2025.05.15[静岡BR]若手、ベテラン、世界レベルの選手がバランス良く融合。積み上げてきたのは確固たる基盤

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
プレーオフトーナメント準々決勝
2025年5月17日(土)12:05 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ

静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズのスクラムハーフ、北村瞬太郎選手。「僕たちが今季やっているラグビーを100%遂行できれば負けることはないと、全員が思っています」

ジャパンラグビー リーグワンでは初めてのプレーオフトーナメント出場となる静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。若い選手も多い中での一発勝負となるが、ルーキーの北村瞬太郎は「もちろんリーグ戦とは違う緊張感もあると思いますし、イレギュラーなことも起きると思いますけど、僕たちが今季やっているラグビーを100%遂行できれば負けることはないと、全員が思っています」と、自分たちが築き上げてきたラグビーに対しては絶対の自信をもっている。

普段どおりの力を大舞台で出し切るという意味では、頼りになるベテランもいる。ヤマハ発動機ジュビロ時代に2014-2015シーズンのトップリーグで準優勝し、15年2月の第52回日本ラグビーフットボール選手権大会(日本選手権)で初優勝したときの先発メンバーだった大戸裕矢と日野剛志が、このプレーオフトーナメント準々決勝にも先発する。

プレーオフなどの特別な試合では、ベテランの経験が頼りになる。日野剛志選手(左)、大戸裕矢選手がフォワードで体をはる

一発勝負のビッグマッチに臨むときの心構えについて、彼らは次のように語る。

「グラウンドに入ったときの圧迫感など、プレッシャーは掛かると思いますけど、相手どうこうじゃなくて自分たちがどう戦っていくかが大事なので、自分たちにしっかりフォーカスして戦いたい。(日本選手権で)優勝したときも自分たちのセットピースのことだけを考えて、それを貫いたことが結果につながりました」(大戸)

「最初から受け身に回ってしまうと試合が難しくなるので、自分たちの強みを出すためにしっかりと先制パンチを打つこと。ファーストスクラムも含めて自分たちのやりたいプレーや意志をしっかりとプレーで見せることが大事だと思っています。あとは緊張していろいろ考えて足が止まるよりは、『自分のできることを思い切りやろう』という意識が大事だと思うので、それはいまから声を掛けています」(日野)

また、日本選手権で優勝したときのチームと今季のチームには、共通点があると日野は言う。

「メンバー、ノンメンバーを問わず、みんながチームのためにハードワークして、すごく良い練習ができています。勝ったときにみんなで喜ぶというチームになっているのは、当時と似ていると思います」(日野)

それに加えて今季のチームの強みとして、一発の爆発力もある。

「走り切れるバックスもいますし、力強いフォワードもいて、僕個人としてはそういう選手が生きるための下働きというか、見えないところでワークレート高く、チームがうまく機能していくような仕事をしていきたいと思っています」(大戸)

こうしたベテランに加えて、クワッガ・スミスやチャールズ・ピウタウといった経験豊富な世界レベルの選手、スピード、パワーのある選手たちもいる。若手も含めてチームとしてうまく融合しているのがいまの静岡BRだ。

「リーグ戦の延長だと思って、それぞれが自分の仕事をきっちりやれば(結果は)付いてくると思います」(藤井雄一郎監督)という言葉の背景には、これまでの18試合で積み上げてきた確固たる基盤がある。

(前島芳雄)


2025.05.15[神戸S]つかみ取った2番のジャージー。多くの思いを乗せ、最前列で力強く示す神戸Sの流儀

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
プレーオフトーナメント準々決勝
2025年5月17日(土)12:05 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ

今季はメンバー外が多かったコベルコ神戸スティーラーズのフッカー、北出卓也選手。レギュラーシーズン最終節に続きプレーオフでも2番に選ばれた

ジャパンラグビー リーグワン4季目で初のプレーオフトーナメントを戦うコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は5月17日、東大阪市花園ラグビー場を舞台に開催される準々決勝で静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)と対戦する。‟前哨戦”となった5月10日のディビジョン1第18節では23対29と惜敗。スクラムで後手に回ったが、2番で先発する北出卓也は「相手のやりたいことがハマってしまったのはあるけど、その対策はもうできている。やり返すチャンスだし、むしろ、ワクワクしている」と気合十分。準決勝進出へ、神戸Sの準備は整った。

「ずっと出続けている選手は痛いところも絶対ある。そういう意味で自分はいいコンディションを保てているのかなと思う」

そう話した北出。1週間前の静岡BR戦にも先発出場したが、それは第4節以来のこと。「『できる』と思われて選んでもらっていると思う。その期待に応えたい」。シーズン最終盤に2番のジャージーをつかみ取った。

メンバー外の試合も多かった今季。チームにはスコットランド代表で45キャップを誇るジョージ・ターナー、昨年9月に日本代表デビューした松岡賢太という実力者もいる。リザーブも含めたフッカーの2枠争いはし烈だ。ただ、デイブ・レニー ヘッドコーチをはじめとするスタッフ陣からは「常に見ているから」と声を掛けられてきたという。

「『絶対にチャンスは来るからそのときにパフォーマンスを出せるように準備しておいてほしい』と。メンバーに入るかどうかは(自分では)コントロールできない。サラマンダーズ(ノンメンバーの呼称)の試合でもパフォーマンスはある程度出せていたと思うし、コンディションを良くしていくことだけにコミットしていた」

思うように出場できなくても、自らと向き合い、状態を維持し、向上させてきたからこその‟いま”だ。それだけに、多くのときをともにし、切磋琢磨してきたサラマンダーズへの思い入れも強い。

「表に出さないだけでみんな悔しい気持ちは絶対にもっている。一緒にいる時間も長かったし、そのメンバーのためにもしっかり体を張りたい。代表して試合に出るからには責任もある。求められている役割を100%遂行できるように」

2番の背中に多くの思いを乗せて。状態万全の32歳は、最前列で神戸Sの流儀を力強く体現する。

(小野慶太)

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