2025.04.10[江東BS] 狙うのはリベンジ以上の成果。特別な思いで臨むヘッドコーチの古巣戦

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs NECグリーンロケッツ東葛

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

清水建設江東ブルーシャークスの吉廣広征ヘッドコーチ兼マーケティングリーダーは、対戦相手のNECグリーンロケッツ東葛で14年間プレーした経歴をもつ

同じ相手に、同じシーズンで二度も負けるわけにはいかない──。

その思いを胸に、4月12日(土)、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)はホストゲームでNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と対戦する。

今季初対決では、23対50と大差で敗れた。特に後半、わずか20分間で5つのトライを献上し、悔しさがにじむ完敗だった。

だが、チームはそれ以来、確実に強くなってきた。前節、江東BSはレッドハリケーンズ大阪との接戦を20対14で制した。前半戦では敗れた相手だったが、苦しい時間帯も仲間を信じて体を張り、勝利をもぎ取った。リーグ前半で許した雪辱を、しっかりと果たしてみせたのだ。

そして、チームが次にぶつかる壁こそが、GR東葛。この試合に、並々ならぬ想いを抱く人物がいる。吉廣広征ヘッドコーチ兼マーケティングリーダーだ。かつてGR東葛で14年間プレーした彼にとって、この一戦は特別だ。とはいえ、本人は「選手にとってはヘッドコーチが古巣戦かどうかなんて、関係ないですから」と笑いながら応じる。しかし、選手から聞こえてくるのは「めちゃくちゃ熱いものがありますし、『絶対勝つ』って僕たちにも言っています」という苦笑混じりのコメントだ。江東BSに加入して3シーズン目、ヘッドコーチになって2シーズン目。自身がいま、ともに戦うチームと、よく知る古巣に挑むときが来た。

そんな吉廣ヘッドコーチは今季、江東BSとともに苦しい局面を何度も乗り越えてきた。例えば、豊田自動織機シャトルズ愛知に28対75で大敗を喫した直後、自らの責任を語った。「1回目よりも2回目の対戦の方ほうが点差が広がったというのは、選手が入れ替わっていない以上、完全にコーチング側の責任です。自分の取り組みややり方を、根本から見直さなければいけないと痛感しました」。

それからチームは着実にステップアップしている。「2年前の自分たちなら、相手はチャレンジングなメンバーを出してきた。でも、いまは違う。ちゃんと分析され、主力をぶつけられている。それは成長の証ですし、そこでどう戦うかが問われています」。

シーズンを通じて経験値が上がり、ゲームの中での“我慢強さ”も身に付いてきている。「毎週の始めのメンバー発表から試合当日までに、メンバー変更なくできたことが今年はここまでないんです。去年は普通にできていたんですけど。今年は毎回誰かしら変わるというくらいタフな試合を乗り越えてきたので、だいぶ選手たちも強くなっています」。

今季のレギュラーシーズンはあと4試合。その中でどれだけ自分たちのラグビーを見せることができるか。いま、江東BSはリベンジを経て、新たなレベルに差し掛かっている。次のステップへと着実に歩む彼らを、ホストゲームで目に焼き付けたい。

(奥田明日美)

2025.04.10[GR東葛] リハビリを乗り越え、つかんだ初のメンバー入り。課題を“書き出し”、新たな舞台へ挑む

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

出場すればリーグワン初キャップ、NECグリーンロケッツ東葛の黄 世邏選手(写真提供:NECグリーンロケッツ東葛)

2024年11月17日。関西学院大学ラグビー部に所属していた黄世邏は、関西大学リーグ第6節の京都産業大学戦にて左ひざの内側靱帯を損傷した。断裂には至らなかったものの、完治までに数カ月を要する大けがだった。

その黄が、アーリーエントリーでNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)への加入が発表されたのは、関西大学リーグの試合から約2カ月後の1月23日。黄のリーグワンでのキャリアは、リハビリからのスタートとなった。

けがが癒え、GR東葛の練習に本格的に加わったのは3月中旬。約4カ月間も実戦から離れていた上に、プレーするステージもリーグワンに上がったわけである。当然ながら思いどおりのプレーはできなかった。

「プレーする環境が変わり、強度が上がったこともあると思いますけど、まったくプレーの感覚が戻らず、スクラムでも自分の特長や強みを出せませんでした」と、黄は戦列復帰後の自分のプレーを振り返った。

本来の感覚を取り戻し、さらにリーグワンのプレー強度に早く慣れるために、黄は新たな取り組みを始める。それは、練習の映像を繰り返し見ながら、その日の練習で浮かび上がった課題を書き出すことだった。

「練習でダメだったところを書き出して、次の日の練習で書き出したところを意識して取り組む。そこでまた課題が出たら書き出すという作業を繰り返してきました」

就寝前、起床時、そして練習直前のストレッチの際にも、その書き出したものを見ては、頭の中に刻み込んだ。大学時代は映像を一度見て、課題を把握するだけにとどめていたが、GR東葛加入後に“書き出す習慣”を身に付けてからは、練習では何を意識して取り組むべきか、それが明確になったという。

復帰から3週間が経ち、黄が今節の清水建設江東ブルーシャークス戦で初めてリザーブメンバー入りを果たしたのは、新たな取り組みと無関係ではないはずだ。

リーグワン初キャップのチャンスを目前に控え、黄は意気込みを語る。

「まずはスクラムを安定させて、バックスに良いボールを供給する。接点も増えてくると思うので、そこでハードワークをしてチームに貢献したいと思います。チームは6連勝が懸かっているのでプレッシャーもありますけど(苦笑)、自分が試合の途中から出ることで、連勝の良い流れを勢い付けられればいいと思います」

けがからの復帰戦にして、デビュー戦となる可能性もあるこの試合。4月12日、江東区夢の島陸上競技場で、黄はリーグワンでの第一歩を刻む。

(鈴木潤)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧