2026.02.20[中国RR]初先発に臨む泰然自若の23歳。巡ってきた機会を、揺るぎない一歩へ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第7節
2026年2月22日(日)12:00 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズの平野叶苑(ひらのかえん)選手。「やっぱり勝ちたいので、勝つために必要なこと、自分にできることをただやるだけ」

23歳の平野叶苑が中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に加入後、初めてスタメンの座をつかんだ。「23人でチームの代表としてジャージーを着ているので、16番でも2番でも気持ちに大差はないです」。175cm、100kgのどっしりとしたフッカーはいたって冷静だった。

その冷静さの要因は「あまり考え過ぎないこと」。平野が大事に貫くスタイルだ。

「もともと緊張しやすいし、気負い過ぎるところが学生のときに多かったので、切り替えるように意識しています。気負い過ぎると空回りするので、そこはあまり考え過ぎず、自分のできる範疇で最大限いいプレーをしようと心がけています」

2月8日に開催予定だった前節のルリーロ福岡戦で、目標の一つと言っていた初スタメンのチャンスが巡ってきた。

「まずは純粋にうれしいです。でも、今回選ばれたのは、まだお試し要素が強いと思うし、まだ定着したわけじゃないので、いいプレーをして、2番を継続できるようにしていきたいです」

大卒ルーキーはそう意気込んでいたが、試合は雪の影響で急きょ開催中止。それでも、「試合をしたかった気持ちは正直ありますけど、運営の方が考えての判断なので仕方ないことだと思います。逆に1週間長く準備する時間ができたと思ったら結果的に良かったんじゃないですかね」とやはり冷静だった。

バイウィークを挟んで2週間後に迎えた今節のヤクルトレビンズ戸田戦でも引き続きスタメン入り。待望の今季初勝利が懸かった大事な一戦だ。

「やっぱり勝ちたいので、勝つために必要なこと、自分にできることをただやるだけだと思います。セットピースでもディフェンスでもアタックでも、僕が入ったことでいい影響を与えられるように頑張ります」

2週間越しに、2番として最初の一歩を踏み出す平野だが、「あまり気負い過ぎても空回りするので、気楽に頑張ります」とそのスタイルは変わらない。泰然自若のルーキーは地に足をつけて踏ん張るだけだ。

(湊昂大)

2026.02.20[L戸田]「耐えて、勝つ」を体現。エリート街道とは無縁の歩みこそが、いまの武器

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第7節
2026年2月22日(日)12:00 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs 中国電力レッドレグリオンズ

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

ヤクルトレビンズ戸田の大嶌一平選手。「エリート街道なんて一度も歩んでいない。それが、僕の強みだと思っています」

絶対に負けたくない──その一心が、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)のスクラムハーフ、大嶌一平をここまで導いてきた。

生まれはラグビーの聖地・花園。物心ついたころからボールに夢中になり、大阪の名門・常翔学園高等学校へ進んだが、思うように試合に出られず、心はすり減っていった。「もう辞めようか」。そんな思いが何度も頭をよぎった。

兄の背中を追い、東海学生リーグの名城大学へ。1年生から試合に出続ける中で、ようやく「ラグビーを楽しむ」気持ちを取り戻した。

同時に、再び胸の奥で熱く燃え始めた。「もっと上を目指したい」という渇望だった。だが、東海学生リーグではスカウトの影すら見えない。

最後の望みを懸け、大学4年次に単身ニュージーランドへ。練習生の立場で名門チームに飛び込んだ。そこで偶然、声を掛けられた。

「このあと少し話をしないか?」

研修で来ていた三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)の関係者だった。それでも加入は決して簡単ではなかった。

周囲が次々と進路を決め、卒業が目前に迫る中、ようやく最後の最後に内定が届いた。しかし試合出場の壁は厚く、相模原DB、続いて所属したクボタスピアーズ船橋・東京ベイではほとんどグラウンドに立てなかった。

L戸田への加入も、文字どおりギリギリのタイミング。すでに家庭をもち、責任を背負う身。夏を期限に「これで引退」と腹をくくっていた矢先、話がまとまった。まるで「まだ終わらせないよ」と、誰かに背中を押されたかのように。

L戸田で迎えた2シーズン目、大嶌は不動のスタメンとしてチームをけん引している。

「全部、運ですよ」

そう笑ったあと、真剣な表情で続けた。

「たとえ実力がなくても準備を続けたから道が開けたと思っています。高校で試合に出られない苦しさを知り、大学で出場できる喜びを知った。だからいま、試合に出ている自分が、ベンチやスタンドの選手たちの気持ちを痛いほど理解できる。エリート街道なんて一度も歩んでいない。それが、僕の強みだと思っています」

D1の2チームで味わった悔しさは、決して無駄ではなかった。ハイレベルな環境で磨いた技術と視点は、いま、L戸田で花開いている。

「いまは実戦の場をもらえているし、若手が質問に来てくれる。これまでの経験を伝えること、残していくこと──それがここにいる意味であり、責任だと思っています」

L戸田のDNAは「耐えて、勝つ」。まさに大嶌の歩んできた道そのものだ。

絶対にあきらめない。必ず這い上がる。その味を誰よりも知る男が、L戸田の9番を背負っている。

(鈴木康浩)

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