2025.05.28[三重H]骨折から驚異の早期復活。鉄人レメキが伝えたい“ホンダスピリット”

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第2戦
2025年5月30日(金)19:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs 花園近鉄ライナーズ

三重ホンダヒート(D1)

第1戦に続いて14番で先発する三重ホンダヒートのレメキ ロマノ ラヴァ選手。「圧勝したい。50点くらい差を付けてね」

5月24日に行われたD1/D2入替戦の第1戦、三重ホンダヒート(以下、三重H)は花園近鉄ライナーズを相手に、80分経過を告げるホーンが鳴った直後の劇的な逆転トライにより、29対25で勝利を収めた。

「後半35分までは相手が完璧な試合をしていた。ただ、ボールキープをちゃんとやればポイントにつながると思っていたし、この試合で勝てたのはメンタル的にも大きい」と語るのは、約2カ月ぶりの実戦復帰を果たしたレメキ ロマノ ラヴァだ。

彼は3月22日の浦安D-Rocks戦で顎を骨折。当初は3カ月の離脱が予想されていたが、驚異的な回復力で7週間後にはピッチに戻ってきた。

「入替戦までに戻る自信はあったし、出られるのであれば出たい。覚悟をもって頑張ってきました」と話すレメキは、「ピッチではけがのことなど気にしない。ただ勝ちたいという気持ちで、チームのために体を張ることだけを考えているから」と続けた。

5シーズンぶりに三重Hに復帰した際、「昔のチームが持っていた魂をいまのチームに取り戻したい」と話していたレメキ。その「魂」とは何かと問うと、彼はこう語る。

「小林亮太を見てほしい。相手より体が小さくても、あきらめずに最後までチャレンジする。(パブロ・)マテーラもそうですが、彼らのような粘り強さがホンダヒートだと思います。そんな姿勢を若手に見せたい」

小林、マテーラ、そしてレメキ。彼らの熱いメンタリティーは、30日19時から三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で行われる第2戦でも勝利のカギになるはずだ。どのような戦いを見せたいかと聞くと、レメキは力強くこう答えた。

「圧勝したい。50点くらい差を付けてね。来季は鈴鹿から拠点を移転する前の最後のシーズンになる(2026-27シーズンから栃木県宇都宮市への活動拠点の移転が決定している)ので、それにつなげるために最高の終わり方にしたいです。いつも力をくれたファンに感謝を届けたいし、引退や退団を控える仲間とも笑顔でお別れしたい。勝って、みんなで一緒に“Hサイン”(三重Hの応援に使われるジェスチャーで、両手でアルファベットの『H』を作るもの)をしましょう」

“ホンダスピリット”を胸に戻ってきたレメキ。熱い声援を送り続けてきたファンとともに、三重Hは最後の1秒まで戦い続ける。

(籠信明)

2025.05.28[花園L]「華やかでなくてもいい。泥臭くいく」。花園Lを背負ってきた男ならではの覚悟

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第2戦
2025年5月30日(金)19:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

第1戦ではリザーブからの出場だったが、今週末の第2戦では7番で先発する花園近鉄ライナーズの野中翔平選手

試合終了間際に痛恨の逆転を許し、D1/D2入替戦の第1戦を落とした花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が運命の第2戦に挑む。三重ホンダヒート(以下、三重H)戦で求められるのは5点差以上の勝利だが、チームの立ち位置をクウェイド・クーパーはこう言い切った。

「負けは負けですが、(入替戦の)結果が出たわけじゃない。負けではなく、ハーフタイムだと捉えています」

引き分けも許されない崖っぷちの状況ではあるが、アキラ・イオアネがナンバーエイトで先発に復帰。そして、精神的支柱の一人である野中翔平も先発に返り咲いた。

昨季のD1/D2入替戦をチームキャプテンとして戦い、無念の降格を味わった野中だが、「十字架を背負っている悲劇のヒーローみたいなのは好きじゃないんです」と、過去には目を向けようとしなかった。

ただ、ラグビー選手として限られた時間の一部をディビジョン2で戦う悔しさはいまもかみ締めている。

「できるならいますぐにでもD1でプレーしたいし、若手にもできるだけ長くD1でプレーしてもらいたい、願わくば、D2の経験はしてほしくないですから」

戦うカテゴリーを軽視しているわけではないが、古豪でもある花園Lでキャプテンを務めた男ならではの本音である。

敵地で行われる第2戦も雨中でのゲームが予想される。向井昭吾ヘッドコーチは勝敗のポイントをこう話した。「第1戦は相手よりもペナルティが多かったので、そこを相手よりも少なくできれば結果は出ると思います」。

野中に託されるのは、規律を背中で示すことである。「チームが厳しいときに声を掛けられる選手です。ディフェンスの規律を守り、ブレイクダウンで激しくいくことを彼には期待しています」(向井ヘッドコーチ)。

結果的に競り負けたものの、第1戦では三重Hに対して互角以上に渡り合う時間帯が多かった花園L。昨季のD1/D2入替戦で敗れ、降格した直後のミックスゾーンではチームに対してあえて苦言も呈した野中だが「まだ成長の余白はありますけど、積み上がってきていると思います」とこの1年間の戦いぶりに手ごたえも口にする。

泣いても笑っても今季最後の大一番。気負いも焦りもない野中だが「ウチにはすごい選手がいっぱいいます。僕は華やかでなくてもいいので、泥臭くいきます」。

“向井ライナーズ”が大団円を迎えるときがやってきた。

(下薗昌記)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧