2025.12.13[LR福岡]土の上から挑む。豊田将万ヘッドコーチの覚悟

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第1節
2025年12月14日(日)12:00 アースケア敷島サッカー・ラグビー場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs ルリーロ福岡

ルリーロ福岡(D3)

ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ。「このクラブが好きなんです。成長したいと本気で思う選手ばかりだから」

ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン3に参戦して2年目。ルリーロ福岡(以下、LR福岡)は今季も60名を超える選手が所属するリーグ一番の大所帯としてシーズンに挑む。ただ、その多くは日中フルタイムで働き、練習は日が落ちた19時から土のグラウンドから始まる。豪華な設備も潤沢なスタッフもいない。地域密着のクラブとして“あるもの”で戦い続ける。その最前線に立つのが豊田将万ヘッドコーチだ。

豊田ヘッドコーチはかつてコカ・コーラレッドスパークスや宗像サニックスブルースでプレーし、日本代表で9キャップを獲得した経験を持つ。華やかな舞台を知る男が、あえて環境の厳しいクラブを率いる理由は何か。「一瞬一瞬のプレーで相手を支配する。そのために最大限の準備をする」。今季のスローガン『Own the Moment』に込めた言葉は、選手だけでなく、自らの姿勢そのものでもある。

開幕前最後の、同じ福岡を本拠地とする九州電力キューデンヴォルテクスとのトレーニングマッチは、最終テストだった。ほぼ本番を想定したメンバーで挑み、意図した形と課題の両方を確認できたという。特にこだわってきたのはセットピースだ。昨季はスクラムとラインアウトで常に劣勢を強いられた。だからこそ今季は、その部分に向き合った。「強い相手に対しても、準備してきたものが出せるようになってきた」と語る。

その手ごたえを証明したのが、キックを起点に敵陣で仕掛けたトライだ。今季のLR福岡は『敵陣でラグビーをする』ことを明確な戦い方として掲げる。キックはそのための重要な武器となる。また、プレシーズンで11試合を戦えたことは大きい。昨季はわずか2試合。若手やプレータイムの少ない選手がゲームで成長し、チーム全体の底上げにつながった。「18〜20人で戦えるチームにする」。豊田ヘッドコーチの理想が、少しずつ形になりつつある。

厳しい環境でも前を向き続けられる理由を問うと、豊田ヘッドコーチは迷わず答える。

「このクラブが好きなんです。成長したいと本気で思う選手ばかりだから」。その象徴がキャプテンの三股久典だ。誰よりもハングリーに、誰よりも成長を求める姿勢が、豊田ヘッドコーチの心を動かし、再びキャプテンを託す決断に至った。

土のグラウンドで汗を流す夜。照明が落ちるころ、豊田ヘッドコーチは選手の背中を見送る。「ここから上に行くんだ」。その信念こそが、LR福岡の原動力である。

開幕戦、勝負のポイントは明確だ。鍛え抜いたセットピースで互角に持ち込み、接戦を勝ち切ること。

今季もまた、土の上からの挑戦が始まる。

(柚野真也)

2025.12.13[L戸田]「予想をぶち壊して、かき乱す」。静かに燃える新共同キャプテン

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第1節
2025年12月14日(日)12:00 アースケア敷島サッカー・ラグビー場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs ルリーロ福岡

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

ヤクルトレビンズ戸田の土井將聖 共同キャプテン。「今季はウイングでの出場が増えそうなので、トライを量産したい」

12月14日、ヤクルトレビンズ戸田が2025-26シーズンの開幕を迎える。

相手は因縁のルリーロ福岡。昨季最終節、勝点1でも取れば4位だった大一番で大敗し、5位に沈んだ。あの屈辱を、土井將聖はいまも忘れていない。

今季、土井は臼田湧人とともに共同キャプテンに任命された。

「正直、すぐには返事できなかった。でも、やると決めたからには覚悟を持ってやるしかない」

ゲームキャプテンを務めるときは好き勝手やっていれば良かった。

「いまは違う。練習のときも、ミーティングのときも、常にチームのことを考えなきゃいけない。責任は全然重いですよ」

それでも土井は「意外と素の自分でやっています」と笑う。

河野崇史ヘッドコーチが求めるものはシンプルだ。

「仕事もラグビーも全力でやる姿を先頭で見せてほしい」

その言葉を胸に、土井はグラウンドに立っている。負けているときこそ、土井は声を張る。

「返事がなくても、一人で言い続ける。雰囲気は俺が変える。それがキャプテンの仕事だと思っています」

プレシーズンはなかなか勝てなかったが、土井は言った。

「9月から積み上げてきたことは間違ってない。同じ絵を見ながら速いテンポで攻められれば、絶対にスコアになる手ごたえがある」

リーグワン1年目の昨季はどんな世界か誰も分からなかった。だが、1年間戦い抜いたことで、チームは確実に変わった。

「コンタクトの強度、プレーのテンポ、ぶつかった感触……全部が別物です。昨季のプレシーズンとは比べ物にならない。上のチームともやれる感覚がある」

昨季の致命傷だったペナルティの多さも、今季の最大の修正ポイントだ。「同じ絵を見る」「ディシプリンを徹底する」──この二つをチーム全員が口を酸っぱくして言い続けている。

個人としても、昨季のD3でゲインメーター3位という数字には満足していない。

「キックカウンターで稼ぐだけじゃ物足りない。(トライを)取り切れる選手になりたい。今季はウイングでの出場が増えそうなので、トライを量産したい」

そして運命の開幕戦。自ずと気持ちが高まっている。

「あの試合の悔しさは忘れていない。開幕でまたルリーロと当たるのは運命的です。必ずリベンジする。チャレンジャーの気持ちでぶつかります」

世間は「レビンズは今季も中位だろう」と見ている。土井はニヤリと笑った。

「みんな『無理だろう』って思ってるでしょ? いい意味で裏切ってやりたい。予想をぶち壊して、かき乱して、『レビンズ、今年ヤバいな』って言わせたい」

チャレンジャー、レビンズの共同キャプテンが静かに燃えている。

(鈴木康浩)

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