2026.01.09[神戸S]トンガ生まれの23歳が刻んだ初キャップ。その裏に、支え続けた母親あり

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年1月10日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1)

前節にリーグワン初出場。今節もリザーブメンバーに入ったコベルコ神戸スティーラーズのシオネ・シメ・マウ選手

「マウが一歩出てくれたので、僕も一緒に押しました」

そう笑顔で語ったのは前節、リーグ戦通算200試合出場という偉業を遂げた山下裕史だ。彼が言う「マウ」とは、その試合に途中出場したフッカー、シオネ・シメ・マウのこと。ピッチに入った数分後、山下らと組んだスクラムで相手を圧倒し、上村樹輝のトライにつなげた。山下が勝利の「ターニングポイント」と語った最大のハイライトと呼べる瞬間だ。“200キャップ”という金字塔のすぐ横で、“ファーストキャップ”を刻んだ男も確かな輝きを見せていた。

出身はトンガ。高知中央高校に進学して来日し、大阪体育大学を経て、昨季、アーリーエントリーでコベルコ神戸スティーラーズに加入したマウ。大学2年時にバックローからフッカーに志願して転向した。

挫折寸前の経験もしてきた。高校3年時、全国高校大会に出場した際に左足の前十字靭帯を痛めた。さらに、「アーリーエントリーのころは右の半月板を……」。度重なる大けがに見舞われた。「自分はもう、ラグビーはどうかな……」。心が折れかけた彼を優しく支えたのは母親だった。

「『そこは自分の気持ち。けがはしょうがない。どこまで行くか自分で決めてやったら』って。考え直して、もう1回切り替えようと」

子供時代からラグビーと向き合う自身を応援していたという母親。「どこで試合をやってもずっと付いてきてくれました」。スパイクはトンガでは高額品だが「がんばれ」とばかりにプレゼントも。当初、海外に出ること自体に興味がなかった息子に母親はエールを送り続けたという。

「お母さんがあれだけずっとラグビーをやってほしいという感じで言ってくれていたから、ここまで来ることができたのかなと思います」

リーグワンデビューを伝えると「『えー!』って驚いて(笑)。去年、『もう無理かな…』くらいまで落ちた中で出場することができたので、お母さんもびっくりしていたけど、『もうそのまま行け!』みたいな感じで(笑)。『やめる必要はないよ』と言ってもらいました」。来日はビザなどの関係もあり未定だが、その志に迷いはない。

「(母親が日本に)いつ来られるかは神戸のみんながやってくれます。自分はもう、試合に出場する意識だけをもってやっていきたいと思っています」

感謝を込めた“1歩目”を経て、23歳のフッカーが日本最高峰リーグを力強く駆けていく。

(小野慶太)

2026.01.09[東京SG]流大と中村亮土が残してきたレガシーを胸に。松島幸太朗、ターニングポイントへの決意

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年1月10日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs コベルコ神戸スティーラーズ

東京サントリーサンゴリアス(D1)

東京サントリーサンゴリアスの松島幸太朗選手。今節も15番で出場予定だ

前節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ相手に20対79の『チーム史上最多失点』という衝撃的な敗戦を喫した東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。その試合後、チームを長年けん引してきた中村亮土は、「この試合をチームのターニングポイントにしなければならない」と語った。

まさか、そう話した本人の大きなターニングポイントが発表されるとは……。

ラグビー界に衝撃が走ったのは新年早々の1月5日。ともに東京SGでキャプテンの経験をもち、日本代表としても活躍してきた34歳の中村亮土と33歳の流大が今季限りでの現役引退を表明した。両選手とも今季ここまで主力として活躍しているにもかかわらず。

今シーズンをもって引退する中村亮土選手(左)と流大選手

チームメートは何を思うのか。奇しくも前節の敗戦後、中村と同じように、「いつか『この負けがあって良かった』と思えるように、チームのターニングポイントにしなければならない」と語った人物がいる。フルバックの松島幸太朗だ。流、中村とは同世代として東京SGで苦楽をともにし、2019年と2023年のラグビーワールドカップでは代表の快進撃を支えてきた戦友でもある。

「『まだイケるっしょ』とは言いましたが……。長い間、ジャパンでもサンゴリアスでも一緒にやってきて、苦しいときも、自分たちのラグビーがうまくいったときも共有してきた仲間が引退するのはやはり寂しいです。彼らの残すレガシーを残された選手たちでしっかり受け継いで、このクラブをもっと価値あるものにしていきたい」

松島も来月には33歳。「自分も(引き際について)考える時期には来ています」と正直な思いを吐露する場面も。それでも、流・中村とともに築いてきたレガシーを自らが率先して体現しようと、今節への意気込みを語る。

「前節は自分たちとしても不甲斐ない試合でした。チームとしての看板を背負って出ているにもかかわらず、ノンメンバーに対して申し訳ない気持ちです。ブレイクダウンとフィジカルでやられたので、その部分で次の試合ではどんな姿勢を見せられるか。チームにとって大事な一戦になりますし、(流と中村の)二人がシーズン最後にハッピーで終われるように。いい形にしていきたいです」

流大も中村亮土もいない東京SGの姿をまだ想像できないファンも多いはず。だが、チームの歩みは続く。次の試合を、東京SGの未来へとつながるターニングポイントにしなければならない。

(オグマナオト)

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