2023.01.09NTTリーグワン2022-23 D3 第3節レポート(WG昭島 33-27 SA広島)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3(リーグ戦) 第3節
2023年1月8日(日) 14:30 AGFフィールド (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 33-27 マツダスカイアクティブズ広島

林田拓朗の成長がチームの成長。高い要求は大きな期待の裏返し

10番でプレーしたクリタウォーターガッシュ昭島の林田拓朗バイスキャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島は1月8日、マツダスカイアクティブズ広島を33対27で破り、今季初勝利。公式戦6連敗中と大きく負け越している相手だっただけに、最後のホイッスルが鳴った瞬間は選手、ファンともに満面の笑みがあふれた。勝利の立役者となったのが、今季バイスキャプテンを務める林田拓朗だ。

試合の序盤は、マツダスカイアクティブズ広島のペースだった。ペナルティゴールで先制点を得るチャンスもあったが、「ゲームキャプテンの﨑口(銀仁朗)を信じて、託しました」(中居智昭ヘッドコーチ)。

その序盤を耐えたクリタウォーターガッシュ昭島は、林田を中心に、積み上げてきたランニングラグビーの片鱗を見せ始める。

前半13分にデーモン・レエスアスが体を押し込みトライ、同15分にはバックスの展開から林田がトライ。同30分には得意のラインアウトからのサインプレーでさらにトライを重ね、前半を最高の形で折り返す。後半は自分たちのミスから一時、逆転される場面もあったが、最後のマツダスカイアクティブズ広島の猛攻を耐え切って、歓喜の瞬間を迎えた。

「拓朗はアタックのマインドセットのところで、すごくよくやってくれた」と、ワイクリフ・パールー ヘッドコーチが評価しているように、この日の林田のプレーは素晴らしかった。一方で、期待の選手には注文も忘れない。「ブレイクダウンは良くなかった。それが後半に相手を勢いにのせてしまった要因」(ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ)。

クリタウォーターガッシュ昭島にはアンドリュー・ディーガンが絶対的な司令塔として君臨しているが、林田が課題を克服し、改善できれば、チームとしての厚みも、オプションもさらに広がる。そういう意味でも収穫のある一戦だった。

目指すランニングラグビーの完成までの道のりは、まだまだ長い。今日の勝利を確かな一歩にするためにも、さらに勝利を積み上げていく。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(右)、石井洋介キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「ちょっとぐちゃぐちゃとしたシーンもあったと思いますが、自分たちのやりたいラグビーができた部分はあったので、ファンの方には良い試合を見せられたのではないかと思います。ボールを保持している時間も長かったですし、気持ちも見せてくれたと思います」

──ミスも多く出ましたが、手ごたえのほうが大きかった?

「ランニングラグビーをしたいというマインドセットなので、そこでリスクが高くなってしまうのはあります。その部分は自分たちのスキルを改善して自信をもってプレーをしたいです」

──次節に向けて改善したいところは?

「アタッキングのところですね。特にブレイクダウンが一番すぐに思い浮かびます。セットピースもそうですが、まずはアタッキング、ブレイクダウンのところを一番改善したいです」

クリタウォーターガッシュ昭島
石井洋介キャプテン

「クリタウォーターガッシュ昭島が目指している、ランニングラグビーを少し体現できたのかと思います。前回の九州電力キューデンヴォルテクス戦で、少し守りに入ったプレーがあって、そこで相手に流れをもっていかれてしまいました。今日の試合では『常にどのエリアでもアタックしよう』と、チーム内で話をしていたことが、勝利につながったと思います」

──ショットを狙える場面が多くあったが、ほかのオプションを選択した理由は?

「前節の九州電力キューデンヴォルテクス戦で常にショットを意識したことで、チームが守りに入ってしまった。今日の試合ではできる限り攻め続けよう、と。そのマインドセットでプレーしました。そういったところで、あえてショットを選ばず、スクラムやラインアウトで攻める判断をしました」

──後半最後のゴール前でのプレーを振り返ってください。

「試合をとおして、チームがアタッキングマインドをもってプレーできていたことが、最後に守り切れた要因の一つだと思います。しんどい時間でも自分たちが主導権をもって相手を止める。ディフェンスでもアタッキングマインドを選手全員がイメージできていたので、最後に(相手のトライを)止め切ることができたと思います」

──次節に向けて改善したいところは?

「ランニングラグビーをする以上、ブレイクダウンは発生しますが、うまくいっていないところがあるので、もう一回ブレイクダウンのところを見直したいです。少しの修正で良くなると思うので、来週、しっかり修正していきたいです」

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島の中居智昭ヘッドコーチ(右)、﨑口銀二朗キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
中居智昭ヘッドコーチ

「今日はよくボールが動きました。長いフェーズでラグビーができたと思います。試合の入りの自分たちの長いフェーズでトライが取れなかった。逆にトライを取られてしまった。後半最後の長いフェーズでのクリタウォーターガッシュ昭島さんの集中力で、最後の最後で負けることになってしまった。マツダスカイアクティブズ広島としての戦いの形はできていて、選手同士のコミュニケーションもすごく良くなってきて、ボールもかなり動くようになってきました。そこをさらに伸ばして次につなげたいと思っています」

──次節に向けてどういったことを改善していきたいか?

「ディフェンスの部分です。今日は一人がタックルしても、逃げ道がある状態になってしまっていました。クリタウォーターガッシュ昭島さんにそこの部分をドライブされてしまいました。そこをしっかりと二人か、タックルで止めることができれば、ターンオーバーのチャンスが増えてくると思います」

マツダスカイアクティブズ広島
﨑口銀二朗キャプテン

「前の試合で不甲斐ない試合をしてしまいました。今日は自分たちのやっていることを出し切って勝とう、とフォーカスして試合に臨みました。勝てなかった要因として、中居(智昭)ヘッドコーチが言うように、試合の入りと、最後のところで、トライを取り切れなかったところだと思います。自分たちの日頃の練習の厳しさが足りていませんでした。広島に帰って、1週間しっかりと練習したいと思います」

──この試合に向けてどういった練習をしてきたか?

「試合中に自分たちで流れを組み立てる力です。お互いの意思疎通が、全然足りていませんでした。それが前節を振り返っての認識でした。基本的なことなのですが、コミュニケーションのところ、全員で連係するところに重点を置いて練習を行ってきました」

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