2024.12.21[L戸田]祖父とともにあったラグビー。あのときのように喜んでもらうために

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第1節
2024年12月22日(日)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

祖父とともにあったラグビー。
あのときのように喜んでもらうために

小川正志 共同キャプテンは、「謙虚に、ひたむきに、タフに」ラグビーと向き合う

小川正志 共同キャプテンが特別な思いを胸に初めてNTTジャパンラグビー リーグワンの舞台に立つ。

先日、子どものころから一緒にラグビーを楽しんでくれていた祖父が亡くなった。4歳から始めたラグビーは祖父とともにあった。送り迎えは祖父の日課だった。祖父は難しいことは何一つ言わず、ただただ一緒にラグビーを楽しんでくれた。長崎北陽台高校で花園の舞台に立ったときも、帝京大学で日本一になったときも「正志、おめでとう」。いつも祖父の笑顔がそこにあった。祖父の喜ぶ姿が見られるからラグビーも頑張ることができた。

小川が上京してから祖父は少しずつ元気がなくなったが、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)に加入して2年目に、『長崎招待ラグビー』に招かれて地元に凱旋したとき、祖父がうれしそうに応援に駆けつけてくれたことがあった。それがラグビーを生で観戦してもらえた最後だった。

この間、小川は若くしてL戸田のキャプテンになった。今季で3年目を迎える。キャプテンになったからには目指すべきチーム像を言葉にしておきたいと、今季のスローガン『H・A・T』を考案した。Humble(謙虚)、Aggressive(積極的)、Tough(粘り・不屈)、それぞれの頭文字を取った造語だ。

「周りから憧れられる存在になりたい。注目され、追われる存在になりたい。リーグワンに参入し、よりいろいろな方々から見られる存在になるので、少しでも多くの方に応援していただき、支えていただけるチームになりたい。そのためには『謙虚に、ひたむきに、タフに』ラグビーと向き合う必要があると思っています」

それが小川のラグビー観だ。子どものころ、小川にとって当時のジャパンラグビー トップリーグを戦うラグビー選手は憧れの存在だった。熱く、タフに、ラグビーに誠実に向き合っていた。今度はそれに自分がなる。祖父もきっと、そういう自分だからこそ喜んで応援してくれる──。

リーグワンの開幕まで祖父には何とか頑張ってほしい、勝利を報告したい、という思いを胸にプレシーズンの準備を進めてきた。いま、その思いはさらに強くなっている。

12月22日、小川はリーグワン開幕戦の舞台、ルリーロ福岡とのビジターゲームに臨む。長崎の地から見守ってくれているはずの祖父のためにも、勝利に向かって全力を尽くす。

(鈴木康浩)

2024.12.21[LR福岡]リーグワン初参戦。雑草軍団の“魂”をいま見せるとき

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第1節
2024年12月22日(日)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs ヤクルトレビンズ戸田

ルリーロ福岡(D3)

リーグワン初参戦。
雑草軍団の“魂”をいま見せるとき

ルリーロ福岡は、倒されてもすぐに起き上がる、抜かれたらすぐ戻る、といったラグビーの本質にこだわるスタイルで戦う

NTTジャパンラグビー リーグワンに初参戦するルリーロ福岡(以下、LR福岡)の新たな挑戦が始まる──。

チームの目標はディビジョン2への昇格と明確だ。選手の待遇や練習環境など他チームと比べて恵まれた環境ではない中、知恵を絞りながら結果を追い求める。

チームの始動は10月。総勢72人のチームを編成し、選手とコーチが一体となって練習を重ねてきた。「選手に主体性を持たせる形で進めた」と語る豊田将万ヘッドコーチは、時間管理や練習方法の調整を工夫し、全員が役割を理解できる環境を整えてきた。大所帯ゆえにマネジメントは難しいが、選手それぞれが目的意識を持ち、自覚を促すことを重視してきた。

LR福岡は『ラグビーの本質』にこだわるスタイルが特徴だ。派手さはないが、『倒されてもすぐに起き上がる、抜かれたらすぐ戻る』といった誰もができる基本を徹底する。『これをやれば勝てる』という特別な武器がないからこそ、一つひとつのプレーに全力を注ぐ姿勢がチームの強みだ。プレシーズンを通じて、この考え方は徐々に浸透してきた。「試合に出られるのは基本を徹底できる選手だけ」と豊田ヘッドコーチは選手選考の明確な基準を設け、強度の高い練習と試合を重ねながら成長を続けてきた。

ホームで迎える開幕戦の相手は、昨年度の『3地域社会人リーグ順位決定戦』で1点差負けを喫したヤクルトレビンズ戸田。選手たちにとってリベンジマッチとなる。開幕戦は「リーグ戦15試合の中の1試合」(豊田ヘッドコーチ)と冷静さを保ちながらも、歴史に刻まれる重要な試合であることを選手たちは意識している。

高校の運動場を借りた土の練習場を車のライトが照らす。もちろんクラブハウスはなく、シャワー室もない。練習後は水で土を洗い流す。整った環境とは言えないが、「環境のせいにせず、ラグビーそのものの価値を示したい」とするチームの姿勢は、特定の母体企業を持たない地域密着型チームの希望となるだろう。

LR福岡の挑戦は始まったばかりだ。勝利への執念、チームの成長、そして選手たちの熱意──それらが一体となったとき、LR福岡は新たな歴史を刻むだろう。開幕戦では、そんな雑草軍団の“魂”がフィールドで輝きを放つ瞬間が見られるはずだ。

(柚野真也)

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