2025.04.25[中国RR] 人との違いを埋めるのではなく、自らの強みを生かす。きっかけはヘッドコーチの言葉

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年4月27日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズの松岡祐斗選手。どんなパフォーマンスをみせてくれるか

昨年12月の開幕戦は背番号「23」。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の松岡祐斗はスタメンに届かず、「この番号は自分の実力不足」と言い切った。それから4カ月、今季最後のホストゲームでは「15」番を背負ってグラウンドに立つ。

「中国RRに入ってからけが以外でプレータイムが一番少ないシーズンだったので、本当に悔しかった。それでも、自分の中で折れずに、何が必要かを考えてやってきたつもりだったので、15番で名前が呼ばれたときは素直にうれしかったです」

松岡は昨季まで負傷離脱が多かったが、今季は大きなけがなく良好なコンディションを維持している。プレシーズンからより計画性のあるトレーニングを徹底し、経験豊富なエドワード・カークや木村勇大などの教えも取り入れながら、シーズンを通じて継続して取り組んできた成果だった。

だが、体の調子とは裏腹に、思うような出場機会を得られず、今季の出場数は5試合のみ。第4節の狭山セコムラガッツ戦では今季初スタメンの機会を得たが、インパクトを残せず、その後はリザーブとメンバー外を行き来した。

再び15番を背負うために、悔しさを力に変えて練習に打ち込む日々。松岡は、「一時期はほかの選手と自分を比較しようとしていました」ともがいていた。

今季の中国RRで15番を着けた選手たちは、軽快なスピードやキレのあるステップを生かすタイプ。「そういう選手たちと比べたら、自分にはボールを持ったときの強さや前に出る力が足りなかったと思っていた」。松岡も身体能力は高いが、個性はアタックのつなぎ役やキックにある。だが、自分の強みよりも、どうしても“隣の芝生”が青く見えていた。

「急激にパフォーマンスを変えるのは無理なので、どうしようかと考えていた」と悩んでいた中で、転機が訪れたのは3月、岩戸博和ヘッドコーチの言葉がきっかけだった。

「自分からヘッドコーチに話をしに行って、そこで『ほかの15番にはない持ち味があるけど、それが出ていない』と言われました。それを聞いて原点に返って、人との違いを埋めるよりは、自分の強みをまずは出さないといけないと思いました」

あらためて自分と向き合った松岡は、今節のクリタウォーターガッシュ昭島戦で今季2度目となるスタメンのチャンスをつかんだ。

「個人的に今シーズンで一番重要な試合だと思っています。でも、緊張や不安はあまりなくて、今シーズンやってきたことを発揮できる楽しみと、今まで悔しかったのでやってやろうという気持ちです」

継続と苦悩の日々を越えて、自分らしさを見せるとき。“松岡祐斗の15番”をグラウンドで体現する。

(湊昂大)


2025.04.25[WG昭島]戦いは、最後まで続く。新たな役割への挑戦と“フィニッシャー”としての誓い

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年4月27日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

新たな左プロップの“フィニッシャー”、クリタウォーターガッシュ昭島の梶原瑛選手

クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、Balcom BMW Stadiumに乗り込み、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)とのビジターゲームに臨む。前節、ルリーロ福岡戦に敗れ、今季のD2/D3入替戦進出という目標はついえてしまったものの、残された2試合を勝利で締めくくりたいところだ。

WG昭島の中で、最後まで練習場に残って汗を流している選手がいる。それが梶原瑛だ。今季、山村亮フォワードコーチから「1番をやってみないか」と提案され、これまで務めてきた3番(右プロップ)から、1番(左プロップ)へのポジション変更に挑戦。ここ3試合では“フィニッシャー”(WG昭島におけるリザーブ選手の呼称)として、チームに欠かせない存在となりつつある。梶原は、日頃の努力によってもたらされたその変化をこう振り返る。

「もともと器用なほうではないので、3番から1番に変わるのは正直かなり大変でした。でも、ようやく1番としての感覚が少しずつつかめてきました。WG昭島でこれまで1番をやってきた選手たちから、(スクラムの)組み方や考え方の違いについてフィードバックをもらい、本当に助けられました。チームメートには感謝しています」

1番として確かな自信をつかみつつある梶原だが、本人はスタートでの出場よりも、“フィニッシャー”として試合終盤にグラウンドに立つことにやりがいを感じているという。

「フィニッシャーが好きな理由の一つは、最後までグラウンドにいられること。そしてもう一つは、試合が劣勢でも、勝っていても、自分のプレーで流れを変えられる可能性があること。だからフィニッシャーが好きですね」

そして、残された2試合を全力で戦い抜くことを、梶原は力強く誓った。

「WG昭島が強かったと思ってもらえるような試合をし、最後まで全力で戦いたいです。今季は自分でもすごく成長できたと思っていますし、来季につながる何かを残せるように頑張りたいです」

1番という新たな役割、フィニッシャーとしての責任。そのすべてを背負い、梶原は自らの道を力強く進んでいる。WG昭島の戦いは、まだ終わらない。

(匂坂俊之)


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