2025.04.30[RH大阪]どちらの立場の思いも知るからこそ、「ワンチームで戦いたい」ホストゲーム最終戦

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月2日(金)19:00 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

レッドハリケーンズ大阪(D2)

レッドハリケーンズ大阪の浜野達也選手。前回の対戦では先発メンバーとして敗れている。そこからは「先発メンバー外になっていたので、その悔しさもぶつけていきたい」

5月2日にヨドコウ桜スタジアムで行われるディビジョン2・第13節では、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)が日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎え、今季初のナイトゲームを行う。RH大阪にとっては、今節がレギュラーシーズンのホストゲーム最終戦だ。

今季は連勝で好調なスタートを切ったRH大阪だが、現在は6連敗中。その連敗の始まりは第7節、釜石SWとのビジターゲームだった。今節RH大阪の9番は、前節に急遽リザーブメンバー入りした浜野達也が務める。チームとして勝利が欲しいのはもちろんだが、浜野本人としても「(第7節で)先発して負けてしまってからは先発メンバー外になっていたので、その悔しさもぶつけていきたい」。

RH大阪には、スクラムハーフ登録の選手が4名在籍する。パスやキックの質をバランス良く保てるベテランの井之上明、パスのテンポも良くフィットネスの数値が4選手の中で最も高い浜野、自らも前に向かって仕掛けていけるアグレッシブな山内俊央、ファーストキャップを目指して研鑽を続けている牧山巧樹。今季これまでは、山内がリザーブに入ることが多かったため、井之上と浜野のいずれか一方が先発を務め、他方がストームチェイサー(RH大阪のノンメンバー選手たちの呼称)に入ってきた。

当然、「メンバーに入れないときは試合に出たいという思い」をもちながら、ストームチェイサーを務めている。ただ、メンバーとノンメンバーを行き来したことで、感じていることもあるという。

「ストームチェイサーとして練習する中で、競争を感じてきた。ほかのハーフの3人もレベルが高くて、それぞれに良いところがいっぱいある」。そのぶん、メンバー入りしたときには驕ることもなく、「出られることに感謝しつつ、選ばれた役割をしっかり果たすだけ」だと、真摯に与えられたことに向き合う。

メンバーに入れば、「練習でやっていることが試合に出るので、練習でプレッシャーを掛け続けてくれるストームチェイサー」の存在の大きさも感じる。だからこそ、レギュラーシーズンでは今季最後となるホストゲームは、ストームチェイサーや負傷している選手を含めた「ワンチームで戦いたい」。

ホスト最終戦は、チーム一丸となって7試合ぶりの勝利をつかみ、ホストタウンの人たちと喜びを分かち合いたい。

(前田カオリ)

2025.04.30[釜石SW] “北の鉄人”のパワーの源は、体との対話とメンタルのバランス、そして、愛妻とのメモ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月2日(金)19:00 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

フィジカルとメンタル両方のコンディショニングに長けている、日本製鉄釜石シーウェイブスのハミッシュ・ダルゼル選手

日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の前身、新日鉄釜石の選手たちは“北の鉄人”の異名をもっていたが、いまのチームにもその呼び名がしっくりくる選手がいる。その一人がハミッシュ・ダルゼルだ。

身長201cm、体重120kgの体格を誇るダルゼルは昨季、順位決定戦とD2/D3入替戦を含めた14試合中12試合で先発出場。今季も第2節こそ脳振盪の影響で欠場したが、それ以外はすべて先発に名を連ねるなど、ほとんどの時間でグラウンドに立っている。趣味であるゴルフのティーショットでは300ヤードを飛ばし、力自慢のチームメートすら苦笑いさせるという圧倒的なパワーを持つ。一方で特大の出力であるがゆえにけがの確率を高める場合もある。しかし、ダルゼルはここ数年、欠場につながるようなけがはない。その秘密はどこにあるのだろうか。

「健康であるために心掛けているのは“自分の体との対話”、そして対話したあとでどういう手段をとるのか。そこは毎日の練習やケアで常に意識して実践しています」

ダルゼルも20歳前後のころには肩の負傷に悩まされる時期があった。しかし、そういった経験を積むことで“体の声”を聞けるようになり、自分の状態を正確に把握できるようになってきたと言う。

「特に痛みと疲れには気を遣っていて、そういうものが出ているときは、トレーナーのトリートメントをいつも以上に受けたり、温浴と水風呂を繰り返したり。とにかく体調維持への対処が遅れないように先手を打つようなイメージです」

フィジカル同様、メンタルの重要性も口にする。大事なのは「頭の中がラグビーだけにならないこと」。また、「家族、友だち、趣味。頭のバランスを良くすること」がメンタル的な沼にハマらず、けがを予防することにもつながると話す。

もう一つ、ダルゼルには気持ちと思考をクリアにするためのとっておきのアイテムがある。それは“妻と作るメモ”だ。そこにはラグビーに関すること、そして人生に関することが記されている。

「『試合に勝つ』や『チームに貢献する』という大雑把な言葉では何をすべきか分かりにくい。だから自分が具体的にすべきこと、たとえばタックルを決める、ラインアウトでキャッチするなどをリストにして自分に落とし込む感じです」

加えて、コーチから学んだこと、自分のプレーで誇りに思っていることなども書かれたメモは、ラグビーフリークの妻と内容を二人で考えながら時々アップデートしている。このメモを試合会場に向かうバスの中で読みながら、頭の中をよりクリアにすることが彼のルーティンであり、験担ぎでもある。

遠くから見ても一目で分かる屈強な体格、先発出場を継続できるタフネス。健康を維持する現代の“北の鉄人”は、愛妻とのメモをスマホに携え、今節もチームを支え続ける。

(髙橋拓磨)

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