2025.12.25[九州KV]救ってくれた大好きな先輩のため。同じグラウンドに立つことを夢見て、続ける勝利への努力

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第3節
2025年12月27日(土)12:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

今節もリザーブでメンバー入り。九州電力キューデンヴォルテクスの竹部力(たけべりき)選手(写真中央)

「試合に出ていれば、うれしさも悔しさもより身に染みるなと思いました」

開幕戦でファーストキャップをつかみ、第2節では初先発。2年目を迎えた竹部力は“当事者”として試合結果を受け止められることの充実を感じている。開幕戦での勝利には「グラウンドに立ってみんなと喜ぶ感じが一味違った」。第2節での敗戦には「めちゃくちゃ悔しかったですし、帰宅してからもフラッシュバックというか試合のことばかり考えてしまった」。

ルーキーイヤーだった昨季は公式戦の出場なしに終わり、悔しさにまみれた。そんな中である日、竹部は「悔しさが爆発してしまってどうしようもなくなって泣いたことがあった」という。そんなとき、いち早く自身の気持ちを察してくれた人物がいた。それが山田有樹だった。

「僕はあまり人に気持ちを伝えるのが得意ではないのですが、山田(有樹)さんは『少し時間いいですか?』と言える人で、めちゃくちゃ寄り添ってもらいました。山田さんは飾り付けた言葉は言わずに本音を言ってくれますし、あのときは山田さんに本当に助けてもらいました」

竹部は山田有樹のことを「大好きな先輩」と言ってはばからない。その関係性は周囲から「師弟関係と言われる」ほどだ。それもあっていつしか竹部にとって「山田さんと一緒のグラウンドに立つ」ことが目標の一つになった。

「いま、僕は試合に出ることができていますが、山田さんを待つような立場ではないですし、余裕をもてるような立場でもない。山田さんは何も言わずに頑張る人なので僕もとにかく頑張ります」

竹部にとって先輩の姿は「山田さんを見ていたら僕も頑張れます」と言うほど常に刺激を与えてくれる存在になっている。悔しさに打ちのめされた昨季の竹部はもういない。

「勝利に貢献するプレーヤーになりたい。チームの流れを作るのは体を張る選手だと思っているので、『力は体を張る選手だよね』と言われるようになりたい」

大好きな先輩の姿を刺激に、竹部はチームの勝利のために努力を続ける。

(杉山文宣)

2025.12.25[釜石SW]どれだけ思いを込められるか。試される小野航大と釜石SWのいま

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第3節
2025年12月27日(土)12:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 九州電力キューデンヴォルテクス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

コンディションが充実しているという日本製鉄釜石シーウェイブスの小野航大選手

リーグワン発足以降、クラブ初のホスト開幕戦勝利を達成した日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)。確かな手ごたえを胸に、チームはいま次の舞台へと向かっている。

リーグワン初の開幕連勝を懸けて迎えるホストゲーム。その一戦を前に、静かに闘志を燃やすのが小野航大だ。

「ここ数年では、一番の体の状態だと感じています」

そう語る口調は穏やかだが、言葉の端々からは、長い時間を掛けてコンディションを取り戻してきた実感がにじむ。

2023-24シーズン、小野は肉離れを3度発症し、断続的な離脱を余儀なくされた。思うように走れない時間が続き、ようやく感覚を取り戻しかけた矢先に、再びグラウンドを離れる。その繰り返しは、想像以上に心身を削るものだった。さらに昨年の12月には右足首の手術を受け、復帰を目指す過程で再び肉離れを発症。リハビリの日々は、再度スタートラインへと引き戻されたような感覚でもあった。

それでも今季、小野は完全復活の兆しを見せている。トレーニングや試合を通じて、コンディションが上がっていることは周囲の目にも明らか。ウイングとして生命線となるスプリントについても、「これまでは騙し騙しやっていた部分もありましたが、いまはスプリントへの怖さがない」と語る。足首やハムストリングへの不安が薄れ、プレーに迷いがなくなってきている。

そんな小野は12月15日に34歳の誕生日を迎えた。愛娘から贈られたのは、ジャージーの形をした手作りの小さなキーホルダー。応援と感謝の気持ちが詰まったその贈り物を、小野はいまも大切に持っている。

「(キーホルダーを)落としてなくしてしまうのが怖くて、まだ着けてないんです」

少し照れくさそうに笑う表情からは、グラウンド上の鋭さとは異なる、愛情にあふれたチャーミングな一面が垣間見える。苦しい時間を経験してきたからこそ、家族からの何気ない応援が、何よりの支えになっている。

また、今節の舞台となるいわき市も小野にとって特別な意味をもつ。同市出身の小野にとっては2年ぶりの凱旋試合だ。昨季は手術後でリハビリの最中にあり、グラウンドに立つことは叶わなかった。

「自分の地元で試合が開催されるタイミングでゲームメンバーに選ばれることは当たり前じゃない。これが最後かもしれないという気持ちで頑張ります」

キャリアを重ねる中で蓄積してきた疲労や故障、そして激しさを増すチーム内競争。その現実を受け止めた上で語られる言葉には、釜石の名を背負う選手としての責任感と、応援への感謝が込められている。

いわきの地で問われるのは、結果だけではない。けがと向き合い、支えられながら積み上げてきた時間と思いを、どれだけプレーに込められるか。

小野航大と釜石SWの“いま”が、静かに、しかし確かに試される。

(髙橋拓磨)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧

ページトップに戻る

Teams

DIVISION 1

  • 浦安D-Rocks
  • クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
  • コベルコ神戸スティーラーズ
  • 埼玉ワイルドナイツ
  • 静岡ブルーレヴズ
  • 東京サンゴリアス
  • 東芝ブレイブルーパス東京
  • トヨタヴェルブリッツ
  • 三重ホンダヒート
  • 三菱重工相模原ダイナボアーズ
  • 横浜キヤノンイーグルス
  • リコーブラックラムズ東京

DIVISION 2

  • グリーンロケッツ東葛
  • 九州電力キューデンヴォルテクス
  • 清水建設江東ブルーシャークス
  • 豊田自動織機シャトルズ愛知
  • 日本製鉄釜石シーウェイブス
  • 花園近鉄ライナーズ
  • 日野レッドドルフィンズ
  • レッドハリケーンズ大阪

DIVISION 3

  • クリタウォーターガッシュ昭島
  • 狭山セコムラガッツ
  • 中国電力レッドレグリオンズ
  • スカイアクティブズ広島
  • ヤクルトレビンズ戸田
  • ルリーロ福岡
ページトップに戻る