2026.03.12[埼玉WK]「優勝したい」と「優勝させたい」。ベテランが抱く夢とチームへの責任感

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2026年3月14日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

埼玉パナソニックワイルドナイツのヴァルアサエリ愛選手(写真中央)

36歳になった、ヴァルアサエリ愛。埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)での在籍は14年目を迎えた。

「ここまで長くラグビーができるとは思っていませんでした。30歳を超えてもプレーできたらいいな、と思っていたので、本当にうれしいです」。穏やかにほほ笑みながら、歩んできた時間を振り返った。

長く第一線に立ち続ける原動力の一つが、「気持ち」だという。「このポジション(プロップ)は気持ちが大事。痛いところはたくさんありますけど……(笑)。そこは気持ちで補っています」。肉体的な負荷を鍛えた心で支える姿に、長年チームの中心で戦い続けてきた者の責任感がにじんだ。

今週末に控えるのは、首位を走るクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの一戦だ。相手はホストゲームで直近17戦無敗。埼玉WKにとっても直近2試合の直接対決で勝利がない難敵である。「フォワードは大きくてセットピースも強い。本当に簡単な試合にはならないと思います」。それでもヴァルは「チャレンジというより、気持ちで戦いにいきたい」と言葉を重ねた。勝敗の分かれ目を知るベテランだからこそ、試合の土台となる精神面の重要性を強く意識する。

その「気持ち」を支える変化もあった。新たにフォワードコーチに就任した堀江翔太は、埼玉WKでも日本代表でも隣でスクラムを組んできた戦友。そんなコーチから学ぶのは、体の使い方だ。「正しく体を使えていれば、どんなに大きな相手でもスクラムを押せるんです。体が強い位置で組めれば、疲れていてもどうにかなります」。経験に裏打ちされた言葉に説得力が宿った。

真摯な姿勢は、同期であり長年ともにチームを支えてきた稲垣啓太との関係にも表れる。インタビューの最中、近くをとおりかかった稲垣の姿を目で追いながら言った。

「ここまでラグビーを続けてこられたのは本当に、みんなのサポートのおかげです。ガッキー(稲垣)とは一番仲が良いかな。プライベートよりも、体のことやラグビーの話をしている時間のほうが長いですね。トレーニングやチームの話をよくします」。ベテランとなったいまも、日常の中心にあるのは競技そのもの。長く戦い続ける選手たちに共通するのは、ラグビーへの誠実さなのだろう。

一番仲が良いという稲垣啓太選手(写真左)と体の使い方について学んでいるという堀江翔太コーチ

最後に、いまの夢を問えば、朗らかな声が返ってきた。

「今年は優勝したいです。優勝させたい」

そのためにも日々改善点に向き合い、「最後まで戦います」と誓った。

(原田友莉子)

2026.03.12[S東京ベイ]その存在がラグビーを続ける理由。家族の前で迎える節目のチーム100キャップ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2026年3月14日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

10年目、そしてチーム100キャップ。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの海士広大選手

「家族のため、ですね」

海士広大にとってラグビーを続ける理由は、とてもシンプルだ。

2017年にクボタスピアーズ(当時)に入団して、今年で10年目。チームとともに歩んできたキャリアの節目として、今節の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦でチーム通算100キャップに到達する見込みだ。

2017年に入団してからの約10年で、チームは確かな進化を遂げてきた。海士が振り返るのは、練習の解像度が明らかに上がったことだという。

「クリーンアウトなら相手を倒し切るまで行くとか、ラインアウトならフルリフトで一番いいポジションまで持っていくとか。細かいところまで徹底してやるようになりました」

入団当初はそこまで詳細に突き詰める文化はなかったという。だが年月を重ねる中で、「どう戦うべきか」をチームとして言語化し、スタンダードを高めてきた。その積み重ねが、現在のクボタスピアーズ船橋・東京ベイの土台を形づくっている。

2023年までチームに在籍していたアランド・ソアカイ 元アシスタントコーチの存在も、その変化に大きく貢献した。ソアカイは選手たちに「なぜラグビーをするのか」を問い掛け、「誰のためにプレーしているのか」という自分自身の“Why”を言葉にする時間を設けてきたという。

その問いに向き合う中で海士が見つけた答えがある。

「やっぱり僕は家族です。応援してくれて、熱くなってくれたらうれしいです」

今年で2歳になる子供は、ラグビーの試合がテレビに映ると「パパ」と言う。まだ本当に自分を指しているのかは分からない。それでも、その一言が海士の背中を押している。

節目のチーム通算100キャップが懸かる次戦の相手は、これまで何度も苦杯をなめさせられてきた埼玉WK。規律の取れた守備と試合運びで知られる難敵に対し、海士も「苦しい試合になるイメージはあります」と率直に語る。事実、埼玉WKにはまだ、レギュラーシーズンでは一度も勝つことができていない。

それでも、チームとしての手ごたえは確実に変わってきたという。昨季、引き分けに終わった試合などを通じて、戦い方のイメージが見えてきた。

「セットピースで優位に立てれば、チームとしても勢いづいていく。そこで勝てれば『いける』と思ってやっていました」

今回のメンバー入りについては、自身でも驚きがあったという。確かに、今季は思うようなプレーを出せた試合ばかりではなかった。それでも長く積み上げてきた信頼が、今回の起用につながったと感じている。

「使ってもらっている以上、その期待に応えないといけない。自分の仕事をしっかり遂行していこうと思います」

家族が見守るスタンドの前で迎える、チーム通算100キャップの節目。海士は、今回も自分の役割を果たすためにグラウンドへ向かう。

(藤本かずまさ)

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