2025.05.09[九州KV] 見据えるのは勝利のみ。最高の思い出を作るため、この試合が“現役最後”

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月11日(日)12:00 ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ(北上総合運動公園) (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

今シーズン限りで引退。九州電力キューデンヴォルテクスのトム・テイラー選手

最終節までもつれ込んだD2/D3入替戦への残り一枠。7位につける九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)だが、5位の清水建設江東ブルーシャークスと6位の日野レッドドルフィンズが直接対決となるため、九州KVは勝利すれば“残留”が決まる。勝利だけを見据えてビジターゲームへ臨む。

この一戦を“現役最後の試合”にするという強い覚悟をもって臨むのがトム・テイラーだ。ニュージーランド代表“オールブラックス”で3キャップ。2020年に来日し、一昨季から九州KVに加わった好漢は5月1日に今季限りでの現役引退を発表した。

「年齢を重ねて肉体的にもキツくなってきたということ。長い間、選手としてプレーを続けてきましたし、自分の人生のことを考えると今回が良いタイミングなのかなと思い、決断しました」

しかし、その表情は実に晴れやかだった。自身も後ろ髪を引かれる思いはまったくないことを強調した。

「ニュージーランドで5年、フランスで5年、日本で5年、違う文化の中でラグビーの魅力に触れることができましたし、素晴らしい人たちと出会うこともできました。後悔はまったくありません」

選手として過ごす“最後の1週間”だからこそ、過去を振り返るのではなく、ラグビーを楽しんでいる。

「毎日をしっかり楽しみながら練習していますし、この環境にいられる喜びを感じています。人生のほとんどの時間をスポーツに費やしてきたことを考えれば、2カ月後、3カ月後に悲しい気持ちになるのかもしれない。でも、いまはビーチで過ごす休日が楽しみです(笑)」

現役最後の試合はチームの残留が懸かる「ビッグマッチ」となった。もちろん、勝利して自身のキャリアを終えること。そして、残留を置き土産にすることしか考えていない。

「努力してハードワークをする。あとは楽しみたいという気持ちがあります。ビッグゲームですけど、その瞬間を楽しみながら、試合後、振り返ったときに最高だったなと思えるようにしたいです」

敗れれば、D2/D3入替戦に回るため、選手としての期間は“3週間のアディショナルタイム”を迎えることになるが、もちろん、そんなつもりはまったくない。

「また厳しい練習をすることになる?もちろん、そんなつもりはまったくない(笑)。この試合では自分のもてるすべてを出したいと考えています。勝ってからこの試合のことやここ1カ月のこと、自分のキャリアを振り返りたい」

勝って残留を決める。最高の思い出とともに“現役最後の試合”を笑顔で締めくくる。

(杉山文宣)

2025.05.09[釜石SW]“いい終わり方”のために必要な丁寧さ。レギュラーシーズン最終戦で流れを変える勝利を

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月11日(日)12:00 ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ(北上総合運動公園) (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 九州電力キューデンヴォルテクス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

ここまで6連敗中の日本製鉄釜石シーウェイブス。「今節の勝利はその流れや雰囲気を払しょくするためにもすごく大事になると思っています」と南篤志選手は言う

今季のレギュラーシーズン最終戦。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は、ウエスタンデジタルスタジアムきたかみに九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)を迎えるホストゲームに臨む。

釜石SWはすでにディビジョン2最下位が確定している状況だが、それでも今節は「重要な一戦になる」と話すのが南篤志だ。大前提として「九州KV戦にフォーカスする」としつつも、2週間後から行われるD2/D3入替戦も視野に入っている。

「シーズンを勝ち続けて臨んでくる(D2/D3入替戦の対戦相手である)マツダスカイアクティブズ広島と、負けが続いている釜石SWとでは勢いや雰囲気の差はあると思います。だからこそ、今節の勝利はその流れや雰囲気を払しょくするためにもすごく大事になると思っています」

7試合ぶりとなる勝利のために必要なのは、「丁寧さ」だと言う。

「練習でも何をターゲットとしているのかをもっとピンポイントで合わせていく必要があります。負け続けていると自分たちの中にいま取り組んでいることへの迷いが多少なりとも生じがちで、それがフォーカスすべきことへの微妙なズレにつながってしまう。意思統一を丁寧にして、試合に臨みたいです」

南は今季の開幕戦となった九州KV戦に先発出場。チームとして必勝を期して臨んだこの試合での惜敗がシーズンをとおしてのターニングポイントになったと考えている。「開幕戦でつまずいてしまったことが、いま振り返ればシーズン全体に響いてしまったのかな、と。そこから、自分たちから仕掛けていけばうまくいく場面でも、受けに回って難しくしてしまう試合が多くなってしまったような印象です」。この試合では最終盤のプレーで逆転の可能性もあった。それでも勝ち切れなかったことが、シーズンをとおしての流れに影響を及ぼしてしまった。

内容的にはどのチームに対しても競り合える力は示したものの、結果的には厳しいレギュラーシーズンとなった今季。しかし、トップチャレンジリーグ時代も含めて、釜石SWはシーズン終盤という土壇場で力を発揮し、残留を勝ち取ってきた歴史がある。「本来は、そこ(入替戦)の前にしっかり結果を残さないといけないですけど」と、2016年に加入した古参のスクラムハーフは苦笑いを浮かべるが、“いい終わり方”のために丁寧さを徹底し、レギュラーシーズンの最後を締めくくるホストゲームで流れを変える勝利を誓う。

(髙橋拓磨)

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