2025.12.12[神戸S]37歳の“オールドルーキー”。リフレッシュは、5時に起床して行う農場関係の仕事

NTTジャパンラグビー リーグワン 2025-26
ディビジョン1 第1節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月13日(土)17:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1)

NECグリーンロケッツ東葛から新加入、コベルコ神戸スティーラーズのアッシュ・ディクソン選手

いよいよ始まるジャパンラグビー リーグワンの新シーズン。昨季チーム初の3位に入ったコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)が、ノエビアスタジアム神戸に昨季2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎える。キックオフは12月13日17時。初優勝への第一歩を力強く踏み出したい。

長いラグビー人生を過ごしてきた。今年9月に37歳になったアッシュ・ディクソン。「歳を重ねれば重ねるほど、1週間の負荷に耐えることにキツい部分は出てきます。だからこそ、準備が大切です。神戸の施設は素晴らしいですし、いいスタッフやメンバーもいます」。大けがを乗り越えた。栄養面やリカバリーなどの学習も繰り返してきた。今季、神戸Sに新加入したフッカーは、地に足をつけてそのキャリアを積んできた。

繰り返されるタフな戦いの日々だが「リフレッシュすることは簡単な感覚があります」とディクソンは言う。母国では家族で農場を経営。現在は「奥さんが経営手腕を発揮しているので、自分はいま、戦力外かな」と笑顔を見せつつ、朝5時に起床するとメールや電話で農場関係の仕事をこなす。それが大きなリフレッシュになっているようで、そこからラグビーのメンタルへ素早く切り替えることも長いキャリアで培ってきた。

「(将来の)可能性としては自分も(農場経営を)一緒にというのはあります。農場のビーフやラムを日本に輸入できたら、とか。ただ、そこはまだ分からない。築いてきたキャリアがあるので、指導者の道に進んで次の世代を育てる助けをしたいと思っています」

いずれ訪れるセカンドキャリア。それを頭の中に描きながらも、ディクソンのプレーヤーとしての情熱は冷めるところを知らない。

「ヤンブーさん(山下裕史)や日和佐(篤)さんもあの歳でまだまだ現役であれだけのパフォーマンスを続けていますし、追い付け追い越せで自分も頑張りたいと思っています。それにチームにはアントン(・レイナートブラウン)だったり、アーディ(・サベア)だったりがいますし、リーグ全体を見たらTJ(・ペレナラ)、アーロン・スミス、(ピーターステフ・)デュトイなど本当にワールドクラスの選手がそろっています。そういう選手たちと一緒にプレーする、対峙することを考えるだけでモチベーションは高くなりますよ」

前所属のNECグリーンロケッツ東葛時代は家族と日本で暮らしていたものの、子供の学校などの関係から現在は単身赴任中。ただ、南半球のニュージーランドは季節が日本と真逆。夏休みを利用して来週には愛妻や子供たちも来日するという。

「家族みんな日本に来られることを楽しみにしているので、そこは一つ頑張れる要素かな」

柔和に笑った37歳のオールドルーキーが、新天地での活躍に胸を躍らせている。

(小野慶太)

2025.12.12[S東京ベイ]度重なる負傷を乗り越えて。不屈の男は魂を焦がし、その瞬間を全力で生きる

NTTジャパンラグビー リーグワン 2025-26
ディビジョン1 第1節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月13日(土)17:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)

度重なるけがという試練を乗り越えて。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの谷口和洋選手

復帰に至るまでには、結果として2年もの長い歳月が必要となった。2023年11月11日、浦安D-Rocksとのプレシーズンマッチで、谷口和洋は左ひざの前十字靭帯断裂という重傷を負った。

ロシアンルーレットに例えるのは少し乱暴かもしれないが、けがと隣り合わせのラグビーを闘い続ける上で、それはいつかは回ってくるものだと、比較的冷静に受け止めることができた。だが、この時まだ彼は知らなかった。本当の悲劇が、1年後に訪れることを──。

その日付を谷口は明確に記憶している。2024年12月3日。シーズン開幕まで、あと約3週間。プレシーズンマッチにも出場し、本格復帰に向けてギアを上げていた谷口は、練習中に左ひざに違和感を覚えた。

「自宅に戻ったらひざがどんどん腫れてきて。『まあ一応、念のため診てもらうか』くらいの気持ちで病院に行ったら、『切れていますね』と言われて……」

それは1年前に断裂し、移植腱による再建手術を受けた前十字靭帯。まさか、同じ個所が二度も……。そんなことが起こり得るのかと、谷口は呆然とした。

次の誕生日で30歳。『引退』の2文字が脳裏をよぎった。だが、チームは「来年も頑張ってもらうからね」と、その帰りを待った。

「その言葉が心の助けになりました。30歳が近くなると、やりたくてもチームに残れず辞めていく後輩を何人も見てきました。だから、自分から辞めるという選択肢はないなと思ったんです。チームが必要としてくれるなら、僕は続けるべきだし、頑張るべきだと」

しかし、試練は何の予告もなくやってきて、彼に容赦なく足止めを食らわせた。今年9月、リハビリも順調に進み、グラウンド復帰まであとわずかの段階で、走った際に肉離れを起こしてしまう。

「復帰が近いと思う気持ちだけが先走ってしまって、そこでのけがは本当にショックでした。あの時が一番しんどかったです」

その苦悩は、時を経て気づきへと変わる。先を見過ぎず、目の前のことにフォーカスする。これはフラン・ルディケ ヘッドコーチがよく口にする“プロセス重視”の哲学である。その大切さにあらためて気づいたと語る。

「焦って一歩先を急ぐようなことは、もうしなくなりました。いまは自分にできることを精一杯やるだけ。とにかく一つずつ積み上げていこうという気持ちになりました」

12月13日、コベルコ神戸スティーラーズ戦で谷口は2年半ぶりの復帰戦にリザーブとして臨む。「次に靭帯が切れたら、そこで終わりです。さすがにラグビーを続けるのはしんどいと思います」。そう語る谷口の表情に悲壮感はなく、「逆に分かりやすい状況ですよね」と笑う。

「ポジション争いが激しい中で選んでもらえたことは、本当に光栄ですし、責任を持ってやりたい。ここまで戻ってこられたこと自体がすごくうれしいですし、支えてくれた多くの人たちに応えたいです」

切れたら、終わり。だから、その瞬間、瞬間を精一杯に生きる。今年も魂を焦がす季節が始まる。

(藤本かずまさ)

試合詳細

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Teams

DIVISION 1

  • 浦安D-Rocks
  • クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
  • コベルコ神戸スティーラーズ
  • 埼玉ワイルドナイツ
  • 静岡ブルーレヴズ
  • 東京サンゴリアス
  • 東芝ブレイブルーパス東京
  • トヨタヴェルブリッツ
  • 三重ホンダヒート
  • 三菱重工相模原ダイナボアーズ
  • 横浜キヤノンイーグルス
  • リコーブラックラムズ東京

DIVISION 2

  • グリーンロケッツ東葛
  • 九州電力キューデンヴォルテクス
  • 清水建設江東ブルーシャークス
  • 豊田自動織機シャトルズ愛知
  • 日本製鉄釜石シーウェイブス
  • 花園近鉄ライナーズ
  • 日野レッドドルフィンズ
  • レッドハリケーンズ大阪

DIVISION 3

  • クリタウォーターガッシュ昭島
  • 狭山セコムラガッツ
  • 中国電力レッドレグリオンズ
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  • ヤクルトレビンズ戸田
  • ルリーロ福岡
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