2026.02.06[浦安DR]「解釈一つで良い世界はいくらでも作れる」。金正奎、脊髄損傷・左半身麻痺からの復帰へ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2026年2月7日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 浦安D-Rocks

浦安D-Rocks(D1 カンファレンスA)

昨年12月からチームの練習に合流している浦安D-Rocksの金 正奎選手は「ラグビーがめちゃくちゃ楽しくて仕方ない」という(写真は2025年4月12日、対コベルコ神戸スティーラーズ戦)

普通の人なら絶望に陥ったり、自暴自棄になったり、あきらめても不思議でない状況でも、「物事は解釈次第」と捉える金正奎は、常に前向きであった。

昨年5月の静岡ブルーレヴズ戦で大けがを負う。スクラムが崩れて立ち上がろうとしたときに左ひざに力が入らず、最初は前十字靭帯を痛めたかくらいに思っていた。ところが、テーピングをグルグル巻きにしてプレーを続行すると、どんどん状況が悪化していく。次に左手に力が入らずスローができなくなり、気が付いたら首に激痛が走る。「これ、首を痛めたかもしれん」。そう思った瞬間、左半身が動かなくなった。ラグビー人生を断たれるかもしない脊髄損傷であった。

試合後、静岡の病院に直行し、そこから介護タクシーに乗って千葉の病院へ。そのまま入院し、約1カ月に及ぶ入院生活が始まった。

そのときも、決して物事を暗く、マイナスに捉えない男は前向きに振る舞う。「不思議と『ラグビーができなくなる』とは思わなかったですね。このけがにもすごく意味がある、すごくいい経験をしているなと」。手術をするまでは激痛に耐えながらも、術後はすぐにリハビリを開始。歩行器や補助器具を使いながらひたすら病院内を歩き回った。

「そういう解釈をできたのは、体を常に整えていたことが大きいです。この2年間くらいは食事や行動をイチから見直して、脳と体をマルっと作り変えていたので。『心技体』という言葉がありますけど、自分は絶対に“体心技”。体ファーストですね。脊髄損傷を歩いて治したと自負しているくらい、退院してからもとにかく歩きました。だから、リハビリ中も手や足が動く、呼吸ができるということを当たり前ではないと思えたし、少しずつ動いてきているという小さな喜びを感じる日々だったので、つらさはなかったです」

今季の開幕直前、昨年12月に練習に合流してからは「ラグビーがめちゃくちゃ楽しくて仕方ない」という。中学生のときにラグビーを始め、毎日、毎日、うまくなる実感があったあの日々に近い感覚で楕円球と向き合っている。週末のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で、リザーブ入り。約9カ月ぶりとなる復帰戦を前にしてもそのスタンスは変わらない。

「『絶対に無理だ』と多くの人が思っている中で復帰して試合に出られれば、いま、けがなどで悩んでいる人へのいいメッセージになるかと思います。解釈一つで良い世界はいくらでも作れると思うので、僕のパフォーマンスや生き様からそういうところを感じ取ってもらえればうれしいです」

ひと回りもふた回りも、一人の人間として、そしてラグビープレーヤーとして大きくなって帰ってきた金正奎は、いまかいまかと心を躍らせながら、再びグラウンドに立つ瞬間を待っている。

(須賀大輔)

2026.02.06[S東京ベイ]知略のハードワーカー。「どちらかというと内向的」でもプレーは雄弁

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2026年2月7日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 浦安D-Rocks

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのタイラー・ポール選手

日本代表候補のメンバーに入ったことについては「とてもうれしいです」と語りながらも、彼は口角を上げなかった。「シーズンはまだ長い。まずは毎週末、試合でしっかりとしたパフォーマンスを出し続けたいです。私ができることは、そこだけなので」と、静かな表情で目の前の現実を正視した。

現在、タックル成功数は106とディビジョン1で1位。ボールキャリー数も76でリーグ6位。トライランキングにも、ショーン・スティーブンソンやチェスリン・コルビらと同数の8位に名を連ねる。そうした数字が、タイラー・ポールのプロフェッショナルな仕事人ぶりを雄弁に物語っている。

「自分のプレースタイルが、チームのゲームプランに合っているんだと思います。キャリーする役割を任せてもらっているので、自然とトライのチャンスも増えますし、タックルも同じです。ラインアウトには入らないぶん、次の局面で仕事をする場面が多い。あとは、とにかくチームのためにハードワークするだけです」

日本代表活動を終えてチームに合流し、間もなく開幕。今季は全戦でフル出場し、ピッチでは攻守両面で役割を全うし続けている。その原動力は「チームメートたちからのリスペクト」にあるという。

「私はどちらかというと内向的で、目立つことがあまり好きなタイプではありません。見えないところでハードワークするほうが性に合っている。そうしたプレーはファンの目には映りにくいかもしれませんが、チームメートやコーチは理解してくれていると思っています」

だが、そんな彼が「ベストなラグビーができなかった」と悔やむ試合がある。前節の東芝ブレイブルーパス東京戦だ。

後半31分にトライゾーンにボールをねじ込むも、ダブルムーブメント(タックルされて倒れたボール保持者が、一度完全に停止または接地した後に、再度地面を這って前進(再加速)しトライを狙う行為)で反則と判定されトライキャンセルに。本人は「スコアしたと思っていましたが、運が味方するときもあれば、そうでないときもある。それがスポーツです」と、その瞬間を振り返る。

そして、ゲームの最終局面では、目の前でリッチー・モウンガにトライを許した。無情にも指先からこぼれ落ちた勝利。その落胆から立ち直るまでには、数日を要した。

前節の終了間際、逆転トライをあげたBL東京のモウンガ選手。最後のタックラーがタイラー・ポール選手だった

「正直、かなり悔しかったですし、もっと良くできたはずだとも思いました。やり方次第では結果が違っていた可能性もある。ただ、人生と同じで、終わってしまったことは変えられません。だからこそ前を向いて、次の試合にフォーカスを切り替えています」

南アフリカではプロ生活を送りながら、難関である『ファイナンシャルプランナー』の資格を学び、取得した。学業も、ラグビーも、準備を完璧にすることが自信につながる。続く第7戦、ホームのえどりくで、ポールにとっては古巣となる浦安D-Rocksと対峙する。

「古巣かどうかは関係ありません。自分にできるベストのパフォーマンスを出すだけです。スピアーズのチームや仲間、そしてオレンジアーミーのファンが誇りに思ってくれるようなプレーをしたいですね」

派手なプレーで目立つよりも、チームの勝利のために泥臭い仕事を完遂することに最大の価値を置く、知略のハードワーカー。寡黙ないぶし銀は、仲間たちの笑顔のために体を張る。

(藤本かずまさ)

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