2026.02.27[S東京ベイ]“便利屋”では終わらない。自らを証明して切り開く道

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2026年3月1日(日)12:10 クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム) (大分県)
横浜キヤノンイーグルス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

前節は10番で、そして今節は15番で先発。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの押川敦治選手

便利屋的な立ち位置で終わるつもりはない。そのためには、自分の実力を証明する必要があった。

第6節の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦。押川敦治は22番としてメンバーに入りながらも、80分すべてをベンチで過ごした。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイにとって、今季唯一の敗戦となったこの試合。勝利の行方が不透明な消耗戦を見つめる中、押川の胸中では“自分に何ができるのか”という不安と、“チームを勝利に導きたい”という高揚感がせめぎ合っていた。

だが、ノーサイドの瞬間、そのざわつきは、ピッチを踏めなかったことへの歯がゆさに変わった。チームは翌日、BL東京とのトレーニングマッチを控えていた。消化しきれない思いに突き動かされるように、押川は出場を志願した。

「スタンドオフとフルバックをカバーできるからメンバーに入っている、という存在にはなりたくなかったんです。プレータイムが限られる中でも、自分の実力を示さないと意味がないと思っていました。あのタイミングで結果を出して、『やっぱりこいつは22番に置きたい』と思ってもらう必要がある。そう感じました」

本職はスタンドオフだが、昨季、途中帰国したショーン・スティーブンソンのあとを受け、押川はそれまでほとんど経験のなかった15番を担った。未経験に近いポジションを任され、それを全うしたことで、押川の自己基準は更新されたのだろう。“このレベルでプレーできるはず”の自分が、そこにいる。その高さに現実の自分が追いついていない──そんな感覚が、プレシーズン中に迷いを生んでいた。

だから、今季開幕戦で22番に名を連ねたときも、「つかみ取った」という達成感は薄かった。それ以上に強かったのは、いつ誰にポジションを奪われてもおかしくないという焦燥感だった。

そして、その予感は現実となる。第3節、第4節では立川理道が22番のジャージーに袖を通し、第6節でも押川に出場機会は訪れなかった。

迷いを晴らせるのは、結局のところ自分しかいない。BL東京とのトレーニングマッチ。後半開始からスタンドオフでピッチに立った押川は、大量得点での勝利に貢献した。証明は、ピッチの上で果たされた。続く第7節の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦。22番に、再び押川の名があった。

「自分の実力をどうすれば100%出せるのかを考え続けてきました。練習試合では『自分はできる』と自信をもってプレーできた。メンタルもスキルの一つだと、あらためて感じました」

チームが好調な中で、自分はどれだけ貢献できているのか。その問いに向き合うこと自体が、彼にとっての試練だった。浦安DR戦以降は、「萎縮せずに、自信をもってチャレンジできるようになってきた」という。前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では10番で今季初の先発出場を果たした。そして、第10節の横浜キヤノンイーグルス戦。ここで押川は15番を背負う。

「途中出場で15番を経験していたので驚きはありませんでしたが、任せてもらえたことは率直にうれしかったです。良い流れは感じているので、あとはそれを継続するだけ。難しく考えず、自分の役割を全うしたいです」

プレシーズンに生じた迷いは、消えつつある。目の前にあった靄は晴れ、進むべき道が、より明瞭になってきた。

(藤本かずまさ)

2026.02.27[横浜E]イーグルス愛を力に変えて。大分の地で示す“ベテランの値打ち”

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2026年3月1日(日)12:10 クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム) (大分県)
横浜キヤノンイーグルス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスA)

横浜キヤノンイーグルスの天野寿紀選手。今シーズン初めての先発出場でチームにエナジーをもたらす

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が今季初めてセカンダリーホストエリアの大分県でホストゲームを戦う今節。クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム)に首位を走るクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)を迎えるホストゲームは3月1日(日)12:10キックオフだ。

第9節を終えて1勝8敗。新体制ゆえの“産みの苦しみ”だろうか。レオン・マクドナルド体制1年目の横浜Eは苦戦が続く中、ここまで芳しくないチーム状態からの再起を誓う選手が、チーム生え抜きの天野寿紀。今節のS東京ベイ戦は満を持して、今季初先発のグラウンドに立つ。天野は言う。

「いま、チームは元気がないので、エナジーを注入することと、失点が多い中で自分の強みであるディフェンスでチームに貢献すること。そして経験値があるぶん、しっかりとゲームを落ち着かせて、(田村)優さんとゲームをコントロールしていきたいです」

2013年加入の天野は、ジェシー・クリエルにも引けを取らないチーム愛の塊の選手。今季のキャプテンを務めるクリエルとは、プライベートの時間でも、チームを良くするためのディスカッションを電話で交わすほど、「しょっちゅうチームのことを話している」。そんな天野を突き動かす“イーグルス愛”の原動力とは。

「僕は13年もの長い間、このチームにお世話になってきましたし、そのぶんもこのチームに何か恩返しをしたいという思いがあります。これまで僕に関わってくださった監督、コーチングスタッフ、OB選手を含めて、自分一人ではここまで来られていないので、その方々への感謝の気持ちはとてもあります。僕はイーグルスという組織に対する愛が強いですし、それだけでプレーしていると言っても過言ではありません」

前節の東京サントリーサンゴリアス戦では、1トライをマークしたレキマ・ナサミラや小倉順平ら、“ライザーズ”(横浜Eのノンメンバーの総称)の奮起に胸を熱くしたという天野。「三ツ沢(ニッパツ三ツ沢球技場)でプレーしているのと同じ感覚」でプレーできるセカンダリーホスト・大分の地で首位チームを撃破するために──。35歳の天野は「自分に求められる役割を果たして、“ベテランの値打ち”を出したい」と腹をくくっている。

(郡司聡)

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