2026.04.24[BR東京]システムという殻を打ち破り、その向こう側へ。世界的名手から学んだ感性の大切さ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年4月26日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs トヨタヴェルブリッツ

リコーブラックラムズ東京(D1)

リコーブラックラムズ東京の中楠一期選手

楕円形のボールをセットし、また一つ呼吸を整える。力強く踏み込んでタイミングを合わせて右足を振り抜き、ボールの行く末を見届ける。全体練習を終えて選手たちが引き上げていく中で、中楠一期は最後までグラウンドに残って何度も何度もキックの感覚を合わせている。これはお決まりの光景となっている。

「蹴る量で言えば昔からだいぶ蹴り込んできました。こういった個人練習はエゴを出していい場と捉えています。チームの練習中はしっかりチームにアジャストするけど、一人の時間になったら、そこは自分が納得いくまで好きなことをやっていい。自分の中で納得がいくまで蹴っています」

「納得がいくまで──」。そのエゴイスティックさはスキルアップだけでなく、週末の試合へ向けたモチベーションの向上にもつながっている。

それでも数年前までは試合において「殻にこもっていた部分があった」という。「足が速かったり、体が大きくて強かったり、僕自身はそういう選手じゃない」と自認し、だからこそ周りをうまく使いながら相手の守備の穴を突き、それに決められたシステムの中でチームプレーに徹していた。

ただ、トップレベルの相手であればあるほど一瞬のスキはなかなか与えてもらえない。型にハマり切らず、いかにしてほころびを突くか。中楠は最高のお手本であるTJ・ペレナラとともにプレーをすることで新たな学びを得た。

「見ていても分かるように本当に強気な選手ですし、ニュージーランドのスタイルでもあると思いますが、自分の感じたものをすごく大切にしているなと感じました。システムの中で動くので、そのとおりにやるのは正解の一つですが、そこで生まれたスペースや自分の直感を大切にしている。それに対して、周りがリアクションをして何かが生まれることも多い選手です。そういったものを見て自分でも直感を大切にするようになりましたし、一皮むけた部分があります」

試合を重ねて互いの考えを共有し、時には大事な場面で「強気に行っていいよ」と勇気づける言葉もペレナラからは受けた。25歳の青年は世界的名手の隣でプレーの幅を広げている。

9番のペレナラキャプテンのプレー(写真右)を間近に見るなかで「自分でも直感を大切にするようになりましたし、一皮むけた部分があります」

レギュラーシーズンでは東京都内での今季最後のホストゲームとなるトヨタヴェルブリッツ戦。9番と10番がチームをけん引して、ファンの見守る前で目標のプレーオフトーナメント進出を勝ち取る。

(藤井圭)

2026.04.24[トヨタV]ラグビーにも通ずるボートでの経験。勝利に導く『One For “オール”』

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年4月26日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ(D1)

ボート競技で培った体力はラグビーでも武器に。「自分のフィットネスにはプライドをもっています」と語るトヨタヴェルブリッツのザック・ギャラハー選手

今節が第11節・浦安D-Rocks戦以来の出場となるザック・ギャラハー。ニュージーランド出身で、マオリ・オールブラックスに選出された経験を持つ24歳は今季、度重なるけがに悩まされ思うようにプレー時間を伸ばせなかった。それでも久しぶりの出番に「ジャージーを着てピッチに戻れることが非常に楽しみ」と笑顔を見せた。

いつも紳士的で優しい人柄の持ち主だが、意外な経歴をもつ。高校時代はボート競技の選手で、国内の試合で全国優勝を果たすなど将来を嘱望される選手だった。

「ニュージーランドでボートはとても人気のあるスポーツです。しばらく乗っていないですけど、クルセイダーズにいたときはプレシーズンでボートを漕いでトレーニングすることもありました」と懐かしむ。

しかし、腕のけがなどもありボートは断念。ラグビーに専念することになるが、当時培った体力やメンタルはいまも大きな武器となっている。

「ボートでは2kmのレースがあったんですけど、レースの終盤、どれだけ疲れていても漕ぎ続けないといけないし、それは今までで一番苦しかったと言っても過言じゃないくらい過酷でした。ラグビーでも苦しい場面はありますけど、そこでパワーを出すための“最後の燃料”というか、そういったものをもち合わせていますし、自分のフィットネスにはプライドをもっています」

陸上と水上、一見すると異なる競技だが、ラグビーとボートには共通点も多い。厳しいトレーニングによって鍛え上げられた肉体はもちろん、ギャラハーが行っていた4人乗りや8人乗りのボートでは、全員の息を合わせて漕ぐことが不可欠。それはラグビーにおいても同様で、攻守において連動性が欠けるとスキが生まれパスもつながらない。「One for All」という言葉は、どこかボートの“オール”とも重なって聞こえる。

「今節はニュージーランドから両親が試合を観に来てくれるので楽しみなんだ」と語るギャラハー。ボートとラグビーで鍛え上げたフィットネスとメンタルを武器に、チームを勝利へと導く。

(斎藤孝一)

試合詳細

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