2026.01.15[釜石SW]転機は大学時代。“判断と選択”で方針を体現するラグビー博士

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第4節
2026年1月17日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

日本製鉄釜石シーウェイブスの村上陽平選手。昨シーズンまではキャプテンを務めていた

ラグビー仙人、あるいはラグビー博士。

そんな二つ名で語られる存在が、村上陽平である。

「周りが勝手に言っているだけですよ(笑)」

そう照れたように返す村上自身に、特別な探究者という自覚はない。ただ、その卓越した戦術眼とラグビーIQの高さを表す言葉として、これほど的確な表現もない。

ラグビーという競技への探究心。その土台には、競技を始めて以来、9番あるいは10番としてプレーしてきた経験値に加え、日本大学時代に訪れた“ラグビーの見方”の変化がある。

それまでは、一人のラグビーファンとして試合を見ていた。好プレーに素直に驚き、トライに一喜一憂する。その感覚は、いまも大切にしている部分だという。一方で、大学ラグビーに身を置く中で、試合を少し引いた視点から捉えるようになっていった。

卒業研究として選んだテーマは、『トライはどのようなプレーから生まれるのか』。スーパーラグビーの試合映像を繰り返し確認し、得点の起点がキックカウンターなのか、スクラムなのか、ラインアウトなのか、あるいはアタックの構造そのものなのかを丹念に分析した。どの局面が流れを生み、どこでチャンスが拡張されていくのか。そうした積み重ねが、試合を“構造”として捉える感覚を育てていった。

この経験を境に、ラグビーを見る目は変わった。戦術や選択に自然と意識が向き、「なぜいまのプレーは機能したのか」「別の選択肢はなかったのか」と考えるようになった。試合映像を巻き戻し、細部を確認することも増えた。その視点は、スクラムハーフとしての判断やキック選択に、確実に生きている。感覚と理屈、その両方を行き来しながらラグビーと向き合ってきた時間こそが、村上の思考の土台である。

日本製鉄釜石シーウェイブスは今季、3試合を終えて1勝2敗。村上は「目指しているラグビーは、徐々にできてきている」と手ごたえを口にする一方で、明確な課題にも言及する。それが「後半立ち上がりの遂行力」だ。

実際、今季の3試合はいずれも後半の立ち上がりで失点を喫し、流れを相手に渡す展開となった。特に前節の九州電力キューデンヴォルテクス戦では、理想的な展開でハーフタイムを迎えながら、後半、わずかなエラーから主導権を失った。立ち上がりでのミスは、チーム全体のモメンタム(勢い)に直結する。自身のキックミスを振り返り、村上は「あそこでしっかり遂行できていれば、違う展開もあったかもしれない」と、その場面を教訓として刻み込んでいる。

今季追い求めるのは、トウタイ・ケフ ヘッドコーチが掲げる『ゴールドスタンダード』。シンプルであるがゆえに、遂行力が厳しく問われるラグビーだ。村上は、その基準を言葉ではなく、これまで培ってきた判断と選択で体現する存在であろうとしている。

(髙橋拓磨)

2026.01.15[S愛知]信頼を置く仲間の不在。“キャプテン1年生”は試練を成長の機会に変えられるか

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第4節
2026年1月17日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

昨シーズンのディビジョン2でのタックル成功数ではトップだった。豊田自動織機シャトルズ愛知の鄭兆毅 共同キャプテン

台湾出身の鄭兆毅には、乗り越えるべきポジティブな壁がいくつも立ちはだかっている。

ルーキーイヤーだった昨季はD1/D2入替戦を含め14試合に出場。その働きや練習場での姿勢などを見込まれ、今季から中野豪とともに共同キャプテンに就任した。今季は“キャプテン1年生”として、新たな気持ちでシーズンを送っている。

共同キャプテンの打診があったときは驚いたと言うが、「1年を掛けて、自分なりにキャプテンとしての姿を見つけられたら」と現在はその役割に懸命に取り組んでいる。徳野洋一ヘッドコーチは「中野を含め二人とも、これまでは背中で見せてきたタイプ。そんな彼らが言葉としてチームに発することで、より仲間からリスペクトされる選手になっていくと思います」とこれからの成長に期待を寄せる。

もちろん、意識しているのはキャプテンとしての立ち振る舞いだけではない。一人のプレーヤーとしても、さらなるレベルアップを目論んでいる。昨季はディビジョン2タックル成功数がダントツ1位。今季は、アタック時のラックに参加した数でD2の1位を記録している。派手さはないが、「常にそこにいる」のが鄭のプレースタイルの特長だ。ただ、本人は自身のパフォーマンスに完全に納得しているわけではない。

「数字上では目立っているかもしれないけど、タックルやブレイクダウンでもっと相手をドミネート(支配)していかないといけないと思います。ただ参加するだけではなくて、その中身を成長させていきたいです」

自身のプレーぶりについては「60点~70点くらい」。キャプテンとしての自己評価は「60点以下。合格点は出せていません」と語る26歳にとって、今節は一つの試練となる試合だ。フォワード陣のリーダー役を務めるタレニ・セウが前節レッドカードの提示を受けて出場停止に。「試合中に頼っている部分が多かった」と鄭が話すほど信頼を置いていた存在の離脱は痛いが、自身の成長の機会だと前を向いている。

「今週は、チームがうまくいかないときに自分がどんな言葉を掛けるかイメージしています。必要以上にチームが落ち込むことがないように、自分がテンションを上げていきます」

キャプテンとしても、プレーヤーとしても、鄭はこの一戦を価値あるものにする。

(齋藤弦)

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