2025.03.14[S愛知]ラグビーの醍醐味はいまもなおその胸に。重傷を乗り越え、実直に、やるべきことをやり遂げる

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第8節
2025年3月15日(土)14:30 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

出場すれば実に14か月ぶりの復帰となる鈴木匠選手(写真はNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第4節、2024年1月13日の対浦安D-Rocks戦)

5連勝で首位に躍り出た豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、2位のレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)とヨドコウ桜スタジアムで対戦する。後半戦最初のカードが、いきなりの首位攻防戦となった。

「順位や勝ち点どうこうではなく、後半戦に向けてさらに成長するきっかけとなるような試合にしたい」と徳野洋一ヘッドコーチは語る。前半戦で唯一の黒星を付けられた相手に雪辱を果たし、良い後半戦のスタートを切りたい。

けがから戻ってきた鈴木匠は、リザーブから出場機会をうかがう。約1年2カ月ぶりとなる公式戦が天王山となるが、「リーグ戦の中の1試合」と泰然自若の様子。左ひざに重傷を負い、「復帰できるのかなと不安になることもあった」というが、周りの人のサポートもあり、グラウンドに帰ってきた。

「リハビリがキツ過ぎて、いまラグビーできていることが楽しいです」と鈴木。3歳から空手を習っていたが、父親の勧めもありラグビーを始めることになった。「空手の道場が自由な雰囲気で、組み手のときにタックルしてもいいところでした。それがきっかけで『ラグビーやってみたら?』と言われて始めました」。

ラグビーに出会った当時の鈴木は「言い方が悪いですけど、こんなことしても許されるのかと思いました(笑)」と、ラグビーの醍醐味である体と体をぶつけ合うことに面白さを感じた。「痛みのことなんか考えず、目の前の相手にぶつかっていけるのが楽しいです」。あのとき感じたラグビーの楽しさは、いまも変わらないという。

与えられた役割を全力でやり切ることが、彼のモットーでもある。大好きなラグビーをするために、「本当にイヤだった(笑)」と回想したリハビリ期間も、「何も考えずにひたすらやっていました」。いまを全力で生きる。そんな言葉が彼にはぴったりだ。

グラウンド内でも「それだけでメンバーに選んでもらっている」と語るほど、実直にやるべきことをやる。プラスアルファをもたらす特別な存在でなくとも、各々の役割を実行できれば、勝利をつかみ取れるようにS愛知のラグビーはできている。“当たり前なプレー”の一つひとつに、鈴木匠はこだわる。

(齋藤弦)

2025.03.13[RH大阪]天王山で今季初先発をつかんだロック。泥臭さと勇敢さでチームを前に進める

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第8節
2025年3月15日(土)14:30 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

レッドハリケーンズ大阪(D2)

昨シーズン、ディビジョン2のベストタックラーを受賞した藤田達成選手

3月15日(土)、今季初めてヨドコウ桜スタジアムでホストゲームを行うレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。豊田自動織機シャトルズ愛知を迎え、ディビジョン2の第8節を戦う。

今季これまではリザーブだったロック・藤田達成が先発入りした。自身を「地味で目立たない」というが、昨季、チームは4位でありながら、D2のベストタックラーを受賞。松川功ヘッドコーチも、藤田のコリジョンやフィールドでの安定したプレーに信頼を寄せている。

今季これまでは、ロックには高さのある外国籍選手が先発していた。カテゴリCの選手ともメンバー争いをするポジションだが、藤田にとっては争っているのではなく「学んでいる」のだと言う。

「マイケル・アラダイス選手は、“ラインアウト博士”と呼ばれるほど知識が豊富で、先日も『そんなところまで見えているのか』と驚かされました。エリオット・ストーク選手は普段は楽しい人柄だけど、試合では引っ張ってくれるリーダーシップがある」。以前チームメートだったヴィンピー・ファンデルヴァルトやローレンス・エラスマスからも多くを学んできた。

先発でもリザーブでも、「試合に出られること自体がうれしいこと。自分が出ないときはほかの選手が頑張ってくれるし、自分が出れば自分の役割を一生懸命やるだけ」と語った藤田。今節もこれまでと同様に、「スタンドで見ている(メンバー外の)選手たちに恥じないプレー」を見せる。

RH大阪は、「本当に泥臭く戦って、最終的に結果が付いてくるチーム」(藤田)だ。縁の下の力持ちとして「地味で目立たない」ことを繰り返し誠実に務める藤田のそのプレーこそが、チームを前に進める力となるだろう。

世間から見れば、リーグ戦の折り返し地点で首位の立場を失ったように見えるのかもれしれない。けれど、一貫してチャレンジャーの姿勢を貫くRH大阪に「失うものは何もない」(杉下暢キャプテン)。むしろシーズン前からの積み重ねへの手ごたえをはじめ、多くのものを得てきたのだ。「昨季に比べれば大躍進」(藤田)で、前半戦を終えた。後半戦1試合目の今節も、目の前にあることに全力を注ぎ、泥臭く、そして勇敢に、D2首位チームに立ち向かう。

(前田カオリ)

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