誰より知る男が、飛び切りの明るさとエナジーでチームの、そして釜石の元気印となる。

(髙橋拓磨)

2024.12.20[九州KV]「責任を楽しむ」指揮官とともに。その胸には確かな自信と高揚感

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第1節
2024年12月21日(土)14:30 ベスト電器スタジアム (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

「責任を楽しむ」指揮官とともに。
その胸には確かな自信と高揚感

「自分自身、開幕を前にして高揚感があります。楽しめているというこの感覚を結果として出したい」と語る、今村友基ヘッドコーチ

ディビジョン1への挑戦権が得られる2位以内を目標に掲げる九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は新シーズンの1歩目をベスト電器スタジアムでのホストゲームで踏み出す。相手は日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)、キックオフは12月21日、14時30分だ。

「責任を楽しめているという感覚があります」

今村友基ヘッドコーチは開幕を前に心境をこう語った。昨季も開幕からシーズン終了までチームの指揮を執ってきたが、肩書きはヘッドコーチ代行。過去、二度のヘッドコーチ代行経験を持つ今村ヘッドコーチにとって、代行の肩書きが取れた状態で臨むのは今季が初めてとなる。

「やっていることは代行のときとあまり変わらないですし、(代行の)肩書きが取れたからといって何か新しいことをやっているわけでもないです。責任は付きまといますが、それに対してポジティブに取り組めており、昨季以上に楽しもうという感覚があります」

昨季、最終戦となったD2 4~6位の順位決定戦に勝利し、残留を確定させながらも今村ヘッドコーチ代行(当時)は「おかしな言い方ですが、入替戦でまだ試合がある釜石SWさんがうらやましく思うところがあります。自分たちもこのメンバーでもっとラグビーがしたかった」と話した。それほど昨季のチームに充実感を覚えていた。

だからこそ、今季は昨季の充実感の延長戦上でチームを仕上げてきた。今季掲げたシーズンテーマは『BE TOUGHER』。選手たちには肉体的にも精神的にもタフになることを求める。

「自分自身、開幕を前にして高揚感があります。楽しめているというこの感覚を結果として出したいし、選手たちがやってくれるという自信があります。タフになった選手たちを見てもらいたいですし、見ている方々がエキサイトするようなラグビーをしたいです」

今村ヘッドコーチは確かな自信と高揚感を胸に開幕戦のピッチへ選手たちを送り出す。

(杉山文宣)

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