2025.05.02[GR東葛]好調だからこそ、研ぎ澄まされる集中力。スタンスを崩さず、また流れを一変させるプレーを

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

前節、NECグリーンロケッツ東葛の勝利に大きく貢献したキーガン・ファリア選手。今節も勝敗のカギを握るか

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、ここまで7連勝を記録している。前節の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)との一戦も、15対8で上位直接対決を制した。その勢いを携えて、今節は花園近鉄ライナーズとの大一番に臨む。

前節、POTM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いたキーガン・ファリアは「あの試合はディフェンスで勝てた」とS愛知戦の勝因を挙げた。試合開始4分で先制トライを奪われ、前半に関しては終始防戦を強いられた。逆転した後半にも、全員が体を張ったトライラインディフェンスでS愛知の猛攻を耐えしのいだ。

「自陣22mに何度も侵入されましたが、何フェーズも止め続けました。S愛知戦の勝利はチームがディフェンスに自信を深め、しっかりと上積みもできたと思います」

そう話すファリアが花園L戦のポイントに挙げるのも、やはりディフェンスである。GR東葛が7連勝中ならば、対する花園Lも5連勝中だ。しかも花園Lは、直近4試合では5トライ以上を決める圧巻の破壊力を見せている。2位と3位の上位直接対決とあって、拮抗した試合展開が予想される。

拮抗した両者の激突だからこそ、勝負の綾は必ずある。

S愛知戦では、ファリアの勝負どころで飛び出した二つのプレーが流れを引き寄せた。前半27分、ほぼ完璧な内容で試合を運んでいたS愛知のわずかな綻びを見逃さず、ファリアがパスをインターセプトして独走トライを決めた。後半12分にもファリアのロングキックに対してS愛知がボールの処理にもたつくと、長い距離を走ってキックチャージのこぼれ球を拾ったファリアがチャンス・ペニのハイタックルを誘発した。ペニにはイエローカードが提示され、数的有利を得たGR東葛に試合の流れが傾き始めたのである。

現在の調子を問うと、「非常に良いです」とファリアは笑顔で返してきた。状態が良いからこそ集中力が研ぎ澄まされ、体も動き、瞬間的に良いアクションができるのだろう。

ファリアが花園L戦への抱負を語る。

「チームのためにハードワークを尽くしたい。フォワードは目立たないけど本当にハードワークをしてくれている。パッチ(リース・パッチェル)も毎日キックの練習をしている。(S愛知戦で)トライをしたのは私だけど、そこに至るまでにいろいろな人の力がありました。今回も最高の仕事ができるように準備しておきたいです」

GR東葛が勝てば2位以上が確定する。ただ、ファリアは「それを考え過ぎず、チームとして何をすべきかにフォーカスする」と、あくまでスタンスを崩さずに今節の試合に臨む。

(鈴木潤)

2025.05.02[花園L]今季ラストのホストゲームにしないために。見たいのは、“クーパー、ここにあり”

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs NECグリーンロケッツ東葛

花園近鉄ライナーズ(D2)

華のあるプレーで観客を魅了する花園近鉄ライナーズのクウェイド・クーパー選手。「プレッシャーの掛かる試合を勝ち続けてきたことでチームはいま、いい状態にあります」

現在5連勝中で3位につける花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)がNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)をホストゲームで迎え撃つ。

花園Lは敗れた場合、D1/D2入替戦進出の可能性が消滅する崖っぷちの大一番。しかし、5連勝中のチームをウィル・ゲニアとのコンビでけん引してきたクウェイド・クーパーは、まったく気負うことなくチームの思いを代弁した。

「プレッシャーが掛かっていたのはいまのこの時期じゃなくて、もっと前のことです」

3月1日の清水建設江東ブルーシャークス戦で痛恨の逆転負けを喫したあとは、花園Lにとってすべて勝利が必要なトーナメント戦のような試合の連続だった。

「プレッシャーの掛かる試合を勝ち続けてきたことでチームはいま、いい状態にあります」(クーパー)

2試合連続で江川剛人がハットトリックを達成し、後半からピッチに立つことが多い、丸山凜太朗もクーパーとともにダブル司令塔として活躍するなどチームの底上げもなされている。

そんな花園Lの充実ぶりはクーパーの“ある仕草”に象徴されていると向井昭吾ヘッドコーチは言う。

「クウェイドがプレー中にみんなを止めてしゃべる場面が昨季はもっと多かったですが、今季はみんなが思うとおりに動いていて、彼がストレスなくボールを動かせています」

ピッチ上で見せるハードなプレーからは想像もつかないが、取材に応じる世界的スタンドオフの口ぶりは実に穏やかで、ときに哲学者のような深みのある言葉を紡ぎ続ける。

「GR東葛はハードで強い相手であることは分かっています。この試合はプレーしたくないような(重圧の掛かる)試合になることは分かっています。でも、それが楽しいんですよ」

数々の修羅場と大舞台を乗り越えてきた男だからこそ、プレッシャーを楽しめるのである。

そんなクーパーは、花園Lのパッセンジャー(花園Lファンの意)の思いも背負っている。

「今までいろいろなチームでプレーしてきましたが、ここのファンは別格です」

D1/D2入替戦進出を逃した場合、今季のホストゲームはGR東葛戦が最後になるが、花園Lの背番号10は「ファンの方々への感謝を示すためにも、自分自身はもう1試合、(D1/D2入替戦も)パッセンジャーの前で試合がしたいんです」。

クーパーここにあり、というプレーを東大阪市花園ラグビー場で見せてくれるはずだ。

(下薗昌記)

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