2026.05.02[釜石SW]二人との出会いがもたらした変化。迷いは消え、視線はまっすぐに定まった

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第13節
2026年5月3日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
日野レッドドルフィンズ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

「自分の役割を全うすればいい。そこに集中できるようになったのは大きかったです」と語る日本製鉄釜石シーウェイブスの畠澤諭選手

プロとして試合に出る。そして、結果を残す。

2024年、日本製鉄釜石シーウェイブスに加わった当初の畠澤諭は、それだけを追い掛けていた。

新しい土地で、初めてプロとして過ごすシーズン。気持ちの強さが、かえって自分自身を追い込んでいた。

「最初は自分に自信がなくて、とにかく試合に出ることばかり考えていました。焦りも不安もありましたし、何かあっても自分で何とかしようとしていました」

余裕はなかった。周囲に頼ることもできない。プレータイムばかりに意識が向き、矢印を自分に向け切れない。悪循環が続いた。

その流れに変化をもたらしたのが、今季から指揮を執るトウタイ・ケフ ヘッドコーチの存在だった。

合宿やバーベキューなど、グラウンドを離れた時間も共有しながら、少しずつ周囲との距離が縮まっていく。その中で、畠澤の中にあった迷いも変わり始めた。

「何を求められているのかがはっきり見えるようになりました。自分の役割を全うすればいい。そこに集中できるようになったのは大きかったです」

清水塁アナリストとの対話も彼を支えた。映像を見返し、数字をもとにプレーを整理する。時には個別に映像クリップが送られ、良かった場面と改善点を丁寧に確認していった。

「清水さんからの『自分の役割を全うすれば何も問題ない』という言葉はすごく大きかったです」

二人とのやり取りを重ねる中で、畠澤がフォーカスするべきものは、次第にクリアになっていった。

これにより、もともともっていた強みが安定して表れ始める。相手の前進を止める低く鋭いタックル、接点での粘り強さに大柄の選手にも引けを取らないフィジカル。畠澤は第12節終了時点でディビジョン2のタックル成功数で2位タイを記録。数字が、その進化を何より雄弁に物語っている。

しかし、畠澤自身は、その変化を単純な成長とは捉えていない。

「急激に何かが成長したわけではないと思います」

やるべきことが定まったことで、自分の力をどこに注ぐべきかが、はっきりとした。あれもこれも背負おうとしていたころには分散していたエネルギーが、一つの役割へとまっすぐ向かうようになった。タスクが整理されたことで、ポテンシャルを発揮する術の習得につながったというニュアンスが正しい。

メンタルが変われば、プレーは変わる。そして、プレーが変われば、存在感も変わる。釜石で過ごした時間の中で、畠澤はいま、自分の力をまっすぐに表現できる場所にたどり着きつつある。

今節もまた、その一つひとつのタックルが、チームに流れを引き寄せていく。

(髙橋拓磨)

2026.05.02[日野RD]偉大な前任者の背中を追い掛けて。若きロックは真摯にラグビーと向き合う

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第13節
2026年5月3日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
日野レッドドルフィンズ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日野レッドドルフィンズ(D2)

日野レッドドルフィンズの矢野裕二郎選手。「自分のいま持っているスキルと試合中の判断力」「その精度を上げていくことでチームに貢献していきたい」

自らを犠牲にしてでも徹底的にチームのためにプレーする。そんな献身的な姿勢が矢野裕二郎の真骨頂だ。

「ちょっと地味かもしれませんが、仲間のサポートをするプレーや相手にディフェンスラインを突破されないように体を張ってぶつかっていくところにロックというポジションの醍醐味を感じています。その部分は絶対に手を抜くことなく、誰よりもハードワークしていきます」

今季は第3節の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)戦での途中出場からキャップを積み上げると、そのプレーぶりが評価され、スタメン出場の機会をつかんでいる。昨季まで2だったキャップ数は今節の日本製鉄釜石シーウェイブス戦に出場すれば11まで達する。

「昨季は肉離れをしてしまう回数が多くて、本当にけがに苦しめられたのですが、今季はその回数が大幅に減って良いコンディションで臨めています」

192cmの長身が持ち上げられ、ラインアウトのボールを奪い合う空中戦はより彼の魅力が発揮されるシーンだ。

「試合経験が増えるごとに、相手選手の立ち位置をしっかり確認できるようになるなど、状況判断の速さとその質の部分は成長できていると自分でも感じています。ラインアウトでのジャンプやリフトはプレーの引き出しが増えています」

昨季まで長年にわたり日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)ではローリー・アーノルド(現・NECグリーンロケッツ東葛)がロックのポジションで不動の存在だった。いま、24歳の若き後継者は日野RDの土台を支える選手に成長するべく、日々ラグビーと真摯に向き合っている。

「ローリー(・アーノルド)は今季対戦したときに、やはりどのチームのロックと比べても一番の選手だなと感じました。高さもあるし、経験も豊富。そんな選手に追い付くのは難しいのは確かです。でも、自分のいま持っているスキルと試合中の判断力、その二つをしっかり組み合わせて自分なりのロックとしての理想のプレーを追い求めていきたいと思っています。その精度を上げていくことでチームに貢献していきたい」

日野RDではドライバーとナビゲーターという呼び方で主力メンバーとサポートメンバーに分かれて練習でぶつかっている。サポートメンバーの経験が長かったぶん、彼らの思いは矢野も感じている。

「試合に出られない選手もすごくいい準備をしてくれていて、本当にチーム全員で戦っています。日野RDは選手同士の仲が良くてつながりのあるチームだと思うので、みんなのためにも勝ちたいと思います」

仲間の思いを大きな背中で受け止め、持ち前の献身的なプレーで待望の今季初勝利を引き寄せる。

(関谷智紀)

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