2025.12.18[江東BS]華やかなキャリアの裏に謙虚さと勤勉さ。ホンモノのフィジカルを見せる“大型新人”

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月20日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

トンガ代表17キャップ、清水建設江東ブルーシャークスのシオネ・タリトゥイ選手

今季から清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)に新加入したシオネ・タリトゥイ。トンガ代表17キャップを誇り、ブルーズ、クルセイダーズ、モアナ・パシフィカといった、世界最高峰のクラブを渡り歩いてきたフランカーが、ついにリーグワンの舞台に立つ。

キャリアの華やかさとは対照的に、合流初日からその姿勢は一貫して謙虚だった。練習前、練習後、ミーティングの合間──。とにかく周囲に質問し、吸収し続ける。取材時で合流3日目というのに、コーチ陣や選手たちに印象を聞くと、全員が同じ言葉を返した。

「とにかく勉強熱心」

事前に江東BSの映像を見てプレー原則を頭に入れ、合流後は毎日の自主練習で日本人選手をつかまえて動きをすり合わせる。その光景は、経験を積んだプレーヤーというより、ほとんど“新人”のような勤勉さだった。

タリトゥイは言う。

「戦術なども徐々にしっかり理解することができましたし、コーチ陣や選手たちがものすごく助けてくれたおかげで本当にスムーズに過ごすことができました。ようやくスタートメンバーとして出る機会をもらうことができてすごくうれしいですし、非常に楽しみにしています」

そんな謙虚な男に「注目してほしいプレー」を聞くと、表情がガラリと変わった。

「フィジカルですね。もう本当に私自身を見てほしいです。アタック、ディフェンスどちらでもフィジカルのところを注目してください」

控えめな態度の奥に隠れた、強烈な自信。“圧倒的なぶつかる力”を、タリトゥイは間違いなくチームにもたらすだろう。スカウティングに関わった吉廣広征ヘッドコーチ兼マーケティングリーダーも、彼への期待をこのように語る。「人間的にもそうだし、プレーも良いとは事前に聞いていたので、コンディションだけ整えばすぐ出られると思っていました。『九州電力キューデンヴォルテクスのプレースタイルにどうやって勝つか』と考えたときにフィジカルは特に彼の強みなので、絶対メンバーに入ってほしかった」。日ごろの姿勢で信頼を勝ち取り、実力も申し分ない。

最後に将来の夢を尋ねると、迷わずこう語った。

「ラグビー選手になることが一つの夢だったので、いまは、夢が叶っている最中ですが、選手としてのキャリアが終わったらコーチになりたいと思っています。それがどこの国なのかは分かりません。日本でもコーチしてみたいですし、スーパーラグビーでもコーチしてみたいですし、将来的にはトンガ代表のコーチもしたいです。それでラグビーワールドカップに出たいと思います」

勤勉で謙虚で誰よりも真面目。しかし、ひとたびグラウンドに立てば“本物のフィジカル”で試合を動かす。

江東BSのジャージーとともに、シオネ・タリトゥイの新たな1ページが、今節いよいよスタートする。

(奥田明日美)

2025.12.18[九州KV]「いまが一番、ラグビーが楽しい」。“あの2文字”を忘れ、青春を謳歌する34歳

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月20日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 清水建設江東ブルーシャークス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

特別な思いで2試合続けての先発出場に臨む、九州電力キューデンヴォルテクスの松下彰吾選手

実に1,044日ぶり。松下彰吾は格別の瞬間をかみ締めた。

開幕戦を勝利で飾った九州電力キューデンヴォルテクスだったが、この試合で先発した松下にとってこの勝利は特別なものだった。

「スタメンで出て10番としての責任はあると思っていたので、勝利できてすごくうれしかったです。ホッとしたというのが正直な気持ちでした。特にここ数年はあまり試合に出ることができておらず、外から試合を見てチームの勝利を喜んでいたのですが、グラウンドに立って勝利を感じられたというのはうれしかった」

昨季は1試合の出場に終わり、一昨季も3試合の出場。そのすべてで敗戦しており、自身が出場した試合で勝利するのはほぼ3年ぶりのことだった。特に昨季唯一の出場となった試合では、途中出場からわずか4分後に脳振盪で退くことになり、不甲斐なさを筆頭にさまざまな思いが胸の中に去来した。

「初めて自分の中で『どこまでやるのか』ということに向き合うきっかけになりました」

その時点で34歳。社業も抱えている中で選手としての最終コーナーはすでに曲がっている。頭には、すべての選手が避けてはとおれない2文字が浮かんだ。

それでも松下は新たなシーズンを迎えても変わらず楕円球を追い掛けている。

「純粋にいまが一番、ラグビーが楽しい。自分が入団して5~6年くらいは苦しい時代が続きました。試合をしても負けるし、どれだけやってもなかなか成果も出ないから正直、ラグビーがあまり楽しくなかった。でも、そういったときを経て、昇格してこの舞台(ディビジョン2)でも勝てるようになっている。この環境でラグビーができることが楽しいので続けられています」

ラグビーの楽しさ、選手としていられるいまの環境のありがたみを感じたとき、彼の頭の中でチラついていた2文字は吹き飛んでいった。

「この年齢になってもまだ青春を送れているというか……。学生時代のように、みんなで勝つために一つになる。それをこの年齢になっても味わえていることがうれしいし、そこに身を委ねる感覚がすごく心地いい」

そこに年齢は関係ない。松下はいま青春の真っただ中にいる。

(杉山文宣)

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