NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月11日(日)12:00 ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ(北上総合運動公園) (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 九州電力キューデンヴォルテクス
九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

最終節までもつれ込んだD2/D3入替戦への残り一枠。7位につける九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)だが、5位の清水建設江東ブルーシャークスと6位の日野レッドドルフィンズが直接対決となるため、九州KVは勝利すれば“残留”が決まる。勝利だけを見据えてビジターゲームへ臨む。
この一戦を“現役最後の試合”にするという強い覚悟をもって臨むのがトム・テイラーだ。ニュージーランド代表“オールブラックス”で3キャップ。2020年に来日し、一昨季から九州KVに加わった好漢は5月1日に今季限りでの現役引退を発表した。
「年齢を重ねて肉体的にもキツくなってきたということ。長い間、選手としてプレーを続けてきましたし、自分の人生のことを考えると今回が良いタイミングなのかなと思い、決断しました」
しかし、その表情は実に晴れやかだった。自身も後ろ髪を引かれる思いはまったくないことを強調した。
「ニュージーランドで5年、フランスで5年、日本で5年、違う文化の中でラグビーの魅力に触れることができましたし、素晴らしい人たちと出会うこともできました。後悔はまったくありません」
選手として過ごす“最後の1週間”だからこそ、過去を振り返るのではなく、ラグビーを楽しんでいる。
「毎日をしっかり楽しみながら練習していますし、この環境にいられる喜びを感じています。人生のほとんどの時間をスポーツに費やしてきたことを考えれば、2カ月後、3カ月後に悲しい気持ちになるのかもしれない。でも、いまはビーチで過ごす休日が楽しみです(笑)」
現役最後の試合はチームの残留が懸かる「ビッグマッチ」となった。もちろん、勝利して自身のキャリアを終えること。そして、残留を置き土産にすることしか考えていない。
「努力してハードワークをする。あとは楽しみたいという気持ちがあります。ビッグゲームですけど、その瞬間を楽しみながら、試合後、振り返ったときに最高だったなと思えるようにしたいです」
敗れれば、D2/D3入替戦に回るため、選手としての期間は“3週間のアディショナルタイム”を迎えることになるが、もちろん、そんなつもりはまったくない。
「また厳しい練習をすることになる?もちろん、そんなつもりはまったくない(笑)。この試合では自分のもてるすべてを出したいと考えています。勝ってからこの試合のことやここ1カ月のこと、自分のキャリアを振り返りたい」
勝って残留を決める。最高の思い出とともに“現役最後の試合”を笑顔で締めくくる。
(杉山文宣)