2025.05.01[九州KV]リーグワン初開催となる宮崎県で“凱旋試合”。「幸せをかみしめながら、誰よりも笑顔で」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)13:00 KUROKIRI STADIUM (宮崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

ラグビーを始めたのは高校から。「チームメートがいることが楽しくてしょうがなかった」と言う九州電力キューデンヴォルテクスの尾池亨允選手

九州電力キューデンヴォルテクスはレギュラーシーズンでは今季最後となるホストゲームに臨む。舞台はKUROKIRI STADIUM。宮崎県でのリーグワン初開催となる一戦は清水建設江東ブルーシャークスを迎えて、5月3日13時にキックオフする。

この一戦を誰よりも待ち望んでいた男がいる。それが尾池亨允だ。宮崎県日向市出身の尾池にとって今節は「高校生以来」の“凱旋試合”となる。

尾池がラグビーに初めて触れたのは高校1年生のとき。それまでは柔道一筋で中学では宮崎市内の強豪校に通うほど将来を嘱望されていた。しかし、「ずっと個人競技をやってきて、(柔道を)もう辞めたい」と思っていたという。思春期ならではの心の揺らぎだったが、そんなときにある光景を目にする。中学3年生のときに地元の日向高校が初めての花園行きを決め、地元が大いに沸いたのだった。

「それもあってラグビーをやりたいなと思いました」

憧れていたチームスポーツへの扉を尾池はこうして開くことになった。そして、仲間との日々は尾池にとって充実の連続だった。

「高校の3年間はあっとういう間でした。それまでが個人競技でやってきていたから、チームメートがいることが楽しくてしょうがなかった。キツいこともありましたけど、やっぱり楽しいことのほうが多かった。辞めたいと思ったことがないし、ラグビーは素晴らしいスポーツだなと感じました」

そんな自分の原点と言える場所に戻ってプレーするチャンスを得た。

「日程が決まったときからこの試合に出ることを目標にしていたので、(メンバー入りできたことは)うれしい。小さいころから宮崎で生まれ育って、大人になってもラグビーをしている自分を見せられるのがうれしいですし、『これだけ成長したんだぞ』というところを見せたい」

そして、尾池は今節を前にあることを誓った。

「僕は、自分のことをすごく楽しそうにラグビーしている人間だと思っています。地元開催といううれしさもありますけど、この試合は幸せをかみしめながら、誰よりも笑顔でラグビーしようと思っています」

仲間がいることの大切さを教えてくれたラグビーというスポーツへの感謝と、地元でプレーできる喜びをかみしめて──。尾池は最高の笑顔をグラウンドで見せる。

(杉山文宣)

2025.05.01[江東BS]チームとして“記憶に残る”特別な舞台で、若きスクラムハーフが楕円球を未来へ運ぶ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)13:00 KUROKIRI STADIUM (宮崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

自社が施工に携わりこの春に完成したばかりのスタジアムで試合に臨む、清水建設江東ブルーシャークスの金築達也選手

5月3日(土)、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)とビジターで対戦する。舞台は、4月に完成したばかりの宮崎県「KUROKIRI STADIUM(クロキリスタジアム)」。4階建て・収容人数1万5276人という壮大なスタジアムで、リーグワンの公式戦が宮崎県内で初めて開催される記念すべき一戦だ。

試合の重要性は言うまでもない。江東BSは現在6位、対する九州KVは7位。勝敗によって順位が入れ替わる可能性があり、D2/D3入替戦が現実味を帯びる中、両チームとも一歩も引けない戦いとなる。

両者の因縁も、この試合に重みを加える。2年前のD2/D3入替戦では、江東BSが九州KVを上回れず、D2からD3に降格した。その記憶はいまもチームに刻まれている。だからこそ、江東BSにとっては、単なる公式戦を超えたリベンジの意味をもつ一戦でもある。

さらに特別な意味を添えるのが、試合会場そのものだ。KUROKIRI STADIUMは、2027年に開催される第81回国民スポーツ大会・第26回全国障害者スポーツ大会のメインスタジアムとして建設された最新の施設。その施工を手がけたのが、ほかならぬ清水建設である。

江東BSを率いる一般社団法人清水建設江東ブルーシャークス代表理事・豊田桃介氏は、こう語る。「当社が施工に携わった完成したばかりのスタジアムで、最初にラグビーの試合をさせていただくことは大変名誉なことであると感じています。『クロキリスタジアムでの最初のラグビーの試合はブルーシャークスとキューデンヴォルテクスが戦ったんだ』とファンの方々の記憶に残る試合をしたいと思います」。

そしていま、その特別な舞台に立とうとしている若き選手がいる。社会人2年目を迎えた金築達也だ。2年前、江東BS加入を決めた直後、金築はスタンドから九州KVとの入替戦を見つめていた。

打ちのめされるチームの姿に、胸の奥に悔しさが刻まれたという。その翌年、アーリーエントリーでD3の試合を経験し、今季はD2でここまで12試合中9試合に出場。着実に存在感を示し、チームの中核へと成長してきた。

「いまでも、試合に出られるのは当たり前のことではない」と語る金築の姿には、覚悟と責任がにじんでいる。

4月からは営業職として本配属され、名刺を手に“顔を売る”日々が始まった。そんな彼が挑むのは、まさに“顔を売る”にふさわしい舞台。KUROKIRI STADIUMだ。

仕事を通じて、大きなスタジアムをつくり上げる苦労を知るからこそ、完成したばかりのフィールドに立つことの誇りは人一倍だろう。全員でつないできた楕円球を、次は若きスクラムハーフが未来へと運ぶ番だ。

(奥田明日美)

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