2026.02.12[三重H]けがを乗り越え、再加速する疾風。古巣戦に燃える“証明”の80分

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2026年2月14日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 三重ホンダヒート

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスB)

三重ホンダヒートのベン・ポルトリッジ選手。「正直に言えば、心の中には燃え盛る思いがあります」

丸太のような太ももが生む爆発的な加速。鈴鹿の風のように駆け抜ける姿は、岡野喬吾が「めっちゃ速い。気づいたらスゴいところにいます」と評するほど。彼の名はベン・ポルトリッジ。今季、三重ホンダヒートに加入したウイングである。

先週の東芝ブレイブルーパス東京戦では2トライの活躍。レメキ ロマノ ラヴァらとのコンビが冴え渡り、相手の守備を翻ろうした。「楽しい試合でした。特にチームワークが素晴らしかったです」と語るポルトリッジは、最も印象に残っている場面として1本目のトライに至るまでの流れを挙げる。

「(マヌ・)アカウオラがハイボールをキャッチして、ジョニー(・ファアウリ)がキックして、それが僕の胸に入って、レメキに渡る。あれは本当に良い連係でした」と彼は振り返り、感慨深げな表情を浮かべた。

ただその圧倒的なスピードの代償か、彼の選手人生はけがとの戦いでもあった。アキレス腱断裂、そして二度の前十字靭帯断裂。これまで長期間の離脱を強いられてきたが、いまようやく悪夢の連鎖を断ち切りつつある。

「とても苦しい時期がありましたが、この2年間は大きなけがをしていません。『また壊れてしまうんじゃないか』という余計な心配をしなくなったことで、よりラグビーに集中できています」と、彼は充実感をにじませながら語った。

そんなポルトリッジが今週末に迎えるのは、昨季まで所属していた古巣との対決。慣れ親しんだ相模原ギオンスタジアムでの三菱重工相模原ダイナボアーズ戦を前に、彼は一段と引き締まった表情で意気込みを語った。

「ラグビープレーヤーである以上、闘争心は必ず持っているもの。僕は古巣から『不十分だ』と言われた選手なので、『まだやれるんだ』というところを見せたい。正直に言えば、心の中には燃え盛る思いがあります」

しかし、彼が何よりも求めているのは自身の活躍ではない。

「ただ、個人的なことよりも、試合に勝ちたい。チームのために最大限のパフォーマンスを発揮したいと思っています。そのためにも、みなさんの応援が必要です。特にビジターでは、ファンのエネルギーを感じられることが大きな力になります」

キャリアを再加速させた『疾風のポルトリッジ』。HEATER(ファンの愛称)の声援を追い風に、敵地での“恩返し”を誓う。

(籠信明)

2026.02.12[相模原DB]小さな司令塔が持つ最大の闘志。オールブラックスが逆襲のテンポを刻む

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2026年2月14日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 三重ホンダヒート

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

三菱重工相模原ダイナボアーズに12月に加入した、元オールブラックスのブラッド・ウェバー選手

172cm、75kg。巨漢たちが激しくぶつかり合うラグビーのフィールドにおいて、ブラッド・ウェバーの体格はひときわ小柄に映る。しかし、その小さな体には、ニュージーランド代表“オールブラックス”で18キャップを刻み、世界最高峰のリーグを渡り歩いてきた強靭な精神と卓越したスキルが宿っている。

ニュージーランド・ネーピア出身の35歳。スーパーラグビー・パシフィックのチーフスで長年主力スクラムハーフを務め、ラグビーワールドカップ2019日本大会にも出場した名手は、フランスの強豪スタッド・フランセ・パリを経て、2025年12月に三菱重工相模原ダイナボアーズへ正式加入した。彼の武器は、即断即決のゲームマネジメントとテンポの速い試合運び。欧州で培った戦術眼を携え、日本の地で新たな挑戦をスタートさせている。

小柄な体で激しいフィジカルプレーに身を投じる秘訣を、ウェバーは「勇敢であること、そしてテクニックを完璧に磨くこと」だと断言する。

「これまでのラグビー人生で、僕は常に一番小さな選手でした。でも、フィジカルなプレーが大好きなんです。大きな選手が僕をターゲットにしてくるのは分かっていますが、それを楽しむか、さもなければ別のスポーツを選ぶしかないですからね」

あえて居心地の悪いタフな状況に身を置き、それを乗り越える。その積み重ねが、彼の揺るぎない自信を築き上げてきた。

現在、チームは4連敗と苦しい状況にある。ウェバー自身も、静岡ブルーレヴズ戦で脳振盪に見舞われ、第6節のリコーブラックラムズ東京戦は無念の欠場。かつての盟友であり、マオリ・オールブラックスでは同じく共同キャプテンを務めたTJ・ペレナラとの“スクラムハーフ対決”は惜しくもかなわなかったが、荒天による第7節の延期を経て、28日ぶりの公式戦となる三重ホンダヒート戦でいよいよ戦列に復帰する予定だ。

「自分たちはいま、多くの良いことができています。コーチのシステムを信じ続けること。僕たちには勝てるだけのプランも選手もそろっています」。勝利への処方箋としてウェバーが挙げるのは、敵陣22mライン内での得点力向上と、ボールがないときのワークレートの改善だ。絶好調のマット・ヴァエガにさらなるチャンスを供給するなど、自らがテンポをコントロールすることでチームを勝利へと引き戻す構えだ。

かつての戦友たちが日本に集い、再びしのぎを削る現状に、ウェバーは深い感慨を抱いている。「当時よりもいまのほうが、ずっと意味のあることだと感じています。僕たちが同じラグビー場でプレーできる機会は、これが最後になるかもしれない。一瞬一瞬を当たり前だと思わず、本当に楽しみたい」。

ホストゲームでの待望の復帰戦を控える司令塔は、ファンの声援を力に変え、限界を超えて動き続ける。ダイナボアーズの『新たな心臓』が、相模原の地で逆襲の狼煙を上げる。

(宮本隆介)

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