2026.06.05[神戸S]3番と18番を巡る二人の男の物語。日本一へ、戦う場所は違えど心はひとつ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025ー26
プレーオフトーナメント決勝
2026年6月7日(日)15:05 MUFGスタジアム(国立競技場) (東京都)
コベルコ神戸スティーラーズ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1)

6月7日の決勝戦では18番で出場予定、コベルコ神戸スティーラーズの具 智元選手(写真左)

具智元と渡邉隆之。1994年生まれの同い年の二人は、同じ右プロップで切磋琢磨を続けてきた。

始まりは高校日本代表。「最初はセレクションのライバルから始まって、イタリア、フランス遠征では同じ部屋になり、すごく仲が良くなっていきました」と具は話す。以来、U20日本代表でも共闘し、別の大学に進んだあとはリーグ戦で対峙。2017年に渡邉が神戸製鋼コベルコスティーラーズ(当時)に加入し、2021年に具もコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の門を叩いた。

以来5年、最も身近で高め合ってきた二人。具はその関係性をこう話す。

「自分が『こんな組み方いいから1回やってみて』と言えば、ナベ(渡邉)から『これ良かったよ』とか。ライバルでありながら、そういうもの(スキル)を隠すんじゃなくて、お互いがシェアし合っています。強い相手がいれば、どんどん強くなってくると思いますから」

デイブ・レニー ディレクター・オブ・ラグビー/ヘッドコーチが就任した2023-24シーズン。その開幕戦では具が3番、渡邉が18番を背負った。渡邉は当時をこう振り返る。

「20歳のときが最後に一緒に出た試合でした。3番と18番で。あいつが神戸Sに来てすぐくらいに僕がひざをけがして…。ようやく復帰してメンバーに入って、ひさびさに試合で一緒に出たんですよ、(2023-24の開幕戦で)9年ぶりに」

当時を感慨深げに思い返した渡邉。プレーオフトーナメント準決勝は具の急きょの欠場を受けて18番で奮闘した。

「いまの神戸Sは日本で一番強いフォワード陣だと思っています。プロップとして、スクラムでチームに貢献できたらと考えていました」

気迫のスクラムで相手の反撃を止め、残したのは決勝進出への確かな足跡。その姿をオフ・ザ・フィールドから見つめた具はこう感じたという。

「ナベが絶対にやってくれるという気持ちがすごくありました。逆に、自分が(決勝のメンバーに)選ばれない可能性もあるとも感じました」

渡邉のパフォーマンスに強烈な刺激を受けた具は、18番を背負う決勝へ気持ちをみなぎらせる。

「自分が出たときにはスクラムでどんどんプレッシャーを掛けていきたい。全部、押す気持ちで入って、安定したボールを出して、フォワードから勝って優勝したいと思います」

決勝ではメンバー外となったが、見守る渡邉の臨戦態勢も整っている。

「(決勝に)つなげたのは一番よかった。アクシデントがないように祈りながら、僕もしっかり準備をしていきたいと思っています」

具と渡邉。戦う場所は違っても、心は同じ。二人は力の限り、優勝へのスクラムを押す。

(小野慶太)

決勝ではメンバー外となったが5月30日の準決勝では18番で勝利に貢献した渡邉隆之選手

2026.06.05[S東京ベイ]キャプテンが示し続けた『GRIT』。頂点を決める舞台でその集大成を見せつける

NTTジャパンラグビー リーグワン2025ー26
プレーオフトーナメント決勝
2026年6月7日(日)15:05 MUFGスタジアム(国立競技場) (東京都)
コベルコ神戸スティーラーズ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)

コベルコ神戸スティーラーズとはリーグ戦で二度対戦している。1節(12月13日)は33-28で勝利、しかし18節(5月10日)は19-24で敗れている。決勝戦は果たして──(写真は5月10日、マキシ ファウルア キャプテン)

台風が過ぎ去り、濡れた街を抜ける風が初夏の匂いを運んでくる。今年も、この季節がやってきた。

勝者と敗者が決まり、歓喜と悔しさが交差する場所。今季のリーグワンの頂点を決める舞台に、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は2年連続で帰ってきた。

ただ、その中心に立つ男がまとう空気は、1年前とは違っていた。キャプテンとして2度目の決勝戦を前に、マキシ ファウルアは穏やかな笑みを浮かべながら、静かに口を開いた。

「去年は初めてキャプテンとして迎えた決勝だったので、緊張もありました。でも今年は、すごく楽しみな気持ちが強いです。あの舞台を経験したからこその自信があります。いまは緊張というよりも、早く試合がしたい」

今季は「プレーでチームを引っ張る」ことを意識してきたという。「まだまだですけど」と前置きしながらも、「接戦の試合でも“自分らしいプレー”ができた」と、その手ごたえを口にした。

ただ、肉体一つで仲間たちを鼓舞するプレーは、無傷では成り立たない。試合中、足を引きずりながらも再び立ち上がり、戦列に戻る姿もたびたび見られた。

「骨が折れていなければ大丈夫です(笑)。痛んでも立ち上がれるなら、まだプレーできる。そういう気持ちは常に持っていました」

まさに『GRIT』。“やり抜く力”、“逆境でも折れない精神力”を意味するその言葉を、S東京ベイは今季のスローガンに掲げてきた。だがマキシにとって、それは掲げるだけのものではなく、自らに言い聞かせるものでもあった。

「大事な試合になればなるほど、プレーでチームを引っ張りたいという気持ちは強くなります。もちろん、常に100%の状態でいたいですけど、シーズンをとおして試合に出続けているので、初戦に比べればいろんなところが傷んでいる。それでも『GRIT』という言葉を、自分自身にもずっと言い聞かせてきました。“絶対できる、大丈夫”と」

MUFGスタジアム(国立競技場)で待ち構えているのは、レギュラーシーズン最終節で敗北を喫したコベルコ神戸スティーラーズ。「結果は負けましたけど、ポジティブな部分もたくさんありました」と彼はその一戦を振り返った。

「最後のところでセットピースにプレッシャーを受けていたので、そこを80分間どれだけ我慢できるか。逆に、自分たちが80分間どれだけプレッシャーを掛け続けられるか。あとは規律です。決勝という舞台では、そこが一番大事になると思います」

「あとは、やるだけです」。ファウルア マキシは穏やかな表情のまま、淀みなくそう言い切った。ここまで積み上げてきたものがある。だからこそ、何が起きてもチーム全員が一つになる。もう一歩前へ出る。最後まであきらめず、仲間を信じ続ける。それこそが、この1年掲げ続けてきた『GRIT』だった。

「最後の試合なので、シーズンをとおして積み上げてきたものをすべて出し切ります。“オールアウト”です」

楽しみながら自分たちのラグビーを貫く。その姿勢がエネルギーとなり、チームの力になることを、マキシはこの1年をとおして実感してきた。そして、そういう試合で、いい結果を残してきたことも。

だから最後に、見せてやろうじゃないか。俺たちの『GRIT』を──。

(藤本かずまさ)

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