2023.02.20NTTリーグワン2022-23 D1 第8節レポート(S東京ベイ 60-22 相模原DB)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(交流戦) 第8節
2023年2月19日(日) 14:30 江戸川区陸上競技場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 60-22 三菱重工相模原ダイナボアーズ

見つめ直した『Back to basic』。再び、足並みがそろったS東京ベイが大勝を飾る

この試合で記念すべき初トライを挙げた山本剣士選手を祝福するクボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手たち

試合の表情が一気に変わったのは、後半が開始されてすぐのことだった。タウモハパイホネティが根塚洸雅に放ったタックルが危険とみなされ、10分間の退場(シンビン)。ここからクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)の猛攻がスタートする。10分間で28点を獲得し、そのあとも順調にトライとコンバージョンキックを追加。60対22と快勝を収め、ホームスタジアム“えどりく”での連勝記録を13に伸ばした。

前半は得点こそリードしていたものの、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)の時間だった。前半終了時での得点は13対8。もうあと1トライで、追いつかれてしまう。これは決して、S東京ベイにとっては歓迎すべき状況ではなかったはずだ。

思えば、第6節のリコーブラックラムズ東京戦、第7節のトヨタヴェルブリッツ戦では前半は戦いを有利に進めるも、後半に失速。格闘技でいえば“きん差の判定勝ち”のような、どこか息苦しい試合が続いていた。

Back to basic──。バイウィーク(試合が開催されない週)を挟み、ここから6連戦が始まるタイミングで、S東京ベイはいま一度、基本に立ち返ることを自身に課した。この相模原DB戦で先発出場した谷口和洋が試合を振り返る。

「最近は勝ててはいましたが、一人ひとりの役割を果たせずに、する必要がないプレーだったり、必要以上のプレーだったり。仲間を信頼してできるプレーが少し欠けていました。そうではなく、チーム全員でアタックするという意味で、『Back to basic』というテーマを掲げて、今週は取り組んできました。今日は後半になってスコアを積み重ねることができ、前節までの課題が少しはクリアになったと思います」

仲間を信じ、同じ絵を見る。得点にも大きく貢献した南アフリカ出身のニューカマー、リカス・プレトリアスが谷口の言葉を裏付けるように口を開いた。

「今週、自分のテーマとしては、しっかりとモメンタム(勢い)を作ることを意識していました。今日の試合でそのテーマは達成できていたと思いますが、それは周りの仲間たちのサポートがあったからです。こうしたサポートはS東京ベイの文化であり、それが一つのチームとしての強みになっていると思います」

その足並みが、再びそろった。第8節終了時点での順位は単独の2位。次の対戦相手は、昨季4位の東芝ブレイブルーパス東京。過酷なレースは続く。

(藤本かずまさ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)のフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、青木祐樹選手

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「コンニチワ!80分間、力強いパフォーマンスができ、それがいい結果につながったと思います。特に後半は、(相手チームに)イエローカードが出たところからモメンタム(勢い)が出たと思います。その直後もスペースを見つけて、カウンターでいいトライも取れました。選手たちも自分のタスクにフォーカスしてくれたと思います」

──青木祐樹選手についての評価を教えてください。

「私がヘッドコーチに就任した初年度からずっと一緒にやってきた選手です。いまは『センパイ』と呼ばれるようになり、見本を示す選手になりました。また、(前節で)久しぶりに先発に入っても80分間しっかりとパフォーマンスをしてくれる、とても頼りになる選手です。チャンスを与えたらしっかりと仕事をしてくれる選手で、今日のパフォーマンスでもそのことを示してくれたと思います。彼の強みは、基礎的なことをきっちりとやるところです」

──今季は負けなしできています。チームとしてレベルアップした部分はどこだと思いますか。

「ほかのチームも同様だと思いますが、各チームがハードワークしいている中で、選手たちがしっかりとプロセスにフォーカスしてやっているところ。そして、自分の役割をしっかりと遂行してくれるところです。もちろん試合のレビュー、プレビューもしますが、タフな戦いでリラックスできる試合がない中、選手たちがどれだけベストな状態を保てるか。また、選手たちもエンジョイして取り組んでくれているところだと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
青木祐樹選手

「今週から始まる6連戦の1戦目を勝てたことを本当にうれしく思います。先週までの2試合は後半の出来が悪かったのですが、今週は頭から『Back to basic』。基本に戻ることにしっかりとフォーカスしてやってきました。それが今日の試合では80分間しっかりと体現できたので、最後のスコアにつながったと思います。来週からもしっかりと一戦一戦、先を見ずに目の前の一戦に勝てるようにしっかりとフォーカスしてやっていきたいと思います」

──フラン・ルディケ ヘッドコーチの評価を聞いて。

「評価をしてもらえてすごくうれしいですし、チャンスをもらったら自分の仕事をやるだけなので、それが試合につながったらうれしいです。(試合に向けて意識していることは)シンプルなことですが、ブレイクダウンに相手より早く入るとか、ラインアウトでしっかりとハイボールをキープするとか、そういうことができるようにしっかりと準備をしています」

──後半、相手チームの人数が少なくなった時間帯では、「基本に戻る」というテーマをどのように遂行したのでしょう。

「トライをしたあとも、自分たちのやることは変わらないということを常に言い続けました。まず、リスタートからしっかりとレシーブして、スペースがあれば外に振る。スペースがないならしっかりとキックをして、そこからチェイスしてディフェンスすることを常に言い続けていました」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)のグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「前半と後半でまったく異なる試合になりました。前半は自分たちがやりたいことがしっかりとできていたと思います。自分たちのゲームプランどおりに進めることができ、粘りを見せて、いい試合ができたと思います。ですが後半、イエローカードが出て10分間の退場を命じられたときクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)はそこで28点を獲得したと思いますが、そこで私たちは15人必要だったということがあらためて分かりました。相手に簡単にトライを許してしまいました。前半は、自分たちが求めているレベルではないのですが、自分たちがやりたいことができ、そこには満足しています。ですが、後半はまったくダメでした。

S東京ベイはすごく大きく、強いチームなので、自分たちは自分たちのスピードを生かしてボールを動かし、プレーし続けることを大事にしていました。実際に、前半はボールを動かすことでチャンスを作ることはできたと思います。ただ、後半の最初の(14人になった)10分間の中で、28点の得点を許してしまった際に、みんながゲームプランから外れてしまったところがありました。そこが自分たちの敗因になったところです」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「グレン・ディレーニー ヘッドコーチが言ったとおり、前回の(試合での)学びを経て、前半はわれわれのプランをしっかりと遂行することができました。スコアとしてもすごく良い状態で前半を終えることができました。後半に14人になった状態から、われわれが同じ絵を見られなかったので、各々が好きなようにプレーをしてしまった部分がありました。そこは14人になったときにもう一回、自分たちでコネクトして、つながることが大切だと学びました。まだまだ試合が続くので、今日学んだことをしっかりと次に生かしていきたいと思います」

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