2025.02.28[中国RR]ついに迎えた念願の日本でのプレー。苦難を乗り越え、チームを助ける働きを

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月2日(日)12:00 福山通運ローズスタジアム (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ルリーロ福岡

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

「アグレッシブで相手を圧倒するようなフィジカルなプレーが僕のスタイル」と語るコナー・アンダーソン選手(写真中央)

日本に来て約半年。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)のコナー・アンダーソンが初のメンバー入りを果たした。

オーストラリア出身の28歳が日本でのプレーを選ぶきっかけとなったのは、2022年にスーパーラグビーの強豪クイーンズランド・レッズの一員として初来日したとき。親善試合の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦でプレーし、数週間の滞在で「日本の人たちもカルチャーも食べ物も気に入った」。

今季から中国RRに活躍の場を移し、昨年9月にチームに合流したが、10月にけがをして手術を余儀なくされた。いきなりの長期離脱となったが、「少しがっかりしたけど、それもラグビーだ」と前を向いた。

「悔しかったけど、とにかくできることに取り組むしかなかった。トレーナーにはよく走らされたし、ジムでもたくさん鍛えてきて、いまはかなり体の調子が良い。ただ自分のできることに目を向けて努力してきた」

異国の地で苦しいスタートだったが、「このチームに来て一番良いところは、チームメートやコーチがみんな本当に親切なこと。いつも僕や妻の様子を気にかけてくれるし、みんなが本当にフレンドリーだ」とチームの雰囲気にも助けられた。

キャリア最長という約4カ月の離脱を経て、3月2日に福山通運ローズスタジアムで開催される今節のルリーロ福岡戦でついにリザーブメンバーに名を連ねた。デビューに近づいたアンダーソンは、「またフィールドに戻ってプレーできることがうれしいし、楽しみにしている」と笑顔を見せる。

「アグレッシブで相手を圧倒するようなフィジカルなプレーが僕のスタイル。自分のスキルを生かすのも好きだし、とにかくチームに必要とされるなら何でもやるよ」

中国RRは現在2連勝中と調子を上げている。だが、今節はディビジョン3で得点ランク1位の宮嵜隼人とタックル成功数1位のエドワード・カークが前節負傷交代を強いられた影響で欠場。得点源と大黒柱を欠く試合でチーム力が試される。

デビューの期待が掛かるアンダーソンは、「タックルやブレイクダウンでハードワークして、常に手本となるようなプレーを心がけてきた。僕がやるべきことを徹底することで、周りの選手が生きていくはず。チームの勝利に貢献したい」と意気込む。悔しい時期を乗り越えた新戦力のハードワークが、チームを助けるときがくる。

(湊昂大)

2025.02.28[LR福岡]無名の存在からリーグワンへ。「全力を尽くせば、誰かが見てくれる」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月2日(日)12:00 福山通運ローズスタジアム (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ルリーロ福岡

ルリーロ福岡(D3)

プロップの野田麟太郎選手。「リーグワンの強度は、やはり大学時代とはまるで違いました」

ルリーロ福岡(以下、LR福岡)に加入して2年目。無名の存在だった野田麟太郎が、今季ついに脚光を浴びるようになった。第5節・マツダスカイアクティブズ広島戦でリーグワンデビューを果たすと、そのあともスターティングメンバーに定着。確かな手ごたえをつかみつつある。「リーグワンの強度は、やはり大学時代とはまるで違いました。100%の力を出し切らないと戦えない。その現実を痛感しました」と野田は語る。

中学、高校、大学とラグビーを続けたが、強豪校に所属した経験はない。金沢学院大学の3年生までは石川で就職し、ラグビーをやめるつもりだった。そんな野田に転機が訪れる。金沢で行われた選抜試合『オール早稲田vsオール石川』に出場した際、野田は初めて「高いレベルで戦いたい」と思った。だが、当時の自分は無名。プロの道は遠いと感じていた。

それでも大学の監督に相談し、自ら道を模索する中で、LR福岡が「誰でもチャレンジできる」というコンセプトを掲げていることを知る。すぐに練習に参加し自信を深めると、大学卒業後にチームに加入した。

ただ、入団1年目は試合に絡むことすらできなかった。フィジカルは通用せず、スクラムやラインアウトモールではまったく歯が立たない。戦術理解も追い付かず、試合のスピードにも適応できなかった。しかし、あきらめるつもりはなかった。体をぶつけ続け、必死に食らいつく。1年間の積み重ねが、2年目につながった。「最初はまったく通用しなかったスクラムでも、いまはキープできるようになり、逆に押せる場面も増えていきました」。

そして迎えた第5節、リーグワンの舞台に立った。野田に求められているのはセットピースの安定だ。特に苦戦が続くラインアウトでは、「相手の進行方向に入って頭を差す動き」を徹底し、チームの武器に変えようと考えている。

「誰もが注目する存在ではない。でも、全力を尽くしていれば、必ず誰かが見てくれる。だからこそ、証明し続けたい」。その覚悟が、野田をリーグワンの舞台へと押し上げた。

勝負の行方を左右するのは、一瞬の判断と泥臭いプレーの積み重ねだ。今節も野田はひたむきに楕円球を追う。

(柚野真也)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧