2026.05.08[九州KV]楽しむだけでは、終われない。勝負に生き続けた、“ザ・キャプテン”の最終章

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第14節
2026年5月9日(土)13:00 KUROKIRI STADIUM (宮崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日野レッドドルフィンズ

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

九州電力キューデンヴォルテクスの高井迪郎選手、最後の公式戦に臨む(右から2人目)

「ラグビー、めっちゃ楽しいですよ」

今季限りでの現役引退をすでに発表している高井迪郎だが、ラグビーに対する情熱は一切、衰えていない。しかし、その「ラグビーが楽しい」という思いが引退を決断する理由にもなった。

「ラグビーを楽しみ過ぎていることが大きかったです。みんなにも伝えたんですけど、(試合に出られない)悔しい気持ちよりもラグビーをしている時間が楽しいという思いのほうが強くなっていました。試合に勝つ、負けるというギリギリの真剣勝負を楽しめるんじゃなくてラグビーをやっていることを楽しんでいる自分がいたので、自分で区切りを決めてやり切ろうと思いました」

前節は引退を発表後、初めて公式戦のグラウンドに立った。高井にとって実に1年ぶりの公式戦出場だったが、やはり真剣勝負の舞台は格別だった。

「試合に出られるうれしさがあったからなのか、ある程度、力を発揮できたからなのか。理由は分からないんですが、めちゃくちゃ悔しかったです。僕がここで全然、悔しくなかったら試合に出られていないメンバーに失礼だし、これがアスリートとしての当たり前の気持ちなのかなと受け止めました」

高井は当初、昨季限りでの引退を考えていたという。その時点で家族には伝えていたが、反応は「すごく寂しがっていた」というものだったそうだ。それでも、最終的には今季も現役続行を決断する。妻からは「あなたが決めたことに何も言いません。好きにしていいよ」という言葉をもらった。5歳の長男は引退を報告すると「けがは手術すれば治るでしょ」と言って笑わせた。もうすぐ3歳になる次男は最近、プレーを見るようになって真似をしてくるそうだ。家族の存在は高井にとって大きな支えとなっていた。

高井にとってそんな特別なシーズンはいよいよ最終章を迎える。チームメートから『ザ・キャプテン』と評される男は最後の試合で何を伝えたいのか。

「ブラザーフッドかな。みんなには伝えたんですけど、ブラザーフッド、マインドセット、コントリビュート、エンジョイというのは僕がキャプテンをしているときに掲げたものですが、それがいま、このチームの文化の一つになっているのはうれしいことです。だからこそ、それを最後まで体現する選手でありたいし、それを体現してくれる若い選手が出てきてくれればうれしいです」

結果はあとから付いてくるもの。だからこそ、常に自分の役割を全うすることだけを考えてプレーし続けてきた。

「言えと言われれば、『絶対に勝ちたい』と言いますよ(笑)。でも、やっぱり『いつもどおり』です。自分がトライしたいとかそういった気持ちはまったくなくて、チームに期待される仕事をやり切りたい」

高井が見せる最後の雄姿。そこにはこのチームのカルチャーが凝縮されているはずだ。

(杉山文宣)

2026.05.08[日野RD]急きょの抜擢、動じぬ覚悟。快挙を達成した、走り続けるプロップ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第14節
2026年5月9日(土)13:00 KUROKIRI STADIUM (宮崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズ(D2)

前節はリーグワン初出場に加えてプレーヤー・オブ・ザ・マッチ受賞の活躍、日野レッドドルフィンズの甲斐匠馬選手

出番はいきなり訪れた。そしてそのチャンスをルーキー・甲斐匠馬は見事につかみ取った。

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)にとって今季最後のホストゲームとなった前節の日本製鉄釜石シーウェイブス戦。その前半11分。プロップで先発した船木頌介が脳振盪のチェックのための一時退場となり、今年2月にアーリーエントリーで立命館大学からチームに加わった甲斐が、一時交替でグラウンドに立った。本人もまったく予期できぬ状況だったが、慌ただしい状況にあっても、甲斐自身は落ち着いていた。

「もともとリザーブメンバーに入ったのも、ティマ(・ファインガヌク)のけががあり、急きょのことでした。驚きと緊張した気持ちが交錯していたのですが、もう『自分の仕事をやるだけだ』と心を整理して試合に入ったので、全然大丈夫でした」

プロップのポジションに入ると、スクラムやラインアウトといったセットピースでの重要な役割を着実に遂行し、チームに流れをもたらす立役者に。その一連のプレーが認められ、甲斐はリーグワン初キャップの試合でありながらプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれるという快挙を達成した。

「『プレーヤー・オブ・ザ・マッチは僕で良かったのかな?』と。(自身のプレー内容に)満足は全然していないのですが、スクラムとディフェンスという、いま自分にできることはできたのかなと思います」

チームを初勝利に導く活躍を見せた直後、甲斐は謙虚かつ厳しく自身のプレーを見つめ直した。その姿勢は、まさにプロフェッショナルのマインドそのものだ。

甲斐は前節に引き続き、最終節の九州電力キューデンヴォルテクス戦でもリザーブメンバーに選ばれた。

「プロップとして、特にスクラムで支えることが一番の役割。スクラムでは自分の組みたいことをする。相手に合わせないことを意識して臨みたい」という甲斐にはもう一つ、常に心がけていることがある。

「グラウンドでは『とにかく走る』。プロップなので、走力面のマイナス1をゼロにするのは当たり前で、いかにそのゼロを1に近づけるか。とにかく走ることで、グラウンドでは常に良い位置にいるようにしています」

けが人続出で苦しんでいる日野RDだが、彼ら若手が続々と名乗りを上げている。

甲斐は言う。「コーチ陣からもスクラムの重要性を常に言われているので、試合に出たら自分の強みを出し切ってスクラムで圧倒したい」。ルーキーらしからぬ落ち着きを携え、2試合連続での活躍を誓った。

(関谷智紀)

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