2025.05.02[LR福岡]来日16年の結晶。あらゆる困難と対峙し、一線で戦い続けてきたカーン・ヘスケスが100キャップ到達

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年5月4日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs マツダスカイアクティブズ広島

ルリーロ福岡(D3)

ルリーロ福岡のカーン・ヘスケス選手、今節は19番でメンバー入り。「自分の強みであるフィジカルを生かし、モメンタムを作りたい」

ラグビーワールドカップ2015イングランド大会の南アフリカ代表戦で終盤に劇的なトライを決めたあの雄姿を忘れていない。レジェンド、カーン・ヘスケスがいま、また一つ節目を迎える。今節のホストゲームに出場すれば、ジャパンラグビートップリーグおよびリーグワン通算100キャップ。来日16年目の39歳で、キャリアの集大成を刻もうとしている。

100という数字は、ただの記録ではない。宗像サニックスブルースでの黎明期、負傷による長期離脱、そしてクラブ消滅の衝撃――。あらゆる困難と対峙しながら、それでも一線で戦い続けてきた証明である。今季の開幕前、「いま93キャップだよ」と旧知の恩師に教えられたその瞬間から、100キャップは目標になった。

かつての俊足ウイングではなく、フランカーとしてピッチに立つヘスケス。「昔より足は速くない」と笑う姿に、年齢と向き合いながらもなお成長を選ぶアスリートの真価がにじむ。フォワード転向はキャリアの終焉ではない。むしろ、チームのニーズに応える新たな挑戦だった。密集で体をぶつけ、声を出し続ける。それは技術以上に、覚悟と哲学を問われる仕事だ。

そんなヘスケスがいま、身を置くルリーロ福岡もまた、成長途上のチームである。今季は思うような結果が出なかったが、泥臭くても前に出る、最後まであきらめない、その姿勢が観客の胸を打つ。華麗さで魅せるよりも、魂のぶつかり合いで興奮させる。このクラブのスタイルとヘスケスの精神は、どこか重なる。

「自分の強みであるフィジカルを生かし、モメンタムを作りたい」。そう語るヘスケスは、先週の練習試合で40分間出場し、今節はメンバー入りする。豊田将万ヘッドコーチは「彼のようなエネルギーをもった選手が復帰したことで、チームに化学反応が起きる」と語る。若手にとって、その存在は単なるロールプレーヤーではない。ヘスケスのプレー、言葉、姿勢すべてが“教科書”なのだ。

記念試合で見せる一挙手一投足には、背中で語るベテランの矜持が宿る。そして、試合の終盤、チームが追い風を欲するとき、ヘスケスが立ち上がる。その瞬間、16年の歳月がすべて意味をもつ。

(柚野真也)

2025.05.02[SA広島]チームのさらなる成長のために。“新米ウイング”が、ここで優勝に導くトライを決める

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第14節
2025年5月4日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

ここまで7トライのマツダスカイアクティブズ広島・中村悠人選手(写真右)。今節もトライが期待される

先週、ひと足先に行われた第14節で、2位・狭山セコムラガッツがヤクルトレビンズ戸田に敗れて勝ち点1の獲得にとどまったため、4日の試合でマツダスカイアクティブズ広島が勝ち点5を獲得すれば、ディビジョン3優勝が決まることになる。

昨季は4勝8敗に終わって入替戦の出場もかなわなかったチームが、今季は開幕5連勝と好スタートを切ってここまで勝ち点を積み上げてこられたことに、選手たちも自信をもっている。

ウイングとしてグラウンドに立ち続けてきた中村悠人は、チームの成長をとても実感している一人だ。だからこそシーズンの最終盤で結果を出していくことの重要性を口にした。

「今季は体制も変わって新しく外国籍のヘッドコーチや外国籍の選手が来て、フレッシュなルーキーたちも入ってきて、チームの新しい文化を作るすごくいいきっかけになっていると思います。だからこそ、結果にしっかりとつなげていきたい。D3の優勝を決めて、入替戦に勝ってD2に上がる。このチームがさらに成長していくためにも、いま結果を出すことがすごく大事だと思っています」

ウイングとしてチームの期待に応えるプレーをできている手ごたえもある。

「プレータイムは多いですし、シーズンをとおして安定感のあるパフォーマンスを出せているところは評価してもいいのかなと思います」

ただ、中村は「昨季と違って跳ねた試合があまりないので、そこが自分の中では課題と思っているところです」と言い、さらなる高みを見据えている。

「昨季からウイングに挑戦してきて、いまは自分にとって一番いいポジションは14番だと思えているので、これからも磨いていきたい。特にこだわっていきたいのはランのところ。自分が(ボールを)持ったら何かしてくれると思わせられるプレーヤーになりたいです」

そして、続けた。

「個人としても、もっと目に見える結果を出せるように頑張りたいです」

シーズン最終盤。チームとして結果を出すことを求めていく中で、中村自身がどんな結果を出していくかにも注目したい。優勝を決めるトライ、チームをD2に導くトライを決められれば、中村自身も次のステージへ進んでいけるはずだ。

(寺田弘幸)

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