2025.05.23[浦安DR]「絶対に受けてはダメ」。入替戦の酸いも甘いも知る男が先頭に立つ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 12位 vs D2 1位]第1戦
2025年5月24日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 浦安D-Rocks


浦安D-Rocks(D1)

シーズンの後半はゲームキャプテンを務めることが多くなった浦安D-Rocksの藤村琉士選手。「自分のやることが明確になりすごく良かったです」

レギュラーシーズンを12位で終えた浦安D-Rocksは、ディビジョン1残留を懸けて、D2王者の豊田自動織機シャトルズ愛知との入替戦に臨む。第1戦は、ウェーブスタジアム刈谷でのビジターゲームとなる。

大一番を前にしたいまの思いを問われた藤村琉士は、そのわずか一度のやり取りに3回も「勝ちたい」と力を込めた。

「まず勝ちたい。それが率直な思いだし、一番は勝ちたい。とりあえず、勝ちたい」

反射的に「勝ちたい」と繰り返したその表情は鋭く、覚悟が伝わってきた。

今季もフッカーのポジションで定位置をつかみ、レギュラーシーズンでは13試合に出場した藤村は、後半戦では、チーム事情から多くの試合でゲームキャプテンを任された。突然の抜擢にも、その大役は重圧になるどころか、責任感の強い男により自覚を芽生えさせた。

「すごくいい経験になりました。あまり難しく考えずに今までどおり体を張ることを大事にして、『誰よりも自分がしっかりと体を張る』『自分が最初にタックルに行かないとチーム全体が高まらない』と、むしろ責任が強まり、自分のやることが明確になりすごく良かったです」

その姿勢は入替戦を前にしても揺るがない。過去2シーズン、入替戦で悔しさも喜びも味わった藤村はその経験を胸にグラウンドに立つ。

「雰囲気も含めて多少なりとも緊張はあると思います。ただ、このチームには入替戦を経験している選手が多く、大事さを理解しています。どういうふうにしたら勝てる、どういうふうになったら負けると全員が分かっているので、一つひとつのプレーを大切にして、チャンスを逃さずにやっていきたいです」

一昨季は第1戦で敗れて勢いを付けられずにD1昇格を逃し、昨季は第1戦で勝利し弾みを付け、D1昇格をつかんだ。D2から挑む側だった前々回、前回と、D1を死守する側となる今回。立場に違いはあるにせよ、入替戦を勝ち抜くためのポイントに違いはない。

「1戦目が本当に大事です。絶対に受けてはダメなので、ラグビー選手としての才能とは別の部分である、走るとか戻るとか戦うとかそういうところを大事にして戦いたい」

“まずは第1戦”ではなく、“すべては第1戦”。入替戦の酸いも甘いも、そして、その先に待っている景色の違いを知るからこそ──。クラブの行く末を懸けた大事な第1戦、ゲームキャプテン・藤村琉士が先頭に立ち、相手にぶつかっていく。

(須賀大輔)

2025.05.22[S愛知]「試合に出なくてもやるべきことはある」。“3度目の正直”を実現し、まだ見ぬ新たな景色へ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 12位 vs D2 1位]第1戦
2025年5月24日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 浦安D-Rocks


豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

フィジカリティーの部分をチームとして準備してきたという、豊田自動織機シャトルズ愛知のジェームズ・ガスケル共同キャプテン

ディビジョン2のレギュラーシーズンを1位で終え、D1/D2入替戦に臨む豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。昇格を懸けて戦う相手は、D1で12位の浦安D-Rocksだ。2連戦の第1戦はホストスタジアムであるウェーブスタジアム刈谷で迎える。

3シーズン連続で入替戦に臨むS愛知。まさに“3度目の正直”といきたいところだが、キーポイントとして「第1戦の結果が重要」だと徳野洋一ヘッドコーチは語る。「第1戦を取ることができれば、メンタル的にも大きい。D1のプレッシャーの差を感じると思うが、最初の10分でいかに自分たちからプレッシャーを掛けられるかがキーになる」と戦局を読んでいる。

共同キャプテンとして今季レギュラーシーズンの全試合に先発出場したジェームズ・ガスケルも「昨季は第1戦で18点差をつけられてしまった。追いかける立場にはなりたくない」と話す。「D1とD2ではフィジカリティーに差があると思います。その部分をチームとして準備してきたので、驚くことなく試合に入りたいです」。

今月20日に35歳の誕生日を迎えたガスケルは、歴戦の経験をグラウンド内で還元してきた。その彼を同じ共同キャプテンという立場で支えてきたのは、27歳の金隆生だ。今季は公式戦での出場はないが、練習場やグラウンドの外で、チームのスタンダードを高めてきた。

ガスケルはそんな金について「ラグビー選手としてだけではなく、一人の人間として大きく尊敬をしています。同じキャプテンとしてチームを引っ張ってくれていることに感謝しています」と尊敬の念を送る。金もガスケルについて「彼ほど完璧な人間はいないですよ(笑)。僕もジャマ(ガスケルの愛称)のことを大きく尊敬しています」と語る。

「過去の経験をとおして、入替戦はグラウンドに出るメンバーだけが頑張って勝てるような試合ではないと実感しています。メンバー外の選手たちが高い基準を体現すれば、メンバーの良いパフォーマンスにつながると思います」

「チームスポーツなので、試合に出ないから役割がないということはないと思います。自分のやるべきことを探して、チームのために貢献することを求めてきました」。一貫した姿勢を先頭に立って見せることで、チームを導いてきた。その結果つかんだD1への挑戦権。頂に登り、その先の新たな景色を見るために。S愛知の大きなチャレンジを見届けよう。

(齋藤弦)


試合詳細

見どころ・試合レポート一覧