2025.05.23[花園L]「楽しむだけ」。「いい場所にして去る」。“花園ラストダンス”を前にした世界的名手二人の誓い

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第1戦
2025年5月24日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 三重ホンダヒート


花園近鉄ライナーズ(D2)

入替戦に臨む花園近鉄ライナーズのハーフ団はやはりこの二人。クウェイド・クーパー選手(左)とウィル・ゲニア選手

ディビジョン2のレギュラーシーズンを2位で終えた花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が三重ホンダヒート(以下、三重H)とのD1/D2入替戦に挑む。

一時は入替戦進出が遠のいて崖っぷちに立たされながら、破竹の勢いでレギュラーシーズンを7連勝フィニッシュ。見事に入替戦の切符を手にした花園Lだが、結果にかかわらずチームは一つのサイクルにピリオドを打つことになる。

5月12日に今季限りで退団する17人が発表され、その中には花園Lが誇る世界的ハーフ団、クウェイド・クーパーとウィル・ゲニアの名も含まれていた。

チーム愛はもちろんだが、花園Lのパッセンジャー(花園Lファンの意)への思いを常々公言してきた二人にとっては最後のホストゲームとなる。今季のD2トライランキングでも2位につけたゲニアは、37歳とは思えないハイパフォーマンスを見せてきた。大一番を前に「D1に上がるパフォーマンスを見せるチャンスです」と静かに決意を口にすると同時に「Just enjoy(楽しむだけ)」と、彼らしい言葉を口にした。

オーストラリア代表でのプレーを含めて数々の大舞台をともにしてきたクーパーと花園Lの選手として東大阪市花園ラグビー場で共演するのは最後になるが、「重要なのはわれわれのことでなく、チームのことです」と私情は挟まず、ゲームコントロールだけを意識する。

一方の僚友はゲニアと過ごした大阪での日々について「われわれが加わったことでファンの層も変わったと思います」と話す。

クーパーは、7連勝の快進撃を支えた元オーストラリア代表コンビの自分たちについて「僕らは世界一負けず嫌い、それがあるからこそ、ここまでやってこられました」と胸を張る。

そんな”負けず嫌い”の二人が、1年前の入替戦で味わったD2降格の屈辱を忘れるはずがない。

D1昇格にチームを導いたとしても、来年の花園Lに彼らの姿はない。それでも、クーパーは力強く言い切った。

「人生を生きる上で、次の場所に移るときには、いい場所にしてそこを去りたい。自分たちはここ(花園L)からいなくなりますが、昇格を成し遂げて去っていけたらいい」

花園Lの歴史に名を刻んだ名手二人が見せる”花園ラストダンス”。ラグビーというスポーツの真骨頂を見せてくれるはずだ。

(下薗昌記)

元オーストラリア代表の両選手は入替戦を最後に、花園近鉄ライナーズを去ることが決まっている

2025.05.22[三重H]確かな自信を胸に、“4年目の入替戦”へ。しびれる戦いで培った、メンタリティー

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第1戦
2025年5月24日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 三重ホンダヒート


三重ホンダヒート(D1)

三重ホンダヒートの古田凌選手。「燃えながらも落ち着いています。メンタル面には何の不安もありません」

ディビジョン1のレギュラーシーズンを11位で終え、D1/D2入替戦に臨むことになった三重ホンダヒート(以下、三重H)。相手はD2で2位となった花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)だ。

三重Hは第9節までに4勝を挙げたものの、その後は9連敗。一方の花園Lは、逆に序盤で苦戦しながら後半戦で調子を上げて直近は7連勝。両チームの流れは対照的だ。

それでも三重Hに重苦しい雰囲気はない。リーグワン創設以来、3年連続で入替戦に挑んできた経験に加え、今季の試合内容にも手ごたえを感じているからだ。昨季までキャプテンを務めた古田凌は、現在の状況をこう語る。

「いい雰囲気です。緊張感というよりは、『絶対に来季もD1でプレーするぞ』という思いで一丸になっていますし、ポジティブなイメージで準備できています」

2022年、当時D2の三重HはNECグリーンロケッツ東葛とのD1/D2入替戦に臨み、惜しくも敗れた。しかし、翌シーズンは同じ相手との再戦を制して昇格に成功。古田は「あのときはうれしかったですね。前年に敗れていたこともあって、気合いが入っていました。グラウンドでも負ける気がしませんでしたし、達成感も大きかった」と振り返る。

そして昨季は、逆に『守る立場』で入替戦に挑むことに。D2の豊田自動織機シャトルズ愛知を相手に戦い、なんとか残留に成功した。

「両方の立場を経験しました。D2からはい上がる気持ちも、絶対に残留するという気持ちも知っている。燃えながらも落ち着いています。メンタル面には何の不安もありません」と、古田は経験が大いに生きていると明かす。

第1戦のキックオフは24日の14時30分。会場は東大阪市花園ラグビー場だが、三重からも多くのファンが詰め掛けるはずだ。

「とても重要な試合ですし、HEATER(三重Hファンの愛称)のみなさんの応援が必要です。ぜひ会場に足を運んで、熱い声援を送ってください」と古田は取材を締めくくった。

「勝ちましょう」という声が掛かると、古田から「絶対に!」という力強い声が返ってきた。“4年目の入替戦”に向け、三重Hは確かな自信をもって臨む。

(籠信明)

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