2026.05.09[中国RR]「いまを楽しむ」。それがエドワード・カークの生きる道

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第15節
2026年5月10日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

退団が決まっている中国電力レッドレグリオンズのエドワード・カーク選手。「『終わってしまうことを悲しむのではなく、これまであったことを喜ぼう』。それが僕のモットーだ」

「一瞬一瞬を心から楽しむこと」。エドワード・カークが大事にしていることだ。

今季限りで中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)を退団することが決まった。先月の退団発表後、大きな反響があったというオーストラリア出身の34歳は、残りの試合に向けて熱を込めていた。

「最後までみんなとのプレーを楽しみたいし、もし今後プレーを続けられないことになったら、これがキャリア最後(の試合)になるから、自分らしくアグレッシブにプレーしてラグビーを楽しみたい」

どんなときも楽しむ姿勢を忘れなかった。なぜなら「いつ終わりがくるか分からないから」と言う。いまも現役を続ける意欲は高いが、同時にキャリアの終わりが近いことも自覚している。

「ラグビーは本当に独特でいつも仲間と一緒に何かをしている。でも、その生活が終わると、すごく静かになってラグビーとは真逆の人生が始まる。だから、夕食でもコーヒーでも、チーム練習でもウェイトトレーニングでも、何であれいまを楽しむんだ。みんなも知っているとおり、僕は静かなタイプじゃないからね」

過去には膝の大けがで楽しめない時期もあった。復帰まで2年が掛かり、引退の2文字が頭に浮かんだこともある。だからこそ、「どんな小さな瞬間もすべて楽しもうと心掛けてきた」。

「17歳のころはプロ生活が『なんて素晴らしいものだ』と思っていたのに、いまや34歳で終わりが近づいている。本当にあっという間に過ぎ去ってしまう。だから、若い選手たちにはいつも『起き上がるのがつらい日もあるし、体が痛くて練習に行きたくない日もあるだろうけど、すべての瞬間を楽しめ』とアドバイスしているよ」

5月10日、カークは今季最終節のクリタウォーターガッシュ昭島戦で中国RRでのラストゲームに臨む。前節欠場を強いられた耳の負傷も順調に治り、最後のホストゲームでスタメンに復帰した。

「不思議な気持ちだけど、同時にワクワクもしている。いまはトレーニングを楽しみ、仲間と楽しく過ごし、試合で思いっきり楽しむことに集中している。終わってしまうことについては考えないようにして、いま、この瞬間をただ生きたいんだ」

平日には、いつものように仲間と一緒に汗を流し、ジムでふざけて怒鳴り散らし、夕食で冗談を言い合う。週末になれば、いつものようにナンバーエイトのジャージーに袖を通し、アグレッシブに戦い、ラグビーを楽しむ。ラストゲームでもそれは変わらない。初の外国籍選手として5シーズンにわたってチームを支えてきたカークの楽しむ姿は、中国RRの歴史に刻まれている。

「毎日楽しんできたから、もちろんそのときが来たら悲しい。でも、『終わってしまうことを悲しむのではなく、これまであったことを喜ぼう』。それが僕のモットーだ」

(湊昂大)

2026.05.09[WG昭島]「自分たちで考え」続けた1年。最終戦で担うキャプテンの使命

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第15節
2026年5月10日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

必要なのは特別な変化ではないと、クリタウォーターガッシュ昭島の中尾泰星キャプテンは言う。それは──

中国電力レッドレグリオンズとの今季最終戦を前に、2年連続でキャプテンを務めた中尾泰星は「長かった」という一言に今季のすべてを込めた。その短い言葉には、充実感と悔しさ、そして確かな手ごたえが交錯している。

新たに内山将文ヘッドコーチを迎えた今季は、決して平坦な道のりではなかった。しかし同時に、チームにとっては確かな転換点となる1年でもあった。象徴的だったのは、「自分たちで考える」姿勢の芽生えだ。従来のように与えられた役割を遂行するだけではなく、特にフォワードを中心にスクラムの組み方や接点での戦い方について選手同士が議論を重ねた。「こうしていこう」と試行錯誤を繰り返す日々は、チームの土台そのものを確実に変えつつある。

ただし、その変化はすぐに結果へとは結びつかなかった。開幕戦で白星を挙げたあとは6連敗。接戦を取り切れない試合も続いた。中尾自身も「納得できるプレーは多くなかった。運動量やディフェンス面、とりわけタックルやスティールではもっとできたはず」と悔しさをにじませる。今季をとおして浮かび上がった課題は明確だ。ディビジョン3全体のレベルが上がる中で、1対1のコンタクト、スピード、判断といった個の局面での差は確実に広がっている。加えて、敵陣深くまで侵入しながらミスで好機を逸する場面も多かった。

一方で、上位チームに共通するのは戦い方の一貫性だ。状況が変わっても揺るがない判断基準と、それを遂行し切る力。その積み重ねが、細部の差として試合の随所に表れていた。それでも中尾は「どうしようもない差ではない」と言い切る。必要なのは特別な変化ではなく、接点での一歩、タックルの精度、判断の一瞬といった細部の積み重ねであり、それがあれば景色は変えられると彼は信じている。

すべてを懸ける最終戦。今季でチームを去る仲間の思いも背負いながら、「必ず勝って終わる」。その言葉どおり、積み上げてきたものを出し切り、来季へとつなげる。それがキャプテン中尾泰星の使命だ。

(匂坂俊之)

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