2026.04.17[S東京ベイ]同じ名字、違う物語。その名に、自らの価値を刻む

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年4月18日(土)14:05 えがお健康スタジアム (熊本県)
東京サントリーサンゴリアス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのアキラ・イエレミア選手(写真中央)が生まれたのは東京都府中市。なぜなら──

アキラ・イエレミア。多くの人は彼のことを、往年の名プレーヤー、アラマ・イエレミアの息子として語る。ある意味、これは2世選手の宿命でもある。しかし今季、その見方は、静かに更新されつつある。

父・アラマが来日し、プレーしたサントリーラグビー部(当時)が日本選手権で優勝を果たした2001年、アキラは東京都府中市で生を受けた。練習場やジムの周りを走り回っていた記憶は、5歳まで過ごした「日本の思い出」として彼の中に残っている。

母国・ニュージーランドに帰国後は地元のクラブでラグビーを続け、高校ではバレーボールとラグビーの2刀流で活動。バレーボールではU19ニュージーランド代表に選出されるまでの活躍をみせた。

年齢が上がるにつれて、彼はこの二つの競技の間で選択を迫られるようになる。ニュージーランドでは、バレーボールを続けられる環境が限られていた。答えは自然に絞られた。

だが、それは2世選手にとって安易な選択ではなかった。その歩みは、常に父の存在と隣り合わせにある。彼は言う、「だから、覚悟は必要でした」──。

プロキャリアの起点となるウェリントンに入団したのは22年。そこでは、それまで当たり前だったレギュラー出場は、もはや当たり前ではなくなった。自信が悲観に塗りつぶされたそのとき、彼を支えたのは父の言葉だった。

「父に電話をすると、『プロとはそういうものだ』と再確認させてくれました。父の助けがあったからこそ、いまもこうして続けられているのだと思います」

24年、ウェリントンはNPC(ニュージーランド州代表選手権)で優勝を果たし、アキラもその一翼を担った。再び日本の土を踏んだのは、その直後。同年12月にクボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団。翌1月、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)との一戦で初キャップを刻んだが、テンポの速いラグビーに直面し、昨シーズンはその対応に費やした。

遠回りも含めて、すべてが力になっていた。昨年は期限付き移籍で古巣ウェリントンに戻ると、日本で培ったスピードが大いに生きた。そこで自信を深め、今季は心身ともに整った状態で開幕を迎えることができた。バレーボールで培った跳躍力も、ラインアウトでの大きな武器となっている。

「昨シーズンは自分にとって学びのシーズンでしたが、今季は自分が立ち上がって、チームをもっと助けようとする時期だと感じています」

4月18日、アキラ・イエレミアは東京SGと対峙する。父が在籍していたチームではあるが、そこに特別な感情はない。果たすべき使命を、ただ果たすだけだ。

「前回のトヨタヴェルブリッツ戦では、フィジカルの戦いで負けてしまった。だから今週は、自分たちの間違いを正すときだと思っています。フォワードパックとして、しっかりと立ち向かいたい」

父は日本でも優勝を経験している。もちろん、自分もそうなりたい。そしていつか、『アラマの息子』という冠を外さなければならない。

「私には私が歩むべき旅路(ジャーニー)があります。父とは同じ名字ですが、その名に恥じない活躍をして、誇りに思えるようにしたいです」

2世選手だからこそ歩める旅路というものも、きっとある。こちらが「いつか『アラマの息子』ではなく、アラマさんが『アキラのお父さん』と呼ばれる日が来るかも」と言うと、「そうなればいいですね」と彼は口元をほころばせた。

(藤本かずまさ)

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