2023.03.20NTTリーグワン2022-23 D1 第12節レポート(神戸S 59-26 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第12節 カンファレンスB
2023年3月19日(日)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 59-26 NECグリーンロケッツ東葛

“初のNo8”を完遂。
ピュアでチャーミングなビーストが、満開の笑顔を咲かす

初めてのナンバーエイトながら気迫のボールキャリーをみせてプレーヤー・オブ・ザ・マッチ、コベルコ神戸スティーラーズのサウマキ アマナキ選手

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)が、NECグリーンロケッツ東葛に快勝した。晴天に恵まれた神戸総合運動公園ユニバー記念競技場を舞台に繰り広げられた一戦は、序盤から神戸Sがスコアを量産。3連敗で溜めこんだうっぷんを晴らすかのような計9トライの猛攻で、ホストスタジアムに集ったファンを大いに沸かせた。

この試合でハットトリックを飾り、勝利に貢献したマイケル・リトル。全員のハードワークに称賛の言葉を送った中で、ある選手の名前を挙げた。

「今日は(サウマキ)アマナキ選手がビーストだった」

マイケル・リトルが絶賛したのは、これまでフランカーで出場し、今節はナンバーエイトで先発出場したサウマキだ。今季加入し、昨年6月には日本代表にも選出されたトンガ出身の期待の26歳。9分、相手のスキを突いて鮮やかなトライを決め、14分、24分と味方のトライにつながる出色のボールキャリーを見せた。

そのパフォーマンスは衝撃的であったが、試合後のミックスゾーンでさらに驚かされることになった。

「今日がキャリアで初めてのナンバーエイト。普段やらないポジションをやるということで楽しみにしていました」

そう明かしたアマナキは「ナンバーエイトは絶対に強いキャリーをしないといけない」と決意をこめてフィールドに立ち、自身が受け止めた役割を見事に遂行。さらに、プロップやロック、フランカーとともに圧倒的なフォワード力を誇示したゲームの一翼を担うなど、その活躍はまさに「ビースト」だった。

日本語を懸命に話す姿や笑顔を絶やさぬ様子からは「ビースト」の気配などみじんも感じない。マイケル・リトルの言葉を伝え聞くと「僕はマイキー(マイケル・リトル)がビーストだと思います」とリスペクト返し。桜の季節にリンクするように、屈託のない満開の笑顔が咲いた。

試合後にはプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出され、ヒーローインタビューのお立ち台で「みなさま、今日は来てくれて本当にありがとうございました。次の試合もよろしくお願いします」と実直にファンへメッセージを発信。神戸開催は今節が最後となり、ホストゲームの舞台は東大阪市花園ラグビー場に移るが、ピュアでチャーミングなフォワードは変わらぬ野獣のような荒々しさでファンに興奮を届けていく。

(小野慶太)

コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズのニコラス・ホルテン ヘッドコーチ(右)と橋本皓 キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
ニコラス・ホルテン ヘッドコーチ

「まずはフィールドに出るときにたくさんのファンに囲まれて、選手たちもそうだと思いますし、われわれチームとしてもこういう環境の中でプレーできる。たくさんの声援に囲まれてプレーできるのは非常にうれしいことです。

ゲームに関しては、しっかりとこういう結果で終えられたので、ここでこうやってお話しできる気分がいつもよりはだいぶいいですね。スコアもたくさん入りましたし、そういう意味でもうれしい気持ちでいっぱいです。ディフェンスも修正することができたので、あらためてこういう結果を得られたのかなと考えます。こういう形で前に進んでいくことができれば、悲しい顔をしてここに座ることはこの先もないと思います。

あともう一つはフォワードですね。アタック、ディフェンス、モールもそうですし、スクラムにおいてもやはりああいう形で試合を展開してくれたので、今日の試合の流れは彼らフォワードが作ってくれたと思っています」

──フォワードのところでは、戦術的にうまくNECグリーンロケッツ東葛を凌駕できたのか、もう負けられない気迫の部分で勝ったのか、どう分析されていますか?

「どちらというわけではなく、どちらもということですね。戦術的なところもそうですし、負けられない気持ちの部分も前面に押し出すことでフォワードたちがしっかりと頑張れたと思います。トレーニングからすごく調子が良かったので、良い形で試合を迎えられたのもあります。どうしても実行力のところが課題として付きまとうこともありましたけども、今週はしっかりとトレーニングをした上で、戦略もいい方向に働きましたし、気持ちもあったということであれだけの活躍ができたと思います。姿勢が結果に表れていますし、フォワード、バックスのどちらも戦略的なところと、気持ち的なところが伴ったからこそ、今回この結果を得られたと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ
橋本皓 キャプテン

「ここ数試合、負けが続いていて、チームも自信のないような感じになっていました。その中でも、しっかりと自信を持ってしっかりプレーしようと。その結果が得点にもつながって良かったと思っています。ディフェンスに関しては良かった部分もありますし、簡単に(トライを)取られる部分もあったので、そこは修正して次につなげていきたいと思います」

──前日に下の順位の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)が勝利した。チームとして危機感などはありましたか?

「順位の危機感というのは、チーム全体としてそういう雰囲気があったわけではないんですが、やっぱり勝ちから遠ざかっていたので、ここで絶対に勝ちたいという思いは全員が持っていたと思います。静岡BRが勝ったことに対してどうこうということよりも、自分たちがしっかりやろうと。全員が勝ちたいと思っていました」

──大事な試合と捉えていましたか?

「プレーオフは厳しくなりましたが、残りの試合で自分たちがしっかり成長していけるようにやっていこうと話をしていました。気持ちはすごく入っていたと思います」

──神戸での今季最後の試合でしたが、ファンの後押しを感じられましたか?

「今季、なかなか苦しい展開になっています。いろいろとファンの方から言われることもありますけど、グラウンドでこれだけの声援をいただけることがすごくありがたいと思っています。神戸での開催は今日が最後になりましたが、そこで勝つ姿を見せることができて良かったと感じています」

──橋本主将は「全員が同じページに立てるように」と話をしていますが、残り試合はどんな目標を持って戦っていきたいと思っていますか?

「一戦一戦しっかりと戦って勝とうというところですね。今季が終わってしまってもコベルコ神戸スティーラーズはどんどん続いていきますので、そういった意味で成長していけるようにと言っています」

──次から、東大阪市花園ラグビー場での開催が続きます。同じ関西ですが選手として感じる違いはありますか?

「僕は大阪出身なので花園でプレーすると、『花園っていいところだな』と思います。でも個人的には、花園は芝が長くてすごく足がしんどいので、しっかり刈っておいてもらえるとありがたいです(笑)」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のロバート・テイラー ヘッドコーチ(右)とレメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ロバート・テイラー ヘッドコーチ

「コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の勝利、おめでとうございます。本当にいろいろなエリアにおいて相手が独占して攻めてきていたので、そこに関して本当に素晴らしいチームというふうに思います。NECグリーンロケッツ東葛として、今日はいいゲームではありませんでした。それでもどうにかして逆転を目指していましたが、どうしてもコンタクト、セットピースあたりで優位な立場を作ることができなくて、結果的には負けてしまったという状況です。神戸Sには体の大きい選手もたくさんいるので、前にゲインを切られると本当に止めるのが難しいチームです。レビューをして、また来週に備えたいと思います」

──序盤からスクラムにおいてどのあたりに誤算がありましたか?

「スクラムのことに関しては、専門のコーチがいるのであまりテクニカルなところまで深くはコメントしませんが、フォワードが勢いをつけてくれないと試合というのはいいように動きません。そういうところで見ると、スクラムでペナルティを勝ち取れたはずの場面でも神戸Sのほうにボールがいったり、逆にペナルティを取られたりする場面があったので、うまくゲームを運べない流れを作ってしまいました。それでも、新人、若いプレーヤーでは(山本)耕生などが後半から出てきて本当にいい仕事をしてくれたなと思います」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「今日はどのエリアも全部、負けてしまいました。どんなに頑張ってもどうにもならない。フォワードでも負けているし、バックスも、こぼれたボールもラインアウトもスクラムも全部、負けた。ラグビーにはテクニックがたくさんあるけど、基本はフィジカルの勝負です。それを負けたら何もできない。コベルコ神戸スティーラーズ はトップ4にいるべきチームだと思います」

──前回の対戦では、後半に勢いを盛り返していたが、今回それができなかった理由は何だと感じていますか?

「ポッド、フォワードの3人などが前回はめちゃくちゃ勢いを付けていて、前に出れてそこからアタックができていた。今日は前に出られていない。ずっと下がっている状態でアタックしていました。前に出られないとクイックボールも出ません。ディフェンスがずっとそろっていました」

──神戸Sはこの試合が今季神戸での最後の試合でしたが、気迫みたいなものを感じましたか?

「もともと神戸Sは強いチームで、トップ4のチームです。体の大きさも全然違いますし、もっとカテゴリーAのフォワードの選手をたくさんとらないと、このレベルでのフィジカルバトルは絶対に勝てない」

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