2026.04.03[L戸田]ただ、ラグビーが好きだから。仲間たちがくれた居場所

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第11節
2026年4月5日(日)13:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

ヤクルトレビンズ戸田の大石力也選手。前節のクリタウォーターガッシュ昭島戦では後半に1トライ、チームの逆転勝利に貢献した

数年前、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)を退団せざるを得なくなったとき、大石力也は大きく逡巡した。ラグビーを続けたい気持ちは強く残っていたが、次のチームが見つからない。引退という二文字が何度も頭をよぎった。

そんな折、自身の結婚式に駆け付けてくれた堀川太一がキラキラした瞳で笑いながら言った。

「だったら、レビンズで一緒にやろうよ」

堀川は、小学生のころにラグビーに誘ってくれた恩人だ。中学を卒業するころには、鈴木秀明(その後コカ・コーラレッドスパークスでプレー)らと「岡谷工業で一緒に花園を目指そうぜ」と意気投合した、青春の仲間でもある。数年ぶりの再会で、大石の胸の奥に、懐かしいエネルギーが湧き上がった。GR東葛でのラストシーズンはけが明けで思うようにプレーできず、大きな悔いを抱えたままだっただけに、この誘いは心に響いた。

「最初は、太一がいるし、もう一度一緒にラグビーが楽しめる、くらいに思っていたんです」

大石は柔らかい笑みを浮かべてそう振り返る。

7人制日本代表にも選ばれた経験を持ち、リーグワンでのプレー実績もある大石は、家族のいる平塚から練習場のある戸田まで2時間弱の道程を毎日通い始めた。練習は夜の河川敷。何もかもが異なる環境だったが、そこには「ラグビーが好きだから」というシンプルな情熱で懸命に取り組む仲間たちの姿があった。3年前、秩父宮ラグビー場での決戦で優勝をつかみ、リーグワン参入を決めた瞬間。仲間たちと抱き合ったあの感触は大石にとって一生の宝物だ。

自分をヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)に誘ってくれた堀川が昨季限りで引退すると聞いたときは、寂しさもよぎった。それでも、堀川より1日でも長くラグビーを続けること、一度は終わりかけていた自分を受け入れてくれたこのチームのためにプレーすること──それが、最大の恩返しになると心に決めている。

L戸田に来て、大石はあらためて「ラグビーを楽しむこと」の大切さを噛みしめている。

「いまのL戸田は苦しい試合も多いし、やっぱり勝たないと本当の楽しさは味わえない。だから厳しさも必要だけど、だからと言って細かいミスを責めるより『次、行こうよ』とできるだけ前向きな声を掛けて、ポジティブな空気を作っていきたいです」

1分1秒、ラグビーを心から楽しむ。だから勇気を与えられる──。大石力也はその思いを胸に、L戸田を前へ、前へと押し進めていく。

(鈴木康浩)

2026.04.03[狭山RG]聖地への思いを力に。夢の舞台でぶつける100%

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第11節
2026年4月5日(日)13:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

狭山セコムラガッツ(D3)

狭山セコムラガッツの奥野翔太選手は兵庫県出身。試合会場は花園なので「応援に来てくれるみんなの前で、いいプレーがしたい」

今季最後の“埼玉ダービー”を迎える狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)。この試合で勝ち点5を奪えば、2位以上が確定する重要な一戦となる。その舞台は、“ラグビーの聖地”、東大阪市花園ラグビー場だ。

ここまで10試合すべてに出場し、9試合で先発に名を連ねている奥野翔太も、その一人だ。名門・常翔学園高等学校出身の奥野は、高校時代に花園を経験している。しかし、「花園での試合は2回くらい。3年のときはけがで出られなかったので、花園で試合があることが分かってからは、そこでプレーすることを一つの目標として捉えてきました」と語る。

チーム内競争が激化する中、今季はフッカーとして先発を託されている。「昨季に比べてスタメンの数は増えていますが、気持ち的な変化はありません。とにかく目の前の試合に向けて状態を整え、本番でいいプレーをすることだけを考えています」

そんな奥野は、2024年に女子7人制ラグビー日本代表『サクラセブンズ』で東京、パリと二度の五輪を経験した原わか花さんと結婚。自宅では試合映像を見ながら、意見をもらうこともあるという。「僕が傷つかない程度に、柔らかい口調でいろいろな指摘をしてくれるので、とても助かっています」。そのわか花さんは、2025シーズンをもって現役を引退した。「すごい功績を残した人物ですから、今後は僕が、その後を引き継げるような存在になりたいです」。

引退後は会社員として働くことから、靴をプレゼントしたという奥野。「今後は二人でサポートし合いながら、頑張りたい」と語る。兵庫県出身ということもあり、花園には両親や知人が多く観戦に訪れる予定だ。

「応援に来てくれるみんなの前で、いいプレーがしたいという気持ちが強い。D2/D3入替戦も見えてきた状況ですが、まずは目の前の一戦に100%の力をぶつけるだけです」

今季、セットピースの要としてチームをけん引する奥野。夢の舞台で入替戦を決める立役者となれるか、注目したい。

(松野友克)

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