2025.04.25[狭山RG]人事を尽くして天命を待つ。「目標はあくまでも優勝」と闘志を絶やさぬ狭山RG

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年4月27日(日)13:00 小田原市城山陸上競技場 (神奈川県)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

狭山セコムラガッツ(D3)

前節の中国電力レッドレグリオンズ戦 後半17分、先発の髙島理久也選手(9番)と入れ替わる堤英登選手

前節では、中国電力レッドレグリオンズをノートライに抑える圧勝で連勝を5に伸ばした狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)。3位のクリタウォーターガッシュ昭島との勝ち点差が12となり、2試合を残して、D2/D3入替戦に進出できる2位以内が確定した。それでも、D2/D3入替戦で結果を残すためにも、白星を重ねて勢いを継続させたい。

そんな一戦で注目したいのが、途中出場ながらも存在感を示し続けている堤英登だ。前節でも後半途中から出場してチームのいい流れを持続させる働きを見せ、勝利に貢献した。そんな試合を堤は「前半30分くらいまでは細かなミスがあり、自分たちの思うようなゲーム展開には持っていけなかった。でも最終的には相手をノートライに抑えられて、後半は自分たちがやりたいラグビーができたのでそれは良かった」と振り返った。

いつ出番がくるか分からない状況での試合出場が続いているが、「試合中は体を冷やさないことを意識しています。試合に出たらチームに良い影響を与えることだけを考えてベンチで準備しています」と教えてくれた。フォワード陣との連係、攻撃の組み立て、パスの精度など総合的な能力が必要とされるスクラムハーフを務める堤。同じポジションには、髙島理久也がいる。シニアリーダーも務めて先発出場を続ける先輩の存在は、どのようなものだろうか。「理久也さんは先輩ですが、フラットに相談できる存在なのでとても頼りになります。いろいろな人から精神的支柱として強い信頼を得ているので、いつか理久也さんみたいな選手になれるように頑張りたいです」と教えてくれた。

チームとしての最終目標はディビジョン3制覇。首位のマツダスカイアクティブズ広島との直接対決は終了しているため、自力での逆転はできない。しかし、何が起こるか分からないからこそ、最後まであきらめることなく準備を徹底する必要がある。堤も、「チームとして優勝という目標がある。まずはそこに向けて残り2戦、個人としてもチームとしても高いパフォーマンスを出したい」と意気込みを語った。

リーグワン参入1年目で一定の成果が出ている狭山RG。メンバー、ドミネーター(ノンメンバー)が切磋琢磨してチーム力を築き上げてきた。どんな状況でも一つの目的を達成するため、堤も含めた全メンバーが残りの戦いへ闘志を燃やす。

(松野友克)

2025.04.25[L戸田]「負けたら腹が立つ」。現状に歯がゆさを覚えるプロ契約選手が、今節に向けて抱く覚悟

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年4月27日(日)13:00 小田原市城山陸上競技場 (神奈川県)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

ヤクルトレビンズ戸田のフッカー、谷峻輔選手。「残り2試合は同じことをやっちゃダメですよ

谷峻輔が歯がゆさを募らせている。現状のチームは、ここ2試合は大差負け。意地を見せなきゃいかんやろ──と。

今週の全体練習後には、今節新たにメンバー入りした若手選手に対して自ら時間を割く場面があった。

「『新人だから戦えませんでした』、というわけにはいかないので」

試合をやる以上はチームとして一定のクオリティーを示す。それがラグビーに向き合う自分たちの義務だと谷は考えてきた。

大半の選手たちが仕事を持つヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の中で、谷は数少ないプロ契約選手の一人だ。プロとして、食事や体重管理を徹底する。練習で浮上する疑問はその場でコーチ陣に確認して徹底的につぶしておく。その上で周りに伝えるべきは徹底的に伝える。日々の練習の質を少しでも引き上げることが“レビンズの中のプロ”の仕事だと考えてきた。プロだから一番やる。それが谷の信条だ。

「グラウンドで一番、体を張っている」

そんな周りの評価について、谷は「自分の仕事なのでね」と素っ気ない。

「言葉は悪いですけど、負けたら腹が立つので。特にディフェンスの1対1では負けたくない。日本人選手が多いレビンズの中で、相手の外国人選手を自分が止めたらチームの士気が上がるじゃないですか。結果的に『あの外国人選手は強かった』と思うことはあっても、やる前から『あの選手強いんだよなあ』と尻込みするくらいならば、試合に出ないほうがいいという考え方です」

L戸田として初参戦したリーグワンで苦戦が続こうとも、その意志はまったく揺らがない。

だから、現状が悔しい。今季は開幕2連勝を飾り、谷は第2節のクリタウォーターガッシュ昭島戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。だが、その後は大きく負けが先行し、直近では大敗が続く。

「いまのレビンズは何かのタイミングで緊張の糸が切れると、そのまま歯止めが効かずに大差負けすることがある。それは、正直、歯がゆいですよ」

一定の熱量を維持できればそうはならない、と谷は首を横に振りながら言った。

「残り2試合は同じことをやっちゃダメですよ。最後の最後に一つ順位が上がる可能性があるし、ましてや、今節の狭山セコムラガッツさんとはトップイースト時代にずっと一緒にしのぎを削ってやり合ってきた相手ですから、また負けたならば、口は悪いですけど、腹が立つじゃないですか。ここで絶対に食い下がらないと」

負け慣れていいわけがない。男として意地を見せろ──谷が臨戦態勢だ。

(鈴木康浩)

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