2023.03.05NTTリーグワン2022-23 D1 第10節レポート(GR東葛 7-54 BR東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(交流戦) 第10節
2023年3月4日(土)12:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 7-54 リコーブラックラムズ東京

これまでも、これからも。100試合を積み上げた男は変わらずに背中で示し続ける

100試合出場を達成した、NECグリーンロケッツ東葛の細田佳也選手

試合終了後、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の選手たちは、全員が『NEC CAP 100 YOSHIYA HOSODA』とプリントされた白いTシャツを着て、細田佳也のGR東葛での100試合出場を祝った。それだけに是が非でも勝ちたい試合ではあったが、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)に終始劣勢を強いられ、7対54の大敗でメモリアルマッチに花を添えることができなかった。

試合開始早々の前半6分にルーク・ポーターがイエローカードをもらい、一人少ない時間帯にBR東京に2トライを奪われ、一気に突き放された。さらに前半37分にもアセリ・マシヴォウがイエローカードを受けるなど、GR東葛はリズムをつかめないまま、7対35のスコアで前半が終了した。GR東葛は、後半11分にアッシュ・ディクソンと大澤蓮、さらに、100キャップ達成の細田を投入。フレッシュな選手を入れて反撃を試みた。

レメキ ロマノ ラヴァや田中史朗がリーダーシップを発揮し、グイグイとチームを引っ張っていくのに対し、細田は「自分のやるべきこと、役割を実行することに注力しています」と話すとおり、彼は自分のプレーで示す選手である。細田のグラウンド内外における実直な姿勢や振る舞いはチームに好影響をもたらし、仲間からの信頼は厚い。今回の試合に関しても、田中は「ホソ(細田)は寡黙に頑張る選手で、痛いプレーでも体を張ってやってくれる。今日も出た瞬間にすごく良いタックルを決めてくれた」と細田のプレーを称えた。

だが終わってみれば試合は7対54という結果になった。イエローカード2枚にレッドカード1枚をもらい、全体的にペナルティが多く、タックルミスも目立った。また、田中は「集中力が切れてしまった」とチームの問題点を指摘。こうした結果になるのは仕方がなかった。
ただ、この敗戦でも細田が矢印を向けたのは自分自身である。

「僕ら控えの仕事は流れを変えること、勢いをつけること。そういう意識を持って入りましたが、そこで流れを変えられなかった責任を感じています」

この敗戦を受けて、チームはいかに修正していくべきか、細田に問いかけた。

「それぞれの役割、そこのポジションに立ったらやる役割はあるので、その部分をもっとしっかりやり切るしかない。特別なことはないです。タックル、ディフェンスの部分でチームのやるべきことを体現できるように、来週から練習でやっていきたいと思います」

メモリアルマッチを勝利で飾れず、悔しさをにじませながらも、細田は次の試合へと気持ちを切り替えた。彼はまた直向きに努力を続け、自分でのプレーで、そして自分の背中でチームにやるべきことを指し示す。101試合目のグラウンドでの勝利を目指して。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D1カンファレンスB)のロバート・テイラー ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ロバート・テイラー ヘッドコーチ

「リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)さん、勝利おめでとうございます。BR東京はチーム全体の選手を見ていると、リクルートメントが良いチームで、良い選手がそろっていると思います。彼らも(シーズンの)最後には4位以内に食い込んでくると考えています。BR東京には質の良い選手がいるので、外まで運んで攻撃ができるチームです。最後に、細田佳也選手、100キャップおめでとうございます。行動でいろいろ示してくれる選手です」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)は強い選手がそろっているチームで、どんどん真ん中に当ててきて、フォワードはそれによって疲れてくる。80分間を通してNECグリーンロケッツ東葛は自分たちの攻撃ができなかったと感じています」

──先週は非常に良いゲームをしましたが、今日はホストゲームに応援に来たファンもガッカリされたと思います。ファンにはどのような思いですか?

「まず、やりたいことが全然できていない。毎回、キックオフしたらラインブレイクに行かれる。そこからボールも全然持てていないし、ディフェンスの時間も長かった。ひさしぶりのホストゲームだったから先週みたいな楽しいラグビーをやりたかったけど、うまくいっていなかった。向こうが良い分析をしていたし、ウチのスタートがあまり良くなかった。最初の10分を意識していたんだけど、うまくいっていない。来週、またホストゲームをやるチャンスがある。(次節の相手)東芝ブレイブルーパス東京はBR東京と似ているラグビーをするので、今日の負けから学んで来週は絶対に勝たないといけない」

リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)のピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(左)、マット・マッガーン選手

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ

「今日も自分たちのパフォーマンスについてはハッピーです。先週はNECグリーンロケッツ東葛も勝っていたのでハードなゲームの準備をして、本当にハードなゲームになると思っていました。それに対する準備も良いリアクションを見せてくれたと思います。トライを1本しか与えず、ディフェンスにはフォーカスしていたので、良いディフェンスができたのではないかと思います。先週も言ったように、選手がタフな1カ月を過ごし、その中でも止めずにハードなトレーニングを続けてくれて、ここ2週間はそのご褒美でしっかり結果を出せてうれしく思います」

──ディフェンスにフォーカスしたということですが、どういうことにフォーカスして、どのように修正したのでしょうか?

「特に修正という訳ではないですが、ウチはディフェンスからエナジーを得られるチームだと思っていて、『ディフェンド・トゥ・スコア』をモットーにやっています。スコアできる選手は十分いるので、ディフェンスから奪い返す。あとはメンタリティの部分でもディフェンスは伝わりやすいと思っていますが、今日は早い段階から集中してフォーカスできていると感じました。お互いのためにやるべきことをすべてやるという気持ちは伝わりました。先週は64点を取って、そういうゲームのあとは危険で、ああいう展開からスタートを切れると思ってしまうことがあるのですが、そういう罠には引っかからないようによくやれたと思います」

──昨季は下位のチーム相手に苦しみましたが、今季はどういうところがうまくいっていると感じますか?

「昨季はかなりタフなシーズンで、けが人も多かった。しかし、昨季積み上げてきたハードワークが今季は形になっていると思います。昨季は習慣、プロセスなどいろいろなことを変えたので、いまはそういうのがだんだん表に出てきた。12カ月やってきた良いことが形になっていると思います。だからといってここで先走らずに、まだまだやることはあります。トップ4相手にタフな1カ月を過ごして、その中でもしっかりやっていきながら、自分たちも(トップ4との)差がすごく大きい訳ではないことが見えたと思います。そういうところも形になって良い2週間を過ごしていると思います」

リコーブラックラムズ東京
マット・マッガーン選手

「前半はウチが今季見せたパフォーマンスの中で一番良かったと思います。いつもアタックは良いけどディフェンスがうまくいかないとか、その逆もあるんですが、今回の前半は今までで一番良かったと思います。ヒューイ(ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ)が言ったように、準備をしっかりやって、自分たちが何者であるかをしっかり理解した上でやれました。後半の途中は少し自分たちを見失いかけたので、そういうところは引き続きやっていきますが、エフォート(努力)をしっかりやってきて、それを見せられて良かったと思います。ハッピーですけど満足という訳ではないです」

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