2025.12.19[RH大阪]飾ることなく、「みんなを巻き込んでいく」。生まれ育った活気ある街にふさわしい試合を

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月21日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

レッドハリケーンズ大阪(D2)

「活気あるゲームを見せたい」と語るレッドハリケーンズ大阪の島田久満キャプテン

落語一つとってみても、噺の大筋は同じでも、江戸では粋なところに落とし込むが、上方ではバイタリティーにあふれた物語を紡ぎ出す。上方文化が根付く大阪には、ネガティブなことも開き直って笑い飛ばせるような、クレバーなたくましさがある。それこそが活気ある街の屋台骨と言えよう。

しかしながら、大阪人がみんなそろってしゃべりが達者だと捉えるのは、少し偏った見方だ。大阪人でも、しゃべることを不得手だと感じる者もいる。島田久満も、そのタイプだった。

3シーズン前の開幕前、前キャプテンの杉下暢が「必ず活躍する」注目選手として挙げた島田に話を聞いた際、表情はかなり強張っていた。それでも、さすが大阪人。「こういう経験がなかったので、どう話せばいいか分からない」と、大きく笑い声を上げてもいた。

話すからにはうまく話さなければいけないと思っていたところもあったのかもしれない。区民アンバサダーでの務めや試合後に人前で話す機会が増えたことで、臆することなく言葉が出てくるようになった。苦手意識のあったものに向き合い、随分成長したものだ。いまではチームメートの良さを自ら伝えてくるようにもなっている。

今季はキャプテンに就任した。昨季バイスキャプテンだった島田には、中学のラグビー部と大阪選抜、大学でのバイスキャプテン経験しかない。それでも「キャプテンとしてのプレッシャーは感じていない」という。ベテランも若手も、社員選手も外国籍選手も、みんなが気づいたことを話してくれるという信頼があるからだ。

とはいえ、悩みがなかったわけではない。就任当初は、「杉さん(杉下)は、話すこともすごいし、ゲームでも頼りになる。そんなふうになっていかないと」と考えていた。「でも、功さん(松川功ヘッドコーチ)もきっと自分のことを分かった上でキャプテンに指名してくれたのだと思うし、仮面をかぶってもうまくいかないだろう」と思い直した。日々の成長は志すが、自らを飾りはしない。「みんなを巻き込んでいく」キャプテンとして、生まれ育った活気ある街に相応しい「活気あるゲームを見せたい」。それが生粋のなにわっ子である島田の目標だ。

粛々と上がるホストタウンの赤い緞帳。袖幕の内にも、いつもの音楽と観客席からの拍手が聞こえる。簡単でないことは、分かっている。けれど、たとえ何かあったとしても、これまでと同じように仲間がサポートしてくれるだろう。積み上げてきたものを信じ、舞台に上がる覚悟は決めた。

さあ、出番だ。大阪の街の人たちに“おもろいやん”と言わせにいこう。

(前田カオリ)

2025.12.19[S愛知]物理学×ラガーマンという異色の肩書き。知的探求心あふれるロックの挑戦

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月21日(日)14:30 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

身長202cmのロック、豊田自動織機シャトルズ愛知のジャック・ダン選手(写真中央)

「ヨーロッパの文化とは違うところで生きてみたいという思いがあって、日本に来ました」

前節、豊田自動織機シャトルズ愛知でのファーストキャップを獲得したジャック・ダン。今季より加入した27歳のアイルランド出身ロックは、新たな文化圏での生活を楽しんでいる。

「都会にいても、どこかリラックスできる雰囲気が気に入っています。とても安全で、物を置いても誰も盗まないし、電車の中でもみんなが静かに過ごしているのが素晴らしいですね」

日本語の習得にもかなり積極的だ。「とても難しい言語ですが、コミュニケーションを取るためにトライしているところです」。来日してまだ3カ月ほどと間もない中での成長速度にはチーム関係者も目を見張っている。

そんなダンの出身大学は、アイルランド最古の歴史をもつトリニティ・カレッジ・ダブリン。創設は1592年で、創設者はなんとあのエリザベス1世。歴史ある環境で、ダンはラグビーと並行しながら、物理学を専攻していた。「もともと数学や物理が好きで、チームメートはビジネスコースに行く人も多かったのですが、自分は好きなものを優先しました」。学生時代に物理とラグビーを追い求めた選手は、世界中を探しても稀な存在だろう。

徳野洋一ヘッドコーチがダンについて、「新しいことに挑戦する意欲があって、非常にハングリーな選手」と評するように、ダンの半生から垣間見えたのは、その根本にチャレンジ精神があること。勉学とラグビーを両立したことも、日本文化を積極的に享受していることも、すべて自身がこれまで培ってきた、何事にもチャレンジングなマインドによるものだ。

本人はラグビーにおける自身の信条を「ハードワークする・楽しむ・ベストを尽くす」の3つだと語るが、その信条はダンの人生を表しているように思える。そしてそれは、なにか特別な成功をつかみ取ろうとする人にとって、欠かせないものでもある。

(齋藤弦)

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