2025.12.26[静岡BR]「性格が悪くなりたい」。7試合連続トライ中の新星が目指すのは“イヤなヤツ”

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年12月28日(日)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 浦安D-Rocks

静岡ブルーレヴズ(D1)

静岡ブルーレヴズの北村瞬太郎選手

「今シーズンは性格が悪くなりたいです(笑)」

取材の最後に、今季の個人的なテーマについてこう語ったのは、大卒2年目の北村瞬太郎だ。

昨季はルーキーながら15トライを挙げ(プレーオフトーナメント含む)、7月には日本代表にも選出。体の厚みも一回り成長させて今季に臨んでいる。今季は開幕から2試合連続でトライを決め、昨季から公式戦7試合連続トライとスクラムハーフとは思えない数字を叩き出している。

藤井雄一郎監督も彼の成長を認めるが、さらにもう一皮むけるための課題も与えている。

「本当に努力していますし、トライを取る嗅覚というのはほかのスクラムハーフと違うかなと思います。ただ、スクラムハーフは少し(力を)抜きながらやることも必要で、全部100%でいくから、どうしても視野が狭くなってしまうところもあります」(藤井監督)

そこは北村本人も理解しており、日本代表での経験も踏まえて次のように語る。

「力を抜かなきゃいけないところで抜けないので(相手に動きが)分かりやすいということは、いつも言われています。『人をだますことをもっと覚えなきゃいけない、相手のイヤがることをしろ』と、矢富さん(矢富勇毅アシスタントコーチ)からも言われています。僕は昔から馬鹿正直にやっちゃうところがあるのですが、日本代表でもパスのバリエーションをもっと増やさないといけないと強く感じましたし、もっと性格が悪くなるというか、ずる賢さを学ばないといけないと思っています」

本当に誠実で芯の強い性格だからこそ、人一倍努力できるし、苦しいときでも頑張れる、無理が利く。それは彼の強みでもある。ただ、だまし合いの要素もあるラグビーの試合では、レベルが上がれば上がるほどスクラムハーフにはずる賢さも必要になってくる。それはプレーオフトーナメントなどの大舞台でより重要になるため、先を見据えて北村は今季の大事なテーマに掲げている。

スクラムハーフとして「もっと性格が悪くなるというか、ずる賢さを学ばないといけないと思っています」

また、そこは国学院栃木高校の1年後輩で、同じスクラムハーフの新人として入った細矢聖樹からも学ぶことがあると言う。

「聖樹は、例えばボールを持って(走って)来るぞ、来るぞと思わせておいて、ポイって(パスを)放ってくる。そういうだますプレーがメッチャうまいんで、腹が立つんですよ(笑)。だから僕も聖樹やほかのうまい選手を見習って、相手に『性格悪いな』ってイヤがられるスクラムハーフになりたいです」

前節では、終盤に相手を押し込みながらあと1本のトライを取り切れなかった悔しさもあり、その反省も踏まえて臨む浦安D-Rocks戦。今季のヤマハスタジアム初勝利に向けて、プレー中限定で“イヤなヤツ”になることを望む9番は、どれだけ相手をだますプレーを見せてくれるのか。

(前島芳雄)

2025.12.26[浦安DR]感謝と誇りを胸に。オテレ・ブラック、「特別な場所」での50キャップ到達へ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年12月28日(日)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 浦安D-Rocks

浦安D-Rocks(D1)

浦安D-Rocksのオテレ・ブラック選手。この試合、出場すれば50キャップの節目を迎える

来日して5シーズン目、いよいよ、そのキャップ数が『50』に到達する。静岡ブルーレヴズ戦の22番に名を連ねたオテレ・ブラックは、その瞬間をベンチから待つこととなる。

日本に来た当初は、ここまで長くプレーするつもりはなかった。それが日を重ね、さまざまな経験を通じ心境に変化が生まれ、いまではリーグワンの舞台でのプレーを楽しんでいる。

「以前、在籍していたチームでも50キャップを達成したことはありますけど、不慣れな地、外国に来て50キャップを達成することは、やはり自分にとって大きな意味があります。これだけ長く日本で、そして一つのクラブでプレーできると思っていなかったので自分としても誇りですし、この先も長くいたいと思っています」

その支えとなったのは、「人との出会い、つながり」だとブラックは明かし、感謝を口にする。

「日本で新しく出会ったチームメートやほかの国から来ているチームメートとの出会いもそうですし、ニュージーランドで一緒にプレーしていた選手たちとの再会もそうです。それぞれが週末には試合を戦いますけど、それ以外のところでは支え合うことを大事にしてきました」

そしてもう一つ、ラグビー王国・ニュージーランドからやってきた男が、大きな感謝を寄せる存在がいる。それはいつでも温かく接してくれる日本のファンたちである。

「ラグビーをする上で、日本は特別な国だと思っています。自分にとって彼らの存在はすごく大きいです。特に試合後、選手たちが全員でお辞儀すると、それに対していつも称えてくれます。それまでプレーしてきた国ではどうしても勝った、負けたでファンの反応が変わりましたけど、日本の人たちは勝敗に関係なく、常にサポートの姿勢を見せてくれるので、すごくありがたいですし、感謝しています」

開幕からの2試合同様、ブラックがグラウンドに立つタイミングは、試合の行方を左右する重要な局面になるだろう。リードをしているのか、ビハインドを負っているのか、そのシチュエーションは分からないが、試合のカギを握るタイミングでの投入になることは間違いない。持ち前の攻撃センスで勝利を手繰り寄せ、「自分にとっても、家族にとっても特別な場所」となった日本での50キャップ達成に華を添える準備はできている。

(須賀大輔)

試合詳細

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