2026.04.22[九州KV]最初じゃなくても、伝えるべき相手。言葉より深い、同い年の絆

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第12節
2026年4月24日(金)19:00 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

九州電力キューデンヴォルテクスの中靍憲章選手

「引退は寂しいです」

9日に発表された高井迪郎の引退について話が及ぶと中靍憲章は少し声のトーンを落とした。

「彼もけがとの戦いですごくキツい時期もあったと思います。彼とは同い年で、戦う姿というのはずっと私も見ていましたので自分も頑張らないといけないと刺激にはなっていました。自分がキャプテンで彼がバイスキャプテンの時期もあったんですが、そうやって一緒に戦ってきた仲間が引退するのは寂しい」

中靍によれば、「引退の報告は最初に聞きました。『まずはお前に伝えようと思って』と言われました」とのことだった。同い年で長きにわたってともにプレーしてきた戦友同士。その厚い信頼関係がうかがえるエピソードだったが、少しだけ“補正”がある。

「実は最初じゃないんですよね(笑)」

そう笑いながら明かしたのは高井だ。実は中靍に報告する前日にキャプテンの古城隼人、バイスキャプテンであるウォーカー アレックス拓也には報告していたという。「絶対に『最初』とは言っていない。でも、ほぼ同時ではあるかな」と笑う高井だったが、同い年の中靍への思いはほかの選手とは違うものをもっている。

「プライベートでも仲がいいし、職場も同じ。彼がキャプテンをしているときに僕がバイスキャプテンをしたことも、共同でしたけど僕が一番年上でキャプテンをしているときに彼がサポートしてくれたこともありました。ほぼ同時という意味で(笑)、“最初”に報告したことに理由はないんですけど、やっぱりコイツには言っておかないといけないと思ったんでしょうね」

信頼し合える同い年の高井はその歩みを止める決断をしたが、中靍にはその気配は微塵も感じられない。

「年齢のことは意識していませんが、『若い選手たちには負けない』というところは少し意識しているかもしれないです。ラグビーがうまくなりたいという気持ちはいまも変わらないですし、もしかしたら昔よりも増しているかもしれない。会社として収支が厳しい時期も経験したので、すごく恵まれているいまの環境に感謝しながらラグビーができています」

高井は引退の報告をした際、そこにある思いを込めていたという。

「あのときはノリ(中靍)も試合に出られていなかったので、『一緒に試合に出ような』という思いはあったかもしれない」

試合に出られない時期を経て、中靍はいま、試合に出続けている。

「自分は過去を振り返らないタイプですし、『いまが一番』だと思って練習に取り組んでいますが、その結果として試合に出られているのはうれしい」

選手という立場で二人が『いま』を共有できる時間はあとわずか。中靍はグラウンド上でそのときを待っている。

(杉山文宣)

2026.04.22[S愛知]“クラブキャプテン”が、再びグラウンドへ。積み重ねたすべてを、その背に

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第12節
2026年4月24日(金)19:00 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

豊田自動織機シャトルズ愛知のジェームズ・ガスケル クラブキャプテン

みんなが待っていた、私たちの“キャプテン”がグラウンドに帰ってきた。

加入4シーズン目を迎えたジェームズ・ガスケルは、今季からクラブキャプテンという新たな役職に就いた。言わば豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)というクラブのアイコンのような存在であり、絶対的な支柱。頼れる男が今季初めて出場する。

開幕直前にけがを負い、さらにそのけがから復帰間近での再離脱を経験した。それでも「これもラグビーの一部だと思います」と焦りはなかった。来月に36歳を迎えるが、「ロッカーに戻って自分の体を見ると、若いときとは違うなと感じることもありますが、常に成長できるところはあると思っています」と成長意欲は衰えない。

戦列から離れている間、今季初めて共同キャプテンを務める中野豪と鄭兆毅がチームを引っ張ってきた。その働きぶりについてガスケルは「二人は自身のパフォーマンスでリーダーとしての立場を証明していると思います。素晴らしい働きをしています」と称賛する。自身も20歳のときにイングランド・プレミアシップのセールで史上最年少キャプテンを務めた。キャプテンとは何か、チームのリーダーとは何かを知り尽くしている。

「生まれながらのリーダーは存在しないと思っています。私も日々学びながら過ごしていましたし、周りに素晴らしい人たちがいたおかげだったので、とてもラッキーでした」

そしていまでは、自身がお手本として経験を若い選手に伝える番だ。「そうなっていると誇らしいですね。自分が経験したことを受け渡していくことが自分にできることだと思います」。チーム内の誰もが彼を慕い、その背中を追っている。ガスケルもチームメート全員に気を配り、グラウンド内外で存在感を放ち続ける。その貢献度は計り知れない。

ディビジョン2のリーグ戦も残り3試合。「自分たちの理想をかなえるためにも、この3週間はすごく大事です」。D2連覇と、その先にあるD1昇格のため、ガスケル自身も競争に身を置く。「この機会をとにかく楽しみたいです」。待ち望んだ大将の帰還を契機に、S愛知はさらなる進化を遂げる。

(齋藤弦)

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