2025.05.09[花園L]勝てば入替戦進出が決まる大一番。“フッカー一族”のプライドを胸にリベンジを

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月10日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

花園近鉄ライナーズの松田一真選手。父・叔父・兄もフッカーで「気が付いたら僕もフッカーをしていました」

前節のNECグリーンロケッツ東葛との直接対決に勝利したことで2位に浮上し、今節で勝利すれば、自力でD1/D2入替戦への進出を決められる花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)との大一番に挑む。

「開幕戦で当たったチーム(状況)とは絶対に違います」

大言壮語を好まないはずの向井昭吾ヘッドコーチは、崖っぷちの状態からの6連勝での2位浮上につなげた選手たちへの信頼を語った。

今季のディビジョン2の開幕戦では20対24で競り負けているS愛知との最終節は花園Lにとってリベンジマッチでもあるが、松田一真にとっても、特別な一戦だ。

フッカーながら今季のトライ数はチーム5位タイの5つ。攻守両面でシーズン終盤の快進撃を支えている一人ではあるが、開幕戦で敗れたあとの2試合はリザーブメンバーにも入れず、悔しい思いをかみ締めてきた。

「(S愛知戦の)セットピースの問題で、僕の足りない部分が見られたので普通にメンバーから外れていました」

ただ、日々の練習でも居残りでスクラムやラインアウトのスローイングの練習を欠かさない松田は、再びはい上がってきた。「悔しさをバネにして、プラスになって帰ってきました」と向井ヘッドコーチも、その力を認めたが、フッカーとしては小柄で170cmの松田を支えるのは「僕はフッカー一族です。みんな、そんなに大きくないですけど」という家庭環境だ。

父と叔父、そして兄はいずれもフッカーとしてプレー。「気が付いたら僕もフッカーをしていました」とごく自然に体を張るポジションで、楕円形のボールを追い続けてきた松田は、「プレッシャーはありますけど、やりがいはあります。ライナーズではスクラムが強くないといけないのでそこはプライドをもっていますね」と筋骨隆々の胸を張った。

セットピースにおける彼の安定感はS愛知戦でもカギになる。

開幕戦で体をぶつけ合ったS愛知の強さは熟知しているが、「フォワードのバトルだと思っています。しっかりと体を当てて、堅実に前に出てチームに貢献したいと思います」。

“フッカー一族”のプライドをもつ小兵も、大一番を前に向井ヘッドコーチと同じ言葉を口にした。

「あのときとは違うライナーズを見せられると思います」(松田)

S愛知へのリベンジに成功したとき、花園Lは残り1枚しかない入替戦へ切符を手にすることになる。

(下薗昌紀)

2025.05.08[S愛知]貫きとおしたチームファースト。“シェルパーズ”のファーストキャップを見逃すな

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月10日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 花園近鉄ライナーズ

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

リザーブとしてメンバーに選ばれた、豊田自動織機シャトルズ愛知のフリッツ・ヤンケタヴァナ選手

前節の勝利でディビジョン2の優勝とD1/D2入替戦進出を決めた豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、レギュラーシーズン最終戦をホストスタジアムであるウェーブスタジアム刈谷で迎える。相手は2位の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)だ。

目標としているD1昇格への挑戦権はつかんだ。D1/D2入替戦に万全を期して臨むため、この試合もチームとして成長を遂げる機会にしたい。花園Lは勝利を収めればD1/D2入替戦への進出が決定するため、何としてでも勝ちにくる。そういった相手に対して、真っ向からぶつかることのできる絶好の機会だ。

そんな重要な試合でファーストキャップを獲得する可能性があるのが、今季からS愛知に加入したフリッツ・ヤンケタヴァナだ。ニュージーランド生まれオーストラリア育ちの21歳。201cm/116kgと恵まれた体格をもつ、将来性抜群の選手である。

「この日を長い間待っていました。今季中のデビューを目標としていたので、それを達成できそうでうれしいですし、ここからが新たなスタートだと思っています」

今季、S愛知は試合に出場しないメンバーのことを「シェルパーズ」と呼んでいる。「シェルパ」とは、登山において、登山者の荷物運びや案内役を担う人々のことを指す登山用語だ。S愛知はD1昇格という一大目標を山に例え、チーム一丸で山頂を目指している。

その“シェルパーズ”の中で、ひと際存在感を放っていたのがフリッツだ。「試合に出場するメンバーが最高の準備をして試合に臨むため、“シェルパーズ”も最高の準備をする必要があります」。

しかし、ただの練習相手となるだけでは、より高いレベルでの成長は望めない。試合に出るメンバーと切磋琢磨する中で、数々の学びを得た。「お互いに良い影響を及ぼし合っている」からこそ、S愛知はD2の優勝チームとなったのだ。

「コーチ陣から求められている、相手を支配してハードにボールキャリーをするところを試合で見せたいと思っています」

試合に出られなくとも、チームに貢献するためにできることがある。それを探求し続けた男の、勲章のファーストキャップを見逃すな。

(齋藤弦)

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