2025.03.28[GR東葛]瀧澤直、今季初のメンバー入り。5連勝が懸かる試合でも、大ベテランに慢心はなし

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第10節
2025年3月29日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

NECグリーンロケッツ東葛の瀧澤直選手。「その日に時間を作ってラグビーを見にきてくれた人に対して失礼なプレーはできない」

4連勝と好調を維持するNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)にとって、今節は3試合ぶりのホストゲームとなる。5連勝を懸けて対戦するのは、日本製鉄釜石シーウェイブスだ。

この試合では、2010年の入団以来GR東葛(加入当時はNECグリーンロケッツ)一筋を貫き、いかなるときでもチームのために全身全霊を捧げてきた男・瀧澤直が、今季初のリザーブメンバー入りを果たした。

瀧澤に試合への意気込みを問うと、彼は「僕は、今シーズンは初めて(の試合)なので、相手のことを考える余裕はないですね。自分のやるべきことを全うするだけです」と簡潔に答えた。それを「自己中心的に」と冗談を交えながら笑顔で話すが、言葉の意味を掘り下げていくと、彼の考えは自己中心的とは対極に位置していることが分かる。

「その日にしか試合を見にこられない人もいると思うんです。その日に時間を作ってラグビーを見にきてくれた人に対して失礼なプレーはできない」。

「試合に出たらプロップというポジション柄、スクラムを安定させる、もしくは相手にプレッシャーを掛ける、そこは絶対にやらなければいけない。あとは、リザーブでどれだけ出場時間があるか分からないですけど、その中で力を出し切って、頑張って走り回ろうと思います」

「試合の終盤は、トライ数の状況次第でペナルティの選択が変わってくることがあると思います。それは10番の指示になると思うんですけど、そこに対して僕が情報を与えて、彼らを少しでもラクにさせてあげる。そういう役割をして助けたいと思います」

自己中心的ではない。むしろチームや、スタジアムに足を運んでくれるファンのことを第一に考えている。そんな瀧澤にとって、この試合における大きなモチベーションの一つが、日頃から支えてくれている家族の存在だ。試合当日のスタジアムには家族も駆け付けるため「試合が終わったあとに笑いながら写真を撮れれば……。それが僕のモチベーションですかね」と柔和な表情で語った。

チームメートからは“タッキーさん”の愛称で親しまれ、人望も厚い選手だからこそ、瀧澤のメンバー入りは確実にチームのギアを引き上げるだろう。しかも瀧澤が「D1もD2も順位が下のチームが上のチームに勝つということが起きているのがリーグワン。順位に関係なく、僕たちは戦わなければいけない」と話すとおり、GR東葛には慢心もない。

(鈴木潤)


2025.03.27[釜石SW]「ペットボトルを楕円球に持ち替えて」。コリジョンにこだわるセンターがリベンジに燃える

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第10節
2025年3月29日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

日本製鉄釜石シーウェイブスのトンガ モセセ選手。「この試合ではコリジョン(接点)のところで強く行く姿を見せたい」

3月29日(土)、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は柏の葉公園総合競技場で行われるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とのビジターゲームに臨む。

2連敗で迎える4週連続の試合の最後の一戦に向けて、静かな闘志を燃やすのがトンガ モセセだ。

「どちらかと言うと負けた試合のほうが長く心に残ります。どの試合も悔しいことに変わりはないけど、(ディビジョン2第2節の)GR東葛とのホストゲーム開幕戦に負けたときのことはいまでも忘れていません」

勝っても負けても気持ちを切り替えて、次戦の準備、自分たちがすべきことに集中するのは言うまでもない。それでもなお、胸に残るものがある。チームとしてもシーズン開幕戦とホストゲーム開幕戦にフォーカスしてきた。だからこそトンガは「ファンのみなさんを喜ばせることができなかった」と唇をかむ。

彼はその名が示すとおり、トンガの出身。7歳のころ、祖父に連れられて行った試合がラグビーとの最初の接点だった。体をぶつけて相手をはね飛ばす。その迫力に魅了された少年はすぐに同年代の子供らとラグビーを始めた。

「当時はラグビーボールなんてなかったので、ペットボトルに半分だけ水を入れて、それをボールの代わりにしてラグビーを楽しんでいました」

中学に入ってからクラブチームで本格的に学び始め、16歳で来日。日本航空高校石川に入学した当初はやはり言葉の壁にぶつかったが、日々の勉強と仲間とのコミュニケーションで上達し、いまでは流暢に日本語を話す。高校卒業後は天理大学に進み、日野自動車レッドドルフィンズ(当時)に入団。2023年に釜石SWに加入した。

今季は4試合に出場。唯一の先発出場となったのがGR東葛戦だったが、今回スタメンを手にしたのも同じ相手となった。

「タックルのところはチームとしてもっとやっていかなきゃいけない。僕はそこを強みにしているので、この試合ではコリジョン(接点)のところで強く行く姿を見せたい」

特長でもあるコリジョンの強さに加えて、「今季は何試合も接戦を落としている。フィニッシュのところでトライを奪い切ることができていない」と勝ち切るため、アタックの最終局面での重要性も強調した。

決して大きいとは言えない173cmの体に、ラグビー、そして勝利への強い情熱を宿すトンガ。必ずや「ホストゲームで敗れたリベンジ」を果たし、あの愛らしいスマイルで1週間後に迎える33歳の誕生日を祝うことだろう。

(髙橋拓磨)

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