2026.05.22[江東BS]巡ってきた大舞台でのチャンス。“本当の信頼”の証明へ

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第1戦
2026年5月23日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs 浦安D-Rocks

清水建設江東ブルーシャークス(D2)

リザーブメンバーに選ばれた清水建設江東ブルーシャークスの河村ノエル選手。出場すれば初キャップとなる

「言葉を選ばずに表現すると、“一発屋”みたいな感じで起用されたのかなって」

帝京大学からアーリーエントリーで加入した河村ノエル。D1/D2入替戦という大一番の1戦目で、ファーストキャップを飾る可能性が高まった。

メンバー発表で名前を呼ばれたときのことを、「まったく想像していなかったです。驚きました」と素直に振り返る一方で、起用を喜び切れない実直な彼らしい思いもある。

「入替戦だから、メンバーに入ったのかなって。自分が一つ秀でているタックルに期待されて選ばれたのかと」

言葉を選ばずに言えば、若手としての勢いや特定のスキルに期待した“一発屋”的な起用なのかもしれない。河村はそう受け止めていた。

「でも、それって“本当の信頼”ではないじゃないですか」

意図はどうあれ、巡ってきたチャンスには全力で応えなければならない。河村は、謙虚にその重みを感じている。

「同じポジションに、松土(治樹)さんとか、銀さん(長谷銀次朗)とか、バックローなら(髙橋)広大さんとか、このチームでずっとグラウンドに立って努力してきたメンバーがいます。その人たちが着ていたジャージーを着るということで、『ちゃんとやらなあかん』という責任も感じています」

先輩たちの背中をとおしてルーキーが見ているのは、ラグビーだけではない。日中は仕事に向き合い、そのあとにグラウンドで体を張る社会人ラガーマンとしての姿だ。フルタイム勤務とラグビーを両立し続ける先輩たちの姿。自身も4月から社会に飛び込み、そのすごみを理解しているからこそ、このジャージーの重みを“責任”として受け取ることができるのだ。

仁木啓裕監督兼チームディレクターは、そんな河村を評価している。「前回の練習試合で非常に良いパフォーマンスを見せ、自らチャンスをつかみ取って今回の起用につなげた選手です」。河村の日々の姿勢から地道に積み上げてきたことや「仕事とラグビーの両立」に向き合う覚悟を感じてきた。D1/D2入替戦という大舞台だからこそ、若手を起用する意味、そして彼らがチームの未来をつかんでいく価値は大きい。

確かな努力でつかんだチャンス。「やらなあかん」ことはシンプルだ。「たぶん、チームがしんどい時間帯に出場することになると思うんですけど、そこで誰よりも動いてタックルする。それだけは絶対にやろうと思っています」。華やかな言葉はない。だが、そんな一言にすらも河村らしさがにじみ出ている。

今後のプレーヤー像も実に彼らしいものだった。「チームのスタッフや、メンバー全員から信頼される人間になる。それが自分のなりたい姿。そこを目指して頑張ります」。そして、それを実現するための方法もわきまえている。「グラウンドで体を張ることと日々のトレーニング。本当に小さなことなんですけど、グラウンドに出てからのウォーミングアップの一つひとつに丁寧に向き合うところからです」。小さなことを繰り返した先にしか本当の信頼がないと知っている。

今回のD1/D2入替戦では、大阪に住む両親も初めて江東区夢の島競技場に訪れるという。これまでの感謝と、これからの自分の姿を示したい。

若きフランカーはいま、“本当の信頼”を証明する舞台へ立とうとしている。

(奥田明日美)

2026.05.21[浦安DR]「どんなときでもひざに手を付かない」。チームに活力を与えるルーキー

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第1戦
2026年5月23日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs 浦安D-Rocks

浦安D-Rocks(D1)

浦安D-Rocksの森山海宇オスティン選手。「疲れているマインドでいるよりも、まだまだイケるマインドでいるほうが、いいプレーができると思っています」

チームに合流してから数カ月、当時と比べて一回りも二回りも大きくなった首や体を少し丸めて座りながら話す森山海宇オスティンからは、22歳の素顔が伝わってくる。笑顔は柔らかく、素振りは優しい。それはどこにでもいる新卒社会人と大きく変わらない。それが、ひとたびグラウンドに立てば、率先してタックルを仕掛け、ディフェンスでチームにモメンタムをもたらす、強力なフランカーに豹変する。

「試合前は緊張するんですけど、いざ、始まってしまえば緊張よりもキツさが勝ってしまって、『もうやるしかない』という気持ちでタックルに行っています」

リーグワンデビュー戦は、一生忘れられない鮮烈なゲームとなった。秩父宮ラグビー場での第17節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で先発した森山はフルタイム出場。劇的な逆転勝利をグラウンド上で味わった。それでも、成長途中の若武者は、笑いながらあの瞬間を振り返る。

「初めてAチームで80分間出た試合だったので、プレー中はキツ過ぎて、勝ったことを喜ぶ余裕がなかったです。(ドロップキックがバーに当たってはね返ってきたことに)驚いたとか、(逆転勝ちできたことが)うれしかったとかよりも、あのときは『キツかった』という思いのほうが大きかったです……(笑)」

それこそが、まさに森山の良さである。どんなに苦しい状況でも、どんなゲーム展開でも、“負の感情”を表に出さず、黙々とタックルを繰り返し、ハードワークを続ける。その姿勢やメンタルについて、チームの要である田村煕も「非常に助かる」と絶賛する。

それを伝え聞いた森山は、「本当ですか? うれしいですね」とはにかみ、グラウンド上でのポリシーを教えてくれた。

「どんなときもひざに手を付かないことは意識しています。下を向いていると疲れているように見えるし、相手にもプレッシャーを与えられないので、なるべく余裕そうな感じを見せるようにしています。本当はぜんぜん余裕じゃないときもありますけどね(笑)。でも、疲れているマインドでいるよりも、まだまだイケるマインドでいるほうが、いいプレーができると思っています」

デビュー以降、2戦2勝と負けを知らない大型ルーキーは、「とても大事な試合です」とD1/D2入替戦に照準を合わせ、自らの仕事を理解している。

「フィジカル面で期待してもらっていると思うので、ディフェンスで士気を上げて、何回もドミネートして、マイボールにしていきたいと思っています」

キックオフの笛が、森山のスイッチが入る合図。誰にも負けないスタミナとワークレートで、フレッシュな7番がボールと勝利を手繰り寄せる。

(須賀大輔)

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